第4話 同居初日・後

 さておき、ハチスが作ってくれた夕食はうまかった。野菜炒めだ。切り方の練習も兼ねていたらしく、炒め向きでない切り方をされて食べにくいものもあった。が、指が入ってなかっただけ、いいだろう。

「お前、料理うまいな」

「ありがとうございます」

 彼はソースで汚れた口周りのまま微笑む。子供みたいでかわいいな。

 食後、洗い物も一緒に終わらせ、一休みしてソファでテレビを見ていたのだが、俺は気分がよかったので言った。

「そういえば、お金がないんだよね」

 今月分の家賃からコンビニ飯や、食材を買ってきたから、残りは十万もない。

「それならば、私が働いて稼いで来ましょう」

「働くってどうやって?」

「おしごとを探します」

「おう頑張れ。早めにな」

 ハチスはパソコンで求人サイトを漁っている。アカウント登録をして、履歴書を作っている。そういう知識もあるんだな、と俺は感心する。顔写真はスマホ撮影でもいいらしいので俺が撮ってやった。

「そういや、働くときは男で行けよ」

「どうしてですか」

「女だと変な奴が寄って来るかもしれないだろ」

「なるほど」

 彼は自分の胸に手を当てた。すっきりした。言ったそばから、男性体寄りになったようだ。早いな。

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