第8話 護衛は殺し屋?
「いつのまに寝てたのか 」
目が覚めるとそこは見知らぬ部屋でした。
「多分魔力を消費しすぎたのでしょう。」
声の主を見ると目を充血させながら私を見守っております。
「なんで充血してるの?」
「いえ、護衛をしていただけですが」
「もしかして、僕が寝ている間ずっと起きてたとか?」
彼には申し訳ないですが殺されなくて良かったです。
「もちろん。
まあ、友達だから守ってやりたかったのもあります。
まさか足りなかったのですか?
護衛はこの辺り1キロのモンスターを討伐してこなければならなかったですか?」
「別にそんなに酷な事を頼んだつもりはないんだけど…
僕が寝るときは寝てくれて構わないし、モンスター狩りもしなくていいよ。休みは週2日設けるよ」
「神ですか?」
この人社畜の素質がありますね。
まあ社畜に育てるつもりはありませんが…
「そういえば名前はあるの?」
「エイファ・セルダムです。宜しくお願いいたします」
「多分知ってるだろうけど僕の名前はケイン・クリスタル。こちらこそ宜しく」
名字はお父様の机に彫ってありました。
「そういえばママ様の状態は?」
「ママは無事に治りました。
ありがとうございます。」
「それは良かったです。」
1日家を開けたということは…あのケイン大好き家族が心配するはずです。
帰りもエイファさんに送ってもらいましょうか。
「エイファさん、お疲れのところ悪いのですが家まで送ってもらえますか?」
「任せて下さい。それじゃあお姫様抱っこを」
これは変わらないのですね。
今度は口を閉じて出発です。
「あゔぇゔぇゔぇゔぇゔぇゔぇゔぇ」
無駄でしたね。
これ以上舌を噛んだら本当に切断してしまいそうで怖いです。
次は馬車で行きましょうか。
「着きましたよ。では私はこれで。」
「ちょっと待って、お父様にエイファさんの事話しに行かない?」
「ウン、ワカリマシタ」
凄く緊張して、敬語と混じってしまっています。
そんな調子のエイファさんと家の前に行くと兵士さんが見張っておりました。
「カイン様!
大丈夫ですか?
大臣が心配しておりますぞ」
息子一人のためにここまでされると、当分の間家出できなくなりますね。
「家に入れてもらえるかな?」
「ケイン様はよろしいのですが、そちらの方はどなたですか?」
エイファさんが殺し屋だということは知られてないようですね。
「僕の知人なんだ。
お願いします、通して貰えませんか?」
押しの土下座をしました。
今回のはピカ一で上手かったです。
12歳でこんなに土下座をしている少年がこの世に何人いるのでしょう。
「わっ分かりましたから、頭をお上げ下さい。
ケイン様が私如きに頭を下げるなどあってはならない事です。」
それからエイファさんは多少持ち物検査をされた後通されました。
ドアを開けるといつも通りお母様とお姉様が泣きついてきましたが、エイファさんの事を説明するために無視して、お父様の部屋へと向かいました。
毎回帰ったらこんな事をされると思うと少しケイン君の気持ちが分かる気がします。
「お父様入ってボォ」
声を発した瞬間ドアが開き顔にぶち当たりました。
「ごめんよ」
絶対わざとですよね。
顔が真っ赤で怒っています。
僕はエイファさんに待ってもらうように伝えて中に入りました。
「事情はアミに聞いているが、それにしても何故こんなにも時間がかかったんだ?」
「いやーそれは…」
完全に何かあったと疑われています。
すると、ドアが勢いよく開きエイファさんが現れました。
「ちょっと待ってください。
悪いのはケイン様ではありません。
ケイン様を返さなかったのはこの私に全責任があります。」
「ちょっ、エイファさん!」
エイファさんが自白してしまったら、雇われないどころか殺されてしまいます。
「良いのですケイン様。」
「それはどういうことだ。
話してみろ」
お父様がこんなに怒っているところを見たことがありません。
「はい、教会の前で………そして、この場にいます。」
エイファさんが話し終わると真っ赤な顔でいっそう険しい顔つきに変わりました。
そんなことよりもエイファさんの緊張はどこにいってしまったのでしょう。
「よし、分かった
ここで働きなさい、そのかわり私より先にケインと話さないでくれ」
顔を真っ赤にしながら笑わっております。
まさか情緒不安定なんでしょうか。
「ありがとうございます
しかし、なぜですか?」
「そりゃ俺も親だ、いち早く子供と話したいだろ?」
「は?キモ」
エイファさん?
一応お父様は大臣みたいなので不敬罪にあたりますよ?
「そんな言わなくて良いじゃん」ッグス
「すみません。
取り乱しました。」
「というか、なんでお父様はまだ顔が真っ赤なのですか?」
「ああ、これはケインが居なくなった八つ当たりでアリスとシフォンにめちゃくちゃ殴られただけだ。」
だけだ。じゃすまされ無いと思うのですが…そういえばお母様の名前はシフォンさんだったのですね。
「家族みなさん仲が宜しいのですね」
エイファさんの顔に笑顔が浮かんでいます。
なんでかエイファさんの笑顔にドキッとしてしまいました。
私BLは興味ありませんよ?
「仲を深めるために二人でお風呂に入ってきたらどうだ?」
「そうだねそうしよう。良いよねエイファさん!」
「良いのですか?一緒に入っても」
「お父様が言っているなら良いでしょ」
「分かりました。」
エイファさんの顔が赤くなっていたのは何故でしょうか?
_________________
次回の投稿は7月7日0時00分になります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます