いずれかの踊り子

@captainorima

第1話

 踊り子がいた。奇怪で軽妙なdanceを夜な夜な踊った。有名になりたかった。彼女の生活は逼迫していた。実力が無い人間が富むのを許せなかった。彼女は踊りが上手かった。でもその技術を、蓄積された経験を、存分に発揮出来る踊りは踊らなかった。今まで信じて来たものが否定されていた。蟻が象を踏み潰すようなものだった。


 幾晩のdanceを超えて、彼女は有名になった。望んだ生活を手に入れた。舞は夜な夜な続いた。退屈が増した。酷く退屈だった。自分の身を切り売りしていた。夢見たdanceの世界に自ら泥を塗り続けた。


 そして踊り子は自分の足を切り落とし、もう踊れないことに安堵した。

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