昔、夏休みを利用して祖父祖母の家に遊びに行くのが好きだった時期があったのだが、その途中に川はあった。

しかし、いつもなら流れがあるはずなのにその日だけは水が止まっていた。

……それでも特に気にせず歩いていたのだが

「おい!お前!」

と声をかけられた気がしたのでそちらに振り向くと……『河童』が居た。

僕は何も言わずその場から離れようとするが、

「ちょ、ちょっと待て!」

と言われ仕方なく足を止める。

「な、何でしょうか?」

「『俺の姿』みても平気なのか?」「……はい?」

僕は『河童』の言葉の意味がよく分からなかった。

『妖怪』というものの存在を信じていない訳ではないが、『怖い』と思ったことは今まで一度も無かったので……。

ただ、何故か分からないけど……『この人』からは悪い気配を一切感じられなかったのだ。

僕は

「大丈夫ですよ」

と答えたのだが

「へぇ~、変わった人間だな……」

と言われた。

何故だろう……少し嬉しい気がした。

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