23話 好感度が上昇したらしい


「ううぅぅ憎いっ、この国が! 滅ぼしてやるぅ!」

「別に残っても構わんけどさすがに国家転覆までは付き合わないぞ俺」

「やだー! 置いてかないで間宮!!」


 耳元で騒ぎ続ける親友のことは一旦置いといて、肉体と行動の自由を与えた先輩たちのほうへ向き直った。

 彼らには伝えなければならない事がある。


「先輩方。俺らは郊外に戻って聖都で暴れてる魔物の軍団を掃討しに行きます。あんたらは自由になりますけど、一応このスマホもどきだけは持っといてください」


 まるで夏休みのラジオ体操のように、一列にならんだ少女たちにスマホサイズの半透明の板を配っていく。


 これは疑似的な電話が可能になる代物だ。

 二回使用したらぶっ壊れてしまうが必要最低限の連絡程度ならコレで十分だろう。


「あと二、三週間後くらいには元の世界に帰れる方法を確立させとくんで、帰りたい人は早めに連絡くださいね。それじゃ」

「十代目ぇー! おおきにー!」

「困ったときは助けに行くからねー!!」


 手短に済ませ、先輩ロリたちに見送られつつ墓地を去った。


 一応あの人たちは元勇者なので、安全面のことを考えるとこのまま聖都に連れて帰るわけにはいかないのだ。


 それに疑似的な蘇生に関しても恩を着せるつもりはない。

 彼らは俺に攻略法を教えてくれてその分をこうして返したというだけの話だ。


 道中遭遇したエクストラステージのことは攻略したと考えて、そろそろ俺は俺の冒険に戻ることにしよう。


 聖都が襲われるという一大事に一人だけいなかった勇者──これは何かあると思われるに違いない。


 しかも四天王の一人を倒したとなれば、どんなシリアスな事情に巻き込まれていても不思議ではない。


 今回のこれは突然発生したエクストラステージだが、シリアスムーブで巨乳を揉みしだくための下地を用意できたことを鑑みれば決してただの寄り道ではなかったということになる。


 結果オーライ。

 計画も前に進んだし先輩たちもあの辺鄙な墓場から出られたし良いこと尽くめだ。


「……で。六代目と八代目は何でついて来てるんですか……?」


 絵面がロリ二人を騙くらかして誘拐しようとしている怪しいお兄さんにしか見えなくなってるので、両サイドから挟んでくるのはやめてほしい。


 そもそも何でいるんだ。早く逃げなさいよ。


「聖都が襲われてるんだろ! エレナを守りにいかねーと!」

「ウチも久しぶりにエレナちゃんの顔みたいな〜って。……あと、十代目の助けにもなりたいんだぁ」


 なんという仲間愛と優しさに満ちた人たちなんだ。

 これでもし錬成したホムンクルスが爆乳だったら既におっぱい触らせてくださいとお願いして断られてるところだ。危ない危ない。


「そういえば十代目っておっぱい揉む為に頑張ってるんだっけ。体はホムンクルスだけど、ウチの触る?」

「フッ……触る胸がないレベルのロリじゃないですか。その優しさだけで十分ですよ」

「そう? うーんと……なら、ちゅーとか?」


 …………。

 ……ッ!

 

「な、なんすか八代目。俺のこと好きになっちゃいました?」

「そりゃあ普通に大好きだよ〜。ね、六代目」

「あぁ。まったく自慢の後輩だぜ」


 まさか、これが噂に聞く好感度上昇バグというやつか。

 まさかそんなまさかまさか。

 そうか……そ、そうかぁ……。


「じ、じっ、じゃあ、聖都の敵を片づけた後に……」

「アハハ、鼻の下伸びてるんだ。やらし~」


 あ゛ッ!!? こ、このメスガキ……ッ!!!!

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