第10話 終わりの始まり
「っ………はぁはぁはぁ」
巨大な魔力が身体から抜け落ちる。
ヴォーティガーンを呼び覚ました反動は伊達ではない。
身体全体が動かない。
死よりも大きい痛みが、悠を襲い続ける。
半壊した刑務所から、二つの影が出てきた。
ソラと、暁斗だ。
黒を操作しようにも、制御すらできない。
倒れ伏した悠に二人は近づく。
「悠!」
「……」
悠の名前を叫んだ暁斗と、何も喋らないソラ。
二人に体を起こしてもらって、がばっと暁人に抱きついた。
「……良かった」
「……で、これからどうするの」
そばで見ていたソラが口を開いた。
「少し、休憩するよ。流石に、疲れた」
小さな呼吸で目を瞑る。
明日を望んで、
明日を選んで。
どこかで、俺は目を覚ます。
緑の液体が俺を包む。
辺りを見ると、全裸の人間が、緑の液体に包まれていた。
薄暗くて、研究所のような。
こつこつと、音が聞こえる。
白衣を着た男が、俺の前にたった。
「初めましてかな、藤波 悠」
ニヤリと笑って俺の名を言った。
「あぁ、日本人はまずおはようが必要だったか」
「誰だ」と言おうと思ったが、液体にぶち込まれているせいで、声が出ない。
両腕で、ガラスを叩く。
何があったのか。
どうして、俺はここにいるのか。
なぜ、俺は生きているのか。
「ああいや、自己紹介からか。
俺の名はファスター。
神の残滓であり、研究者でもある」
神の残滓?混乱している俺に、更に言葉を畳み掛ける。
「アレの気配を感じたんだがな。やっぱり、左腕には残ってないか……」
ぶつぶつと、何かを呟く。
「さ、お勉強でも始めようか」
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