観葉植物

和樹「観葉植物になりたい」


隆太「え、何で?」


和樹「楽そうじゃない? ただぼーっと突っ立ってるだけで、水っていうご飯食べられるんだから」


隆太「お前そんな性格かよ、雨の外に飛び込んで寄生された蝸牛見て興奮しているくせに」


和樹「いやあれは良かった。マジで来てよかった。悔いはない。でも観葉植物には憧れる」


隆太「まぁ……ワンチャン蝸牛がくっついてきて間近で観察はできるかもな。ちなみに、どんな植物が良いんだ?」


和樹「ええっとねぇ、あれあれ、幹がうねうねって、三つ編みみたいになってるやつ」


隆太「あー、たまにみるよな。あれどういう原理なんだろ。気になるなたしかに」


隆太「grgrgoogleっと。……パキラっていう植物らしいな、そんで、へぇ、株を三つ植えて、伸びた幹を編んでいくんだってよ」


和樹「え、あれ自然とできるんじゃないの!? なーんだ残念。自然と三つ編みになってるかと思ってたのに」


隆太「なら他にないの? なりたい観葉植物は。将来なりたい観葉植物は」


和樹「そうだなぁ、もしかしたら、ただ観葉植物になりたいてよりは、ぼーっとしたい時期なのかも。たまに無性に、太陽サンサンと照り付ける場所で寝転がりたい時があるし」


隆太「雨ざらしの次は日光浴か、忙しいな」


和樹「日光大事だよ? メラトニンってのが出て、夜に眠りやすくなるし」


隆太「葉緑素がなくても、太陽光は大事なんだな」


和樹「そだよ、春眠暁を覚えずってやつだね」


隆太「つっても植物なんていつでも外にいるんだから、雨にも負けず風にも負けずって感じだがな」


和樹「いやほら、観葉植物は外にいないからさ」


隆太「そう思うと、引きこもりニートまっしぐらだな」


和樹「……確かに、そういうことか、ふむふむ」


隆太「そこで納得されるのは困る。友人として、せめてどこかのお仕事には就いてほしい」


和樹「投資家になりたい。世の中に種を撒いて、果実を実らせたい」


隆太「不労所得……こいつ、未来を見据えてやがる」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る