第2話-③
移動中は、
海那さんはロックな曲が好きだとか、意外と甘いものや可愛いものが好きだとか、ホラー映画が苦手だとか、お昼は本職が忙しくて夜しかバイトに入れないとか、バイト中は外してるけど、普段はピアスをつけてるとか。
そのどれもが私の知らない海那さんの一面で、いろんな海那さんを知れた気持ちになれて、とても満足いく時間を過ごせた。
「ピアス、今つけてるんですか?見てみたいです!」
ピアスの話をしてる時、私は気になってそんなことを聞いてみると、海那さんは「いいけど、バイト先には秘密にしてよ?」と笑いながら耳に髪を掛けて見してくれた。
耳には三つのピアスがついていた。
耳たぶに銀色の丸い形のピアスが二つ並んだようについていて、耳の上の部分(ヘリックスというらしい)には金色の丸いピアスよりちょっと大きいくらいの星型のピアスがついていた。
「きれい・・・」
ピアスはもちろんなのだが、ピアスを見してくれるときの仕草もあってか私はドキッとしてそんなことを呟つぶやいてしまう。
「おしまいね」
私の声が聞こえてしまっていたのか、恥ずかしがるように髪を戻してしまう海那さん。
そんな海那さんをみて私は、可愛いところあるなぁ。なんて思ってしまうのだった。
「着いたよ」
30分ほど車に揺られていただろうか、どうやら最初の目的地に着いてしまったらしい。
「運転ありがとうございました」
私は海那さんにお礼を言い車から降りる。
すると海特有の潮の匂いが感じられた。
移動中、窓の外からちらちら海が見えていたのでおそらく海の近くまできてしまったのだろう。
「もしかして、近くに海とかあります?」
「今通ってきた道をもうちょっと進むと海見えてくるよ、帰りに見に行ってみる?」
私が車から降りた海那さんに確認するように聞くと、海那さんはそんなことを言ってくる。
「海那さんがよければちょっと行ってみたいかもです。最後に海に行ったの結構前なんで・・・」
「私は全然いいから、行ってみよっか。今日遊びに行く場所もこの近くだし、夜ご飯食べる前にちょっと寄るくらいになっちゃうと思うけど、それでも大丈夫?」
「全然大丈夫です!ありがとうございます!」
「んーん、私も海好きだし大丈夫だよ。それよりお店入ろっか、私お腹すいちゃった」
そう言い海那さんは入口に向かって歩き出した。
その後を私も追いかけた。
お店の中に入ると、コーヒーのいい香りと店員さんの「いらっしゃいませ」という声が迎え入れてくれた。
ここのカフェは隠れ家的なお店らしく、料理も美味しい落ち着いて過ごせるみたいで、海那さんはよく一人でも食べに来ているらしい。
お店の中を見てみると、カウンター席とテーブル席が並んでおり、どうやらカウンター席の方では、店員さんがコーヒーを
隠れ家的お店といっていた通りか、店内に私たちのほかにお客さんは二組くらいしかいなかった。
海那さんのほうを見てみると、知り合いの店員さんなのか「今日は二人なんで、テーブル席使っても大丈夫ですか?」と気軽な感じで声をかけていた。
「大丈夫ですよ、お好きな席どうぞ」とにこやかな笑顔で店員さんが返し、カウンターの方へ入っていった。
私と海那さんは壁際のテーブル席に決め、席に着いた。
席に着くとさっきの店員さんがお冷とメニュー表を持ってきてくれ、「ごゆっくり」と一礼しまたカウンターの方へ戻っていった。
「
「ありがとうございます」
メニュー表を見てみると、普通のスタンダードなパンケーキからロコモコパンケーキといった、なにやらボリュームがすごそうなパンケーキまで多種多様なメニューがあった。
「んー」と私が悩んでいると
「いっぱいあると悩むよね」
海那さんが楽しそうな顔でそんなことを言ってきた。
「海那さんはもう決めたんですか?」
「私はいつもいちごミルクパンケーキを食べてるから、今日もそれかなぁ」
「む、これもおいしそうですね・・・でもこっちの普通のパンケーキもおいしそう・・・」
「じゃあ、私が少し分けてあげるから葉月は普通のパンケーキ頼んだら?」
私がメニュー表を見ながら迷っていると海那さんが魅惑的な提案をしてくれた。
「え、いいんですか?じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな・・・」
「その代わり、葉月の分のもすこし食べさせてね?」
「それはもちろん!」
私が注文を決めたのをみて、海那さんが店員さんを呼んで注文をしてくれた。
セットにドリンクを付けてもらえるらしく私はアイスコーヒーを頼み、海那さんはキャラメルラテのアイスを頼んだ。
「葉月ってコーヒー好きだよね」
注文を終えた海那さんはこちらを見てそんなことを聞いてきた。
「んー、どうだろ・・・あんまり自覚ないかもです」
「なんかいつも飲んでる気がする」
そう言われてたしかに、と思う。
別に意識して飲んでいるわけじゃないけど気づいたらつい買っている気がする。
「私コーヒー苦手なんだよね、あの苦いのがどうしても無理で・・・」
「私は逆にあの苦いのは好きかもです。海那さんコーヒーとか好きそうなのに、意外です」
「そうかな?飲めないわけじゃないんだけど、コーヒー飲むならミルクと砂糖めちゃくちゃ入れて、甘くしないとだめだなぁ」
子供っぽいところあるな、と笑いながら言う海那さんをみてこちらも笑ってしまう。
「それもうコーヒーじゃなくてカフェオレじゃないですか」
「私の話はいいから、
海那さんはじっとこちらを見つめてそんなことを聞いてくる。
私は気恥ずかしさで視線を合わせられなくて、つい視線を逸らしてしまう。
美人の視線はずるい、見られるだけでなんていうか、すごい恥ずかしくなる。
「す、好きなものだと他には辛いものとかも好きかもです、あとはホラー映画とかすプラッタ映画とか・・・ですかね・・・?」
「意外だ・・・葉月はもっと子供っぽいもの好きだと思ってた・・・」
「海那さん、私に対してどんなイメージ持ってるんですか?」
すると海那さんは「んー」と悩んで
「手を差し出すと手を繋いでくる、ちょっと初心で可愛い後輩かな?」
からかうような笑顔でそんなことを言ってきた。
「か、からかわないでください!」
今朝のことは自分でもめちゃくちゃ恥ずかしかったので、掘り返されるとだめだ。
また耳まで赤くなってる気がしてきたので、誤魔化すようにお冷を飲む。
海那さんのほうを見ると、まだニコニコ笑っていた。
「ごめんごめん、恥ずかしがる葉月可愛いから、ついからかいたくなっちゃうの」
「むー」と私が唇を尖らせていると、海那さんが「でも」と言葉を区切り
「さっきは初心で可愛いって言ったけど、今日の服装とかおしゃれで似合ってて可愛いなって思ったよ」
ちょっと照れたような笑顔に変えて、そんなことを言ってきた。
わたしは「あ、ありがとうございます・・・」と言い、やっぱり海那さんはずるい。と思うのだった。
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