第10話 今度こそ教会へ

私が食卓についたあともずっと白い視線。

思い当たることといえばアミさんの事かエイファさんのことです。

「あっ、あのー僕の顔に何か付いてた?」


僕がそう聞くと重苦しい雰囲気の中初めて口を開いたのはアリスお姉様でした。

「いや、別になんでもないよ」

ニコッと微笑んでおります。

お母様もお姉様に続いてニコッと微笑んでおられます。

変な威圧を感じるのは何故でしょう?


「ケイン、後で俺の部屋に来るんだ」


さっき許してくれたはずのお父様がまだ腫れも引いてない真っ赤な顔で気難しい顔をしています。

そうして、変な食卓を終えてお父様の部屋へと足を運びました。

「入っても宜しいですか?」


「入れ」


「失礼します」

何故裸なんでしょう?

「何か御用ですか?」


「そのーなんでお主はパンツ一丁なんだ?」


「えっ?ええーーーー」

あっ、エイファさんを助ける時に服を脱いでそのまま逃げてきたから…今度こそ訴えられますね。

私に新たな人生をくれた神様方すいません。


「それはそうと、何故お父様も裸なんですか?」


「いやーケインがしてるならと…」

バカですかね?お父様まで嫌われますよ?


「失礼しても宜しいでしょうか?」

その声はエイファさんのものでした。

良かったです。少し心配してましたからね。


「入れ」

何してるんですか?

私達は今、裸だと言うのに…


扉が開くと物凄く綺麗な女性が立っていました。

まあ表情はしょうがないです。

こんな所を見せられて平常心を保っている方がおかしいですから。


「失礼しました。」


「ちょーー」


「無駄です。お父様、僕達が悪いですから。」


「取り敢えず着替えるか」


「はい…」




今度こそ大丈夫です。

「エイファさん、入っても大丈夫ですよ」


「失礼します。」


「えっエイファなのか?

いや、エッロ」


「あ?」


「ヒィ」


性欲に正直なのは良いことですが、もうちょっとオブラートに包みません?


「今の発言は許します。

私はケイン様に用があって来たのです。」


なんか主従関係おかしくないですか?


「ごめんなさい。」


謝られるなんて思いませんでした。

しかも、ちょっとぎこちないですが綺麗なフォームの土下座です。

私も初めての土下座はこんなだったでしょうか。

「許しますよ。

って何の話ですか?」


「私は助けてもらって、それをビンタで返してしまいました。

あと、一緒にお風呂に入ったということは………結婚ですよね?」


頬を赤らめております。

えっなんで?

日本の昔のように結婚する人にしか顔を見せない的なやつですか?


「大臣、ケイン様を私にください。」


「シオン様とは許嫁だが、一夫多妻制だし大丈夫だろう。

よし、いいぞ。宜しく頼んだ」


「っておい、なに勝手に話進めとんじゃ」

つい、関西弁がでてしまいました。

というかシオンさんは許嫁だったのですね。

これはもしかして!ハーレムというやつですか?

というかやはり、女性が体を見られる=結婚みたいですね。

それじゃあお姉様とお母様はケイン君と結婚する前提でお風呂に誘っていたのですか?

お母様に関しては不倫に当たりますから…やはりこの家族は頭がおかしいようです。


「何故です?ケイン様

私が女だとお風呂に入る前から気づいていたのでしょう?」


ぜんっぜん気づきませんでした。

「いやー結婚とかは…」

めっちゃしたいです。

ですが、私が大人になる頃にはエイファさんはもうオバサンではないでしょうか。

贅沢言ってることは分かっていますが、営みなど、私の体力が多すぎて困ってしまうのでは…


「歳ですか?」


「うん、まあ」

殺されますかね?


「私はエルフなため、あと百年位は今の容姿とそう変わりません。」


「ええーーーー」

ポセイドン様からエルフという種族がいることは聞いていましたが、まさかエイファさんがそのエルフだとは。

人間と違う所があるとすれば…胸の大きさ?

冗談です、耳ですよね。


「でも、いきなり結婚は…」


「それじゃあシオン様との結婚の時に一緒に式を上げるというのはどうだね?

それまでは護衛 兼 許嫁でどうだろう」


「分かりました。

それじゃあよろしくね!ご主人様」


かっ可愛いです。

やはり女性は敬語が抜けると可愛くなります。

というか何故敬語が抜けているのでしょうか?

一応護衛ですよね?


「許嫁になるのなら教会でお祈りをしてきたらどうだ?」


「何故お祈りを?」


「この前シオン様とやったばかりではないか。

結婚まで二人の幸せを願ってくるんだ」


「そ、そうでしたね」


「ご主人、今すぐにでも行ってもいいですか?」


「分かりましたよエイファさん」

神様への文句もありますし行ってみますか。


「もー、許嫁なんだから敬語はなしだよ」


「わかったよ、エイファ。」

えらく性格が変わりましたね。

まあこれはこれで可愛いからいいですが…癒やしです。


「じゃあお姫様抱っこするね!」


「遠慮しておくよ、ゆっくり行ったほうが二人の時間を作れるしいいんじゃないかな?」


「ケイン君頭イイ!

そうだよね、二人の時間もあった方がイチャイチャできるもんね!」


フゥ〜お姫様抱っこを逃れられて良かったです。

もう舌を噛みたくありません。

口の中なので、治りが遅いうえ物が舌に乗っかると激痛がはしるのです。

あれはトラウマものです。


こうして、僕達は警備の兵士さん達に見送られながら教会へ向かいました。

まあポセイドン様の言う通り教会は近くにありましたが。


「教会だー初めてきた!」


私も一度目の人生でも教会に入ったことはなかったので、新鮮です。

でもケイン君は一度来ているとの事なのであまり驚く素振りを見せないようにしながら教会へ入りました。


「どのような要件でしょうか?」


神父さんらしき男性が話しかけてきました。


「私とケイン様は許嫁なのでお祈りに」


エイファさん許嫁だけ強調していませんでしたか?

もし、シオンさんの耳に入ったら光の速さで殺されますね。


「そうですか、それならこちらの部屋にお入りください。」


そういって通された部屋の真ん中には女神像がありました。

あれ?ポセイドン様って男性でしたよね、もしかしてアマテラス様を祀っているなんて事はありませんよね?


「一応聞きますが、ここの神様は誰なんですか?」


「この教会はずっと昔からアマテラス様しか祀っておりません。」

あ、だから尊敬してるんですね。


「ありがとうございます。」


「ケイン様、変わられましたね。」


「なんでそう思うのですか?」


「この前いらっしゃった時は私のことを無視してこの部屋に入られましたから」


ケイン君はどれだけ酷い子だったのでしょう。


「それは申し訳ありませんでした。」

私ではありませんが、元のケイン君がこんなに優しそうな神父さんを無視したということは間接的に私がやった事になりますから謝るのは当然です。


「頭をお上げください。

これ以上はケイン様に良からぬ噂が立ってしまいます。」


「分かりました。」

これ以上は神父さんにも悪評が立ちそうなので辞めましょう


「失礼します」


ケイン君の評価は低いですが、少しずつ上げていきましょう。

エイファさんはもう祈っておられます。

それでは私も…







_________________

次の投稿は7月9日0時00分です。

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