22話 ロリっ娘ハーレム錬成
「わははははーっ! これで俺もネクロマンサーだァッ!!」
『がんばれ十代目ぇ〜』
というわけで聖剣と指輪のパワーを存分に発揮し、ホムンクルスと彼女たち用の簡易的な衣服をポコポコ錬成しまくっていく。
作るのは残り一体。
九代目だけは消息不明でこの墓地にはいないため、現在七体を錬成したことになる。
既に全力でシャトルランをやり終えたあとにそのまま長距離マラソンしてるくらいには疲弊しているが、なんのこれしき。
「はぁっ、ハア゛、出来た……は、八代目、どうぞ……」
『ありがとう十代目。よしよし……あっ、まだ触れないんだった』
サウナにいるのではないかと錯覚するほどの滝汗を流しながら、錬成した最後のぺったんこロリホムンクルスを八代目の少女のそばに置き、床に倒れ込んだ。
「これでロリっ娘ハーレム完成だ……疲れた……」
「お疲れ様、間宮。僕の分は聖剣のエネルギーが補充されてからでいいからね」
「あぁ、すまんな翔太郎。これ以上の錬成はちょっと厳しいわ」
「こうしてワガママを叶えてもらったんだ。文句なんてないよ。……ところで、どうして今回は男性型のホムンクルスを作らなかったんだい?」
…………。
「……」
…………。
「間宮?」
では、次なる工程へ移ることにしよう。
先輩たちに肉体を与えたら今度は彼らの遺体を持ち運ぶ方法の模索だ。
模索、とは言ったものの実は既にほとんどやり方は決まっている。
「ねぇ、間宮」
流石に腐乱死体が梱包されたデカい棺桶を携帯するのは不可能なため、ここは我が故郷ニポンの知恵をお借りすることにした。
その名も火葬。
魂の座標確認に遺体の状態の細かい要求はないため燃やして軽くして砂袋にまとめてしまえば持ち歩けるというわけだ。
「間宮ぁ……」
「ちょ、泣くなって! しょうがねーだろ少女型のテンプレしか手元にないんだから!」
「うぇえええ」
「あぁ、クソ……先輩たち、ちょっと慰め手伝ってください」
「はいよぉー」
翔太郎の心境は察するに余り有る。
これエロシーンいる? と感じるような清純で王道な成人向けゲームでも、余裕で性消費に使っていた本物のエロゲーマーに『ちんこを失う』なんて仕打ちはあんまりである。
だが、こればかりは本当にどうしようもないのだ。
大前提としてこの世界におけるホムンクルスの錬金学が、全くと言っていいほど進歩していない。
物理的に存在しないのだ。この2Pカラー程度しか違いのないバリエーションのロリっ娘ホムンクルス全四種類しかこの世にない。
最初は俺の技術不足だと考えていたが違った。
ポコチンがこの指輪を持っていながら、一体もホムンクルスを戦場に連れてきていなかった理由が今ならわかる。
このちんまくてかわいいだけの、まるで強みのないロリっ娘──しかも魂を装填しないと意志すら持たない人形を優先して使う理由など、魔物たちには思いつかなかったのだろう。
かわいそうに、哀れな翔太郎。
「うああああぁ」
「翔太郎……」
「こっ、これじゃあ女装コスプレに釣られたオタク共を『ごめんね?実は男なんだ、私』ってネタバラシして嘲笑うことができなくなっちゃうじゃないかあぁぁァ……ッ!」
絶望の方向性が予想の斜め上だった。カス野郎め。
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