第十話 『挑戦?』

ある日の朝…


『緊急クエスト!緊急クエスト!冒険者さんの皆さんは至急、ギルドに集まってください!』


大音量のアナウンスが街中に響いた。


「アナウンスをするようなことなんて何があるんだ?」

「あーこの時期あたりだとトカゲが出てくるんです。それを倒しにいくんですよ」

「だからってなんで冒険者を集めるんだ?」

「そりゃあ食べるからですよ。トカゲはこの街のソウルフードなんです。」

「ん?今なんて?」


俺の耳がおかしくなったのか?

いやそんなわけないよな

ハハ…


「みなさんギルドに集まってくれてありがとうございます。今回は大量発生したトカゲを討伐していただきたいと思います。」


ええーやっぱりー!?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「す、すごいですイオンさん!あんなにいたトカゲ達を簡単に倒してしまうなんて!」

「ま、まあ当たり前ですよ!」

「嬉しいんだな…」


そう、イオンが大活躍した。

大量のトカゲがものすごいスピードで来たんだが鎌でサクッと倒してしまったのだ。

あの鎌何でできてるんだよ…

因みにイオンの討伐数は20、クレイは12、俺は3という結果だ。

あれっもしかして俺が足引っ張ってる?

俺は考えると心に傷がつきそうなので考えるのをやめた。


「すごいですね!カズヤさんのパーティ!合計の討伐数が35なんて…この街の中で一番ですよ」


「すごい!」「どんなパーティなんだ?」などなどと声がする。

本当だったらすごいだろ!とか言ってやりたいのだが、俺の結果は3だしな…


「と、とりあえずそこの酒場で一杯やろうぜ!」


と、言いながらそそくさとギルドを出た。


「プハー!昼間のビールは沁みますね!」

「おっさんかお前は」


と、うまそうに酒をのむイオン。

まあなんで未成年なのに飲めんのっていうのはこの世界は14歳が成人らしいだから俺でも飲めるのだが…

あんまし勇気が出てこないので、炭酸飲料見たいのを飲む。

正式な名前はシャワシャワというらしい。この世界は色々と常識的な問題がおかしくないか?


「お待たせしました。トカゲの天ぷらでございます。」

「美味しそう!」

「早速食べてみます!」


などとキャッキャする二人。本当に美味しいのかな…

するとクレイが天ぷらを一口食べる。


「美味しいです!この醤油と合わせた時の絶妙なバランスがたまらないです!」

「グルメリポーターかお前は」

「カズヤさんは食べないんですか?」

「い、いや食べるよ食べるよ」


まずったー!

言っちゃったー!

こうなったら食べる他ないか…


「いただきます…」


天ぷらを口に入れる。


「あれ?美味しい!これいけるぞ!かなりうまい!」

「よかったですね」


こうしておかしな世界のおかしな街のおかしな料理をこの日初めて食べた。


(ていうか今回、まともな戦闘しなかったなー)


続く

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