第六話 『仲間』

ギルドの掲示板にメンバー募集の紙を貼ってみた。

これで、仲間も増え、冒険も楽になる!

って思ってた時期が俺にもありました。

うん!


「全然人が集まらん!」


と、ガラガラの店内のギルドに甲高い声が響く


「やっぱりそう簡単に集まらんか…」


気怠そうに掲示板のメンバー募集の紙を剥がしにいく。

メンバー募集の紙を剥がそうとした時に声をかけられた。


「すいません、まだメンバー募集をしていますか?」


と、俺と同じぐらいの歳の女の子が話しかけてきた。


「は、はい。してますしてます!」


つい驚いてしまった。

そりゃあ、思春期真っ只中ですもん。緊張しちゃうやろ?

べ、別に意識してるわけじゃないよ?


「あ、自己紹介がまだでしたね。私の名前は、イオンです。」

「ど、どうも田中和弥と申します。カズヤって呼んでください。」

「カズヤさん。わかりました!では、このパーティーでは入団試験などはありますか?」


入団試験?当たり前のことなのかな?

まあでもイオンさんの中身も知るべきだと思うし、やっとくか。


「ああ、やりますよ。」

「では、」


掲示板を見る。


「これなんてどうでしょう。」


そうやってゴブリン討伐の紙を彼女に突き出す。


「わかりました!平原のゴブリン討伐ですね!」


彼女はかなりウキウキとしていた。


「一応危なかったら助けますんで。ショートソード一本しかないけど…」

「ははっそんな心配しなくても大丈夫ですよ。」


俺はそっと胸を撫で下ろす。


「あ、でも戦闘中、少し迷惑かけるかもしれないです。」

「わかりました。」


迷惑かけるって何が?と思ったがその時は別に気にしなかった。


その時は。


〜平原〜


「イオンさん着きましたよ〜」

「…」

「?」


なんかさっきからイオンさんの様子がおかしいな?


「イオンさん。ゴブリンの群がいま…」

「ヒャッハー!狩だー!」

「い、イオンさん?」


そう言っても、イオンさんは止まらない。

そして、イオンさんが持っている鎌みたいなものでどんどんゴブリンが駆られていく。

まるで稲刈りだな…

ていうか戦闘狂かよ!この人はサイヤ人か?

などと考えていて5分ぐらい経った後、ゴブリンの返り血を浴びたイオンさんがすごいスピードで走ってきた。

何このホラー展開!

美少女が血を浴びて、猛ダッシュでこっち来るって無茶苦茶怖いんだけど!


「カズヤさん、どうでした?合格ですか?」


そう、ニッと笑う。

これが返り血浴びてなかったら、惚れてたんだけどな…

そう考えていると


「で、どうだったんですか?」


と怒気をはらんだ声で言った。

怖い怖い!というかこれ完全に断ったらあかんやつだわ


「ご、合格で…」

「では、私も正式なパーティーメンバーですね!これからよろしくお願いします!」


この先不安だな…

こうして俺のパーティーメンバーが一人増えた。


続く

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