29話 聖職者として
「あの」
──ダメだ。
神父様からのお教えを忘れるな。
恩義ある人間に対して仇で返してはいけない。
暴力は最終手段であり聖職者である以上は、理性をもって人と接しなければならない。
落ち着け。
冷静になれ、アイリスゲイド・ストレンジャー。
あの少女の行動に他意はない。
もしかしたらタイガ様ご本人がそういった態度を許しているかもしれないのだ。
自分で勝手に判断するな。合理的に、常識的に考えろ。
「あっ、アイリス。来てくれたのね」
いつもの、勇者パーティのヒーラーの、普通のアイリスとして。
大丈夫。
ぜんぜんだいじょうぶだ。
「はい、お待たせしました、エレナさん。そちらのお二人も、この度はご協力ありがとうございます。わたしは勇者パーティの回復担当のアイリスと申します。タイガ様が疲労困憊で移動もままならない状態だということは把握していますので、以降の回復はわたしにお任せください。というわけでそこ、失礼いたしますね。……あの、申し訳ありませんが場所を空けていただけますでしょうか」
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