普通とは

パ・ラー・アブラハティ

私は私

 普通でいなさい、母の口癖だった。私の行動を押さえ付けて、人格を無理やりに矯正して、私を封じられて個性という色を失ってしまった。


 人の顔色を伺って、誰にも同じトーンで接して当たり障りなく人生を過していた。これは私の普通ではなくて、母の普通でやりたい行動ではなかった。本当を言おうとすれば嘘で返されて、本当の事は言わせてもらえなくて普通という嘘の常識の檻に閉じ込められて泣くことしか出来ない。


 情けない、情けない。自分が情けない、でも抗えない。母が絶対で逆らうことは許されない。普通ってなに、普通ってなんなの。教えてよ、嘘じゃない常識を教えて。


 そんな私にとある人が言ってくれた。


「普通はないんだよ。人それぞれだし、貴方が普通だと信じるならそれが貴方の普通になる」


 星一つもない世界でその人の言葉は私の世界を光輝かせる唯一無二の星となって、暗かった世界を星空にしてくれた。


 私は私のまんまでいてよかったんだと。そう思えたら、少しは心が軽くなっていまにも星に触れそう。

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普通とは パ・ラー・アブラハティ @ra-yu482

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