明日は明日の風が吹く
和樹「明日は明日の風が吹くって、何当たり前のこと言ってんの? って思わない?」
隆太「まぁ、そりゃ明日は明日の風が吹くだろうしな」
和樹「意味分からないよね、小泉新次郎かよって感じ」
隆太「またセンシティブな……だが、地球目線で考えたら明日の風って、今日から吹いてるよな? 回ってるわけだし」
和樹「そうだよね、ってことは、日付変更線を境界として『今日』と『明日』に空間を分けて、その明日空間に対して明日の風を吹かせてるって、こと?」
隆太「それでも、ただ明日空間内部で明日の風が吹いているってだけだ。今日空間から明日空間に対して風を吹かせた場合、それは明日の風ではなく今日の風になってしまう」
和樹「あー、そう言える、んだね? あれ、なんか根本的に脱線してるような」
隆太「そだな、明日空間ってなんだよって話だ。名付けた俺が言うのもなんだが」
和樹「だよね! 巧みに話をそらさないでほしいね!」
隆太「ごめんごめん、それよりもだ、意味としては『なるようになれ』的な意味があるんだよ。どうせ明日には明日の風が吹くんだから、今日考えても仕方がないだろうってね」
和樹「行き当たりばったり過ぎるでしょ、危険じゃない? その考え」
隆太「まぁな、だが本当に考えるべきはそこじゃないと思うんだよな、俺的には」
和樹「……と、言いますと?」
隆太「当たり前のことをこうして、まるで名言やことわざのように言い伝えられていること、だ。当たり前でとるに足らない言葉ならば、こうして重宝されずに俺達の疑問の議題にすら登らないはずなんだよ」
和樹「それはまぁ、確かに」
隆太「本で読んだことがあるんだけど、人間が未来について考えるようになったのって、畑作ったり、保存できるようになった時かららしいよ。それまでは狩猟して食べてただけで」
和樹「ほぇ~、それが何か関係が?」
隆太「未来を考えるようになると、未来が不安になる。未来が不安になると、未来を考えることによるストレスにさらされることになるってことだ」
和樹「え、だから明日のことを考えたくないがために、そんな言葉が流行ったってこと?」
隆太「と思うけど? それくらい人間にとって、未来は不安を抱きやすいものなんだ。将来の夢とか考えないといけないって、分かってはいるんだがなぁ、はぁ」
和樹「だよねぇ、明日英語の感想文の宿題やってないし、本当不安なんだよねぇ」
隆太「早く風吹かせろ、明日が来ないぞ」
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