第4話 アリスと夢の中で疑似恋人プレイ

(目を覚ますと、あなたは見知らぬ部屋の中にいた。クマや兎のぬいぐるみが置いてある勉強机に、アンティークなクローゼット、豪華なレッドカーペット、そして部屋の中央、その奥に配置された飛び切り大きなダブルベッドに目を引かれる。そして、そのベッドの上から誰かが下りて近づいて来た)


「あれ、お兄さん? あーあ、あれだけ来ないでって言ったのに、とうとう来ちゃったね。三回目」


(※ここは、どこなんだ?)


「ここはね、私の私室兼寝室。どう? 美少女のプライベートルームに来た感想は? でも、おかしいな。この夢に来るならきっと、庭園か、もしくは応接室の方だと思ってたのに。もしかして、お兄さんって寝るときに私のことを考えながら寝たりした?」


(※どうだったかな。でも、そんな気がする)


「そんな気がする、か。嬉しいな、起きても私のことを覚えていてくれて、それで、私に会いたくてこの夢を見てるのなら……。本当に嬉しい。だって、最初にここに来た時、別れ際に言ったでしょ? ここのことは忘れてって。そうしたら、皆は本当に忘れちゃって全然来てくれないんだもん。もちろん、私だってそれが普通だって頭では分かってるけど……。やっぱり、寂しいもん。どうして、誰も来てくれないんだろうって。私って、ずっと、ずっと、ずーーーっと、この箱庭のような狭い世界で独りぼっちなんじゃないかって思ったりしてさ。夢の中なのに楽しく無くて、苦しくて、辛くて、消えてしまいたいって思っても消えられなくて……。だから、お兄さんが来てくれて本当に嬉しい。心から、そう思う……」


(※アリス……)


「あはは、ごめん。自分語りなんてしちゃって……。ほら、お兄さんもそこに立ってないで、こっち来て? 座るところはベッドしかないけれど、ごめんね?」


(※構わない)


「ありがとう。じゃあ、行こっか」


(二人はフカフカなベッドの淵に腰かけた)


「そう言えば、お兄さんの話は全然聞いてなかったよね。というか、私が話すのを遮ってたんだけどさ。ほら、あまり感情移入し過ぎないようにとか、夢の中まで現実世界のことを思い出さないようにとか色々考えてたんだけど……。お兄さんはもう常連さんだし、もし良かったら話してみないかなって」


(※実は……。最近、仕事が忙しい……。というより、休みが取れないんだ)


「休みが取れない? そんなに忙しいの?」


(※パソコンを使う仕事なんだけど、新人が辞めたりとか、上司がばっくれたりとかして、その皺寄せが来てて……)


「そうなんだ。人が辞めちゃったら、誰かが代わりに仕事をしないといけないもんね」


(※うん。周囲の人にも仕事を回すんだけど、何かと理由をつけて仕事をこっちに投げてきて……。どうせ、独身だし、暇ならって)


「独身だろうと、仕事は仕事。ちゃんと、その人が責任を持ってやらないと駄目じゃん! どうして、怒らないの?」


(※仕事自体が好きだから、かな。会社、潰れて欲しくないし……。一回は怒ったこともあったけど、それならそれでやらなきゃいいみたいなことを言われて……)


「仕事をやりたくないなら、やらなければいいなんて……。そんなの、おかしいって。皆で協力して終わらせるのが仕事なのに……。ちゃんと寝れてるの? まあ、夢を見てるってことは寝てるはずなんだけど……」


(※たぶん、三十時間ぶりくらいの睡眠だと思う)


「三十時間ぶり……? そんなの、過労で死んじゃうよ。でも、休みを取ろうにも取れない……んだよね?」


(※うん。今、忙しい時期だから頑張って欲しいって。今、休まれると仕事自体がなくなるって言われてる)


「そんなこと……。脅しだよね? それってつまり、お前のクビなんていつでも切れるってことでしょ? そうじゃなくても、失職の危機ってことだし……」


(※生活があるから、いきなり辞めることなんてできない。そもそも、今の会社も死に物狂いで入った場所だから)


「そっか。じゃあ、簡単に辞めようってできないよね……。そんな辛い思いをしてたなんて、知らなかった……。それなら、さ。ほら、私がもっと癒してあげる。現実の辛さを忘れるくらいの幸福で満たしてあげられるように頑張るから!」


(※ありがとう、アリス)


「いいよ、お礼なんて。私も、趣味でやってるみたいなところあるし。誰かとお話したり、スキンシップするのは楽しいから。えっと、食べさせ合いをして、耳かきもして……。む、胸も揉まれたよね……。さ、流石に耳かきや胸揉まれたのは初めてだけど……。結構、楽しめたし……。他に、何ができるかな?」


(※うーん……。あまり、良い娯楽を思いつかない)


「そうだよね。なら……。あ、そうだ! 恋人! 私が、夢の中で恋人になってあげる! こう、イチャイチャっていうの? ちょっと、憧れてたんだよね。それとも、私が恋人じゃ、嫌とか?」


(※そんなことない。アリスが恋人なら、嬉しい)


「そ、そう? 嬉しい何て、改めて言われるとちょっと恥ずかしいな……。あ~、顔が熱い……。もしかしたら、もうとっくにお兄さんのこと好きなのかも。ん~、でも、恋人って何をするんだろう? お兄さんは知ってる?」


(※もう既にしてると思う)


「もうやってる……? 食べさせ合いをしたり、耳かきしたり? あー、確かに……。そう考えると、かなり今更感あるね。でも、それならそれでもっとやりようはあると思うんだ。例えばー……。こうやって、ギュって腕に抱き着いて、胸を押し当ててあげるの。ほら、どうだ? むにむにーって押し付けると、服越しでもちゃんと大きいって分かるでしょ? もう揉んでるから、大体の大きさは知ってるだろうけど……。一応、Fくらいはあると思うよ? 今までやってきた女の人のゲストの中でも、それなりに大きい方だと自負してます」


(※女の人もゲストで来るのか?)


「当然だよ、男の人だけだと思った? っていうか、女の人も来るって言って、ちょっと期待したりしてない? 夢の中での劇的な出会いとかさー」


(※そんなことはない)


「ふーん? まあ、口では何とでも言えるけどねー。まあ、無理なんだけど。ここに来れるゲストは、おひとり様限定だから。そういう風に、私が夢の中の世界を定義してるの。だから、他の人は入って来れないよ? だから、私たちカップルの邪魔をすることができる人は、誰もいないの。ほら、他の女の人のことなんて考えないで、今は私だけを見て。ね?」


(※分かってる)


「うふふ、ありがとう。そうだ、お兄さんって耳に息吹きかけられるのも好きだよね? してあげよっか、耳ふーふー」


(※う、うん……。それじゃあ、お願いします)


「あは、照れちゃってる。本当に可愛いなあ……。こうやって、耳に口を近づけて……。ふぅ~~、ふぅ~~~~。温かい物を冷ますみたいに、優しく、優しく吐息をかけてあげるね~。ふぅ~、ふぅ~~~~、ふぅ~~~~~~~……。お兄さん、私が息吹きかける度に体をビクビクさせてる。お耳、凄い敏感なんだね。そんな可愛らしくていけないお耳は……。あむ、あむあむ……。ちゅぱ。どう、かな? あまりに可愛らしかったから、パクッと食べてみた。こういうの、耳舐めって言ったりするんでしょ? 耳の周りを、甘噛み……。あむあむ、あむあむ、がぶーーーっ……。あはは、反応が面白くて笑っちゃうよ。舌をべーっと出して、耳の穴からぐっぽり奥に入れていくと……? レロレロレロレロ……。わあ、ひゃあだって! 女の子みたいな声出しちゃって、凄いね。耳舐めって、結構効果あるんだ。じゃあ、もう少しだけ堪能しちゃおっかな~? レロレロレロレロ……。じゅるるるるるるるるるるるる……。レロレロレロレロ……。こう、舌先を細かく動かして……。レロレロレロレロ……。ちゅ。ふふ、本当に良い反応するから好きかも。そう言えば、だけどさ。恋人同士って言ったら、やっぱりキス……とかするよね? お兄さんは、キスしたことある?」


(※あるよ)


「え、あるんだ。お兄さんにもそういう人がいたり?」


(※いや、ここにきてアリスに……)


「私? ああ、あーー、あーーー……。そう言えば、してたね。悪戯のつもりだったから、忘れちゃってたけど……。確かに、してた。あれは、キス……だよね? 一応、唇同士が触れてるわけだし……。でも、あれで満足? フレンチキスって言うのかな? ああいうのが良いの? それとも……。もっと激しいやつとか?」


(※どっちもしてみたいかも)


「どっちも? うーん……。じゃあ、まずは軽い方からで。唇同士を、軽く触れ合わせるみたいに……。ちゅ。どう? キスって、初恋の味とかで甘酸っぱいって言われてるけど、分かった?」


(※流石に分からない)


「そっか、だよね。一回の、しかも唇を触れ合わせるだけじゃ分からないよね。なら、もう少しだけ深いの、してみよっか。唇を触れさせてから……。舌を、入れて……。じゅるるる……。ちゅ。お互いの舌を、絡めて……。ちゅ、ちゅぱ、ちゅ、じゅる、ちゅ、ちゅ、ちゅぱ……。舌、伸ばしてくれるの? 嬉しい……。じゅるるる、じゅるるる……。ちゅ、ちゅ、ちゅ、んちゅ、ちゅ、ちゅぱ、ん……ちゅぱ。ああ~、これがキスか……。どうしよう、私って実は結構えっちなのかも……。ずっとしていたいって思っちゃうくらい気持ち良い」


(※アリスと同じ気持ちだ)


「本当に? 嬉しい……。お兄さんも、私と同じってことは、両想いってことだよね? どうしよう、夢の中で恋して、本当の恋人になっちゃった。ふふ、嬉しい! じゃあ、反対に移動するね? 右耳だけじゃ、寂しいでしょ?」


(アリスが左側に移動してきて、ギュッと抱き着いて来た)


「こっちでも、胸をぎゅぎゅーってして……。耳にー……。ふぅ~~~~~……からのパクッ。あむあむ、あむあむ……。どう? もう少し心の準備をする時間があると思ったでしょ? 残念、私は待ってあげないんだ~……。あむあむ、あむあむ、がぶがぶがぶ……。噛みながら、舌も動かして……。じゅるるるるるるるるるるるる……。ふふ、まさか外側を舐められるとは思ってなかったでしょ? 良い声出しちゃって、最高だよ。そうしたら……。やっぱり最後は……。耳の奥に、私の舌をねじ込んで……。じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。レロレロレロレロ……。じゅるるるるるるるるるるるる、レロレロレロレロ……。レロレロレロレロ……。ちゅ、ちゅ、ちゅぱ、んちゅ、ちゅ、ちゅぱ、じゅるるるるるるるるる……。レロレロレロレロ……。じゅるるるるるるるるるるるる……。ちゅぱ。どうだった? 私の耳舐めスペシャルコース。私の耳舐めで、気持ち良くなれた?」


(※最高だった)


「そっか、なら良かったよ。ねえ、もっとベッドの内側に入ってきて。ほら、早く」


(あなたは誘われるがままに、ベッドの内側に行く)


「あーあ、来ちゃった。女の子にベッドに誘われて、のこのこ付いて来ちゃって……。そんなピュアな男の子には……。えい!」


(あなたはアリスに覆いかぶさられて、ベッドに仰向けに倒れる)


「はーい、捕まえた。こうして、腕はお兄さんの首の後ろに回して、足はしっかりと足に巻き付かせて……。これで、もう動けないね」


(※アリス? これは?)


「うーん、どうしてこんなことをするのかって? それは、ね……。(あなたの耳元で囁く)私、お兄さんのことが本気で好きになっちゃったから、欲しくなったの。これまで、ちゃんと我慢してたのに……。お兄さんがいけないんだよ? 来ちゃ駄目って言っても、何度もこっち来ちゃって、私のことを誘惑するんだから……。だ、か、ら……。選ばせてあげる。このまま、こっちに残るか。それとも、帰るのか。お兄さんが選んでいいよ? でも、私としては~……。こっちに居て欲しいな。私、もうお兄さんとお別れしたくないんだもん。このまま二人で恋人して、添い遂げて、甘くて幸せな夢の中で永遠に一緒に暮らしていくの。それが、私の今の望みだから。さあ、選んでお兄さん。アリスちゃんの、悪魔の囁きに堕とされて夢の中に留まるのか……。それとも、振り切って現実の世界に戻るのか……。さあ、どうする?」


選択肢

1.夢の中に留まる


2.現実の世界に帰る

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