「その作業3日かかる!」と言われたが、1時間後に「アレできました」

「その作業3日かかる!」

と言われたが、

1時間後に「アレできました」



「ごめん、島本くん」

 お客様サポートの川上さんが声をかけてきた。嫌な予感しかしないが聞かないわけにもいくまい。

「はい、なんでしょう?」

 とりあえず手を止めて、身体ごと川上さんの方に向く。

 システムの人は話しかけにくいと言われるのを緩和するための小細工だ。よく聞くのだけど、話しかけてもパソコンに向かったまま相手の方を見ない人も多いのだ。感じ悪いよね。僕もそう思う。

「この問い合わせ履歴の集計なんだけど、部品ごと仕入先ごとに分けて年別に再集計できないかな? できたら担当者も入れてもらいたいんだけど」

「え?」

 うわっ、なんか厄介そう。

 データの構造を思い浮かべてみるけど、ぱっと方法が思いつかなかった。

「ええと、急ぎます? 作業に3日くらいはかかるんですけど」

「来週の会議で使いたいんだよね」

「……わかりました。やってみます」


(えーと、このデータだよな)

 手元の作業を終えてから、川上さんに言われたデータを確認してみる。

(担当者も入れたいとか言ってたけど、そんなデータ持ってたかな……お、あるじゃないか。これをこっちに参照して、こうやって──)


「川上さん、さっきの出来ました」

「え? もうできたの? ありがとう!」

「やってみたら、意外と時間かからなかったです」



<盛る>

 よくあるんですが、作業見積もりを過剰にすることがあります。

 実際にやってみたら大したことなかったりするんですけど、邪魔くさい作業とかタイミングによっては、ついつい『それ大変な作業なんですけど』アピールをしてしまうのです。

 で、出来たら頑張ったアピールしたいので、すぐに報告したりするのです。下手か!



 

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