第27話 ……興味ある?
「……ご、ごめん!」
僕は理沙から目を逸らして、慌てて謝った。
「ううん、見せたの私だし。でも、あんまりじっくり見られるのは、まだ恥ずかしいかな……」
「だよね……」
「一回見てもらっておいたら、明日恥ずかしくないかなって思ったんだけど。……着替えてくるね」
そう言って、理沙はまた部屋を出ていく。
ほっとしたーって思う気持ちが半分。もっと見たかったって気持ちが半分、ってのが正直なところ。
「ただいまー」
そう言いながら、彼女はさっきまでの服になって戻ってきた。
「うん。さっきはごめん」
「あはは、減るものじゃないし、いいよー。……で、どうだった? 感想は……」
さっきまでの恥じらった理沙と違って、いつも通りの感じで聞いてきた。
でも、僕は正直、全体をあんまり見てなくて……。
「えっと……ごめん。あんまり覚えてなくて……」
「えー! せっかく着たのに。……それじゃ、ひろくんはどこ見てたのかなぁ?」
彼女は床に座る僕に、四つん這いでにじり寄ってきながら、悪戯な表情を見せた。
……つい、胸元の隙間から覗くブラに目がいく。
「……なるほどなるほど」
すぐそれに気づいたのか、胸元を押さえながら頷く。
――やってしまった。
そう思うけど、男の本能だから仕方ないって。
でも、理沙はそのまま間近まで顔を近づけてきた。
「えっと、理沙……?」
触れるんじゃないかと思うくらい、近くにある顔に僕は戸惑う。
「…………興味ある?」
「え……?」
僕が聞き返すと、理沙は頬を染めて強い口調で言う。
「だ、だから! ひろくんもそういうのに興味あるの? ――って聞いてるの。その……例えば見たいとか、さ、触ってみたいとか……!」
「…………うん、そりゃ」
嘘を言ってもどうせバレるし、僕は素直に答える。恥ずかしいけれど。
「そう……よね。小説とかだと、すぐエッチなことしてたりとか、いっぱい読んだから。……やっぱりひろくんもそうだよね」
「……ごめん」
今日何回目かわからないくらい謝ってる気がするけど、申し訳なくて。
でも理沙は慌てて手を振った。
「あ、そうじゃなくて。……ひろくんもそうなんだーって安心したっていうか。男の子って、もっとグイグイ来るものだって思ってたから、そういうの興味ないのかなって」
「そりゃ、僕もあるって。……でも理沙が嫌がることはしたくないから……」
「うん、ありがと」
そう言いながら、理沙は何気なく僕に顔を近づけて――軽く触れるようなキスをした。
そして、僕の右手をそっと握って、自分の胸の谷間あたりに押し当てた。
「えっと……理沙?」
意図がわからなくて聞く。
「……どう? すごくドキドキしてるの、わかる?」
「……うん」
言われてみると、彼女の鼓動の早さが手に伝わってくる。
理沙は真っ赤になったまま、ぽつりぽつりと呟くように言った。
「……それだけ、恥ずかしいんだよ? 私もひろくんと色々してみたい……けど、まだ無理。すごく恥ずかしいから」
「…………うん」
「だから……ちょっとずつ、ね」
しばらくそのまま触れたままだったけど、彼女がゆっくり手を離したあと、僕も手を戻した。
「ふー。……小説とかだと、初対面でベッドに……とかもあったりするけど、そんなの現実にあるのかなぁ?」
「どうだろ? 僕は経験ないからわからないや」
「あはは。経験あったらびっくりだよー。……でも、同級生で経験ある子、結構いるみたいだけどね」
少し落ち着いたのか、笑いながら理沙が言う。
「へー、男同士だとそんな話しないからなぁ。女子はするの?」
「ううん、私も良く話す友達とはしないかな。……でも遊んでる子とかの噂はときどき聞こえてくるから」
確かに、クラスに何人かはすごくスカートが短かったりして、いつも男子と帰ってたりもしてるな。
「そうだね。堂々とデートしてるの見かけたりして、ちょっと羨ましいなーって思ってたりもしたけど」
「あはは。今は私たちもたぶん、周りからはそう見られてるよ? ……この前聞かれたもん。『どこまでいったの?』って」
「え……。それで、なんて答えたの?」
「『ひみつだよー』って」
理沙は口に指を当て、ウインクしながら言う。
でも、僕は素直に思ったことを伝えた。
「……それ、絶対誤解されてると思うよ?」
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