第9話 エイファの性別は?

誰かとお風呂に入るなんて久しぶりですね。

「エイファさん、先に入っときますね」


「はっはい、お気をつけて」


エイファさんは細みなのにあんなにも強いですから、全てが筋肉でできていることでしょう。


「失礼します。」


お風呂の蒸気に隠れて姿が見えません。

まあどうせ後で見れるでしょう。

私は体を洗い終わると温泉にあるような大きな湯船に浸かりました。

『何故私の隣で体を洗わなかったのでしょう?』

そんな事を考えているとエイファさんが入ってきました。


「失礼する。」


湯船の端と端なので良く見えません。

エイファさん、男同士だと言うのに恥ずかしいのでしょうか?

ここは大人の私が近寄りましょう。


「エイファさんせっかく一緒に入っているのですから隣に行っても良いですよね?」


「そそそそうだな」


なんでか動揺しているご様子です。


「それではお隣失礼するよ」

それにしても、胸筋が異様に発達していますね。

ちょ、ちょっと待ってくださいエイファさんってもしかして、もしかするんですか?

万一のために目を背けなければ!

「あのー1つお聞きしたいことが…」


「ななななんだ?」


「エイファさんって女性ですか?」


「ま、まあ生物学的にはそうなるかもしれないな」


えっふぁ?

「すっすいません、すぐに上がるのでお許しを」


「良いんです、元々男になりきるためにやってたことですから、間違えられてもしょうがのない事です。」


「なりきる?」


「もう居ませんが私の父は殺し屋でした。」


お父様のことはパパじゃないのですね。


「父は男が産まれることを望んでいましたが、私という女が産まれました。

それから母は病に伏せ子供を作れる状況ではなかった。

それで、私は男として育てられた。

父が亡くなり女に戻ろうとも考えたが、女が殺し屋など舐められて仕事が来ないだろうと思い今まで男として生きてきた。」


「そんなの良くない。」


「別にケイン様が怒ることでは…」


「良くないと言っているではないですか!

何故男女によってそんなに差別されなければいけないのですか。」


「怒ってくれた事は嬉しいのですが、もう良いんです。

今から変えてもさほど変わりません。」


「そんな事言うな!

今からでも遅くない。

女として生きろ」

「すみません。

取り乱しました。」

私の人生は後悔でいっぱいでした。

「後悔の残る生き方をすることはこの世界一不幸な男がゆるしません。」


「でも…」


「取り敢えず上がってください。」


「「あ」」

エイファさんのバスタオルが落ちてしまいました。


「すいません。僕が先に上がりますから、ゆっくり入って来て下さい。」


「そ、そうした方がいいですね」


締まりませんね。

後で公然わいせつ罪で訴えられたりしませんよね?

訴えられたら大人しく捕まりましょう。

着替え終わって脱衣所をでると丁度エイファさんの着替えを持ってきたアミさんと出会いました。


「アミさん、化粧の用意をお願いしても良いですか?」


「も、もしかして彼女さんができたり…」


「ちっ違うよ」

私の性格はそこまで良くないのか彼女なんてもってのほか友達もそんなにできませんでした。


「では、女の子になりたいとか?」


「それも違う。」

アミさん、敬語が抜けて前よりも明るくなった気がします。


「とにかく用意しといてくれる」

つい、面倒くさいお客様にする怖い笑顔をしてしまいました。


「こっ怖いですぅ。」


アミさんは走ってどこかに行ってしまいました。

「ちょっと待って」

悪いことをしましたね。

この家広すぎてリビングへの帰り方が分からないです。

そ、そうです。エイファさんがいるでは無いですか!

少し気まずいですが、どうにかしてくれるかもしれません。


「エイファさーん入っても宜しいですか?

エイファさん、さっきのことなら誤りますから返事だけでも…お願いします」

可笑しいですね。

「開けますよ、開けますからね。」

大変申し訳ないですが…あれ?エイファさんがいない。

まだお風呂に入っているのでしょうか?

「エイファさーん、助けてもらえませんかー?」

もしかして、しかと ですかね?

私が悪いとはいえ傷つきますね。

少し待ってみますか。

_________________

十分後


「可笑しいですね。こんなに遅い訳が…もしかして私に痛い目喰らわすために他の出口から出たとか…エイファさんの性格からして、ありえません。私は何という失礼な事を…いっ一応、奥まで確かめに行きましょうかね。

べ、別にお母様より大きい凶悪なアレが見たい訳ではありませんよ。決してね。」

私は安全確認を口実にして、風呂場の奥に進みました。

すると、お風呂から手だけがでています。

「エイファさん、私はこんな事では驚きませんよ!」

反応がありません。

これ、もしかしてガチもんのやつですか?

ならば早く水から上げなければ!

エイファさんは以外にも軽かったので、容易に水から上げることに成功しました。

まあ色々当たっていたのは許してほしいです。

それにしてもこのデカさレベチです。

私の息子が元気に…

ってこんな事言ってる場合ではありませんね。

呼吸をしていません。

もつ人工呼吸をするしか…しょ、しょうがのない事です。

「許して下さいね、エイファさん」

私は何度も人工呼吸をしました。




ご馳走様です。


「っぷは、」


エイファさんはゲホッゲホッと咳き込んでおります。


「私は何故?ってヘンタイ!」ッブホ−


助けただけで、強烈ビンタを喰らいました。

まあやましい心が無かったと言えば嘘になりますが、この仕打ちは酷くないですかね?

「ごっ誤解なんです。」

ギロッと睨まれています。って敬語が抜けています。

敬語が抜けると可愛いですね。

私は純粋な気持ちで思っているだけで、恋愛としての可愛いではありませんよ?

この世界の女性は敬語が抜けると可愛くなるのでしょうか?

「もっもう出ていくのでお許しをー」

私はダッシュでお風呂場と脱衣所から逃げました。

無我夢中で廊下を走っていると見覚えのある景色を見つけました。

リビングです、たっ助かりました。

リビングに逃げ込むと家族、全メイドから白い視線を向けられました。

私、なにかしましたー?









_________________

次の投稿は7月8日0時00分です。


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