開かずの信号
和樹「この前、信号で10分くらい捕まった時があったんだよ」
隆太「なっが! 何だよその信号、人通す気ないだろ」
和樹「そうなんだよ、散歩してて、初めて行くところだったんだけど、意味分かんなかった」
隆太「でも、ちゃんと後から信号は青になったんだろ?」
和樹「そりゃそうでしょ、今僕ここにいるんだから」
隆太「その言い草だと、信号が青にならなかったらずっと立ち往生しているってことになるぞ? 迂回しろよ」
和樹「迂回することもできたし、実際迂回する人はちらほらいたんだ。けどまぁ散歩に疲れたってのもあったからさ、しばらく待ってたわけ」
隆太「それでそのしばらく経ったら、青になって人が動き始めたと」
和樹「そうそう。その時は何も考えずに信号渡ってたんだけど、今思うと不思議だなって」
隆太「その信号を待った時間が10分っていうのは、確かなのか?」
和樹「うん確かだよ。聞いてたアニソンが6分と4分だから計10分だった」
隆太「なるほど、実は誰かが道を塞いでて、青だけど進めなかったってことは?」
和樹「いや、ちゃんと赤だったよ。車の信号いつ黄色になるのかなーってちらちら見てた」
隆太「ふむ、その時って、霧があったりとか?」
和樹「いや、霧はなかったよ、曇ってたけど。暑いからね最近」
隆太「事故とか?」
和樹「事故ってたらそれを話題にしてるよ流石に」
隆太「んー、あ、あれじゃないか?」
和樹「あれって?」
隆太「和樹もそうだけど、和樹の周りにいた人って、全員歩きスマホしてなかったか?」
和樹「まぁ、そりゃ、信号待ちだし、その時間退屈だからスマホ弄るよね。それがどうかしたの?」
隆太「その信号、押しボタン式信号だ」
和樹「あー、そういうことか」
隆太「で、真に恐ろしきは、歩きスマホと日本人の集団心理ってところか。顔を上げた人にしか見えない景色があるんだろうな」
和樹「スマホの景色しか見えなくてすみませんね」
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