第3話 アリスとまったり赤ちゃんプレイの耳かきご奉仕
(目を覚ますと、そこは前回の夢の続きらしく、例の部屋のソファだった)
「やっほー、おはよう。お兄さん。それとも、こんにちは? こんばんはの方が正しいのかな? 夢の中だけど、おやすみなさいっていうのは違うから困っちゃうね」
(※アリス?)
「はーい、そうでーす! 可愛くて、清楚で、美少女なアリスちゃん! また会ったね、お兄さん。それにしても、またこっちに来ちゃうなんて思わなかったよ。あ、お兄さんの隣、いい?」
(※構わない)
「うん、ありがとう!」
(テーブルの向かい側に現れた彼女は、すぐにこちらにやってきて隣に腰かけた)
「それにしても……。まさか、お兄さんに二度も会えるなんて思ってもみなかったよ~。あれが最後って、ずっと思ってたから」
(※今回もアリスが呼んだのか?)
「ううん、私は呼んでないよ。私、同じ人を招待するのは一回までって決めてるの。前にも言ったけど、ここは夢で、皆が生きているのは現実の世界だから。お兄さんたちがちゃんと現実の世界で前向きに生きていけるように、一時的な癒しを与えるのが私の役割みたいなものなの。だから、一度来た人がこっちの世界にもう一度訪れたことは今まで一度もないの。そう、つまりお兄さんが初めての二度目の来訪者ってことだね。よっぽど、現実の世界で嫌なことがあって、こっちの世界に逃げ込んできたって感じなのかな?」
(※……まあ、そんなところかもしれない)
「そっか、それならそれで良いと思う。私は、誰かがこっちに来てくれると退屈しないからいつでもウェルカムだし。こっちに遊びに来ても、ちゃんと朝に起きられれば何も問題はないもの。さ~て、一度ならず二度までも、アリスちゃんの館にやってきちゃったお兄さんに、どんなサービスをしようかな~……。お兄さん、何かしてほしいことってないの?」
(※してほしいこと……。特には……)
「じゃあ、休みのときとかは何してるの? まさか、休みなしでずっと働いてるとかじゃないよね?」
(※それが……)
「え、まさか本当に休みないの? ちょっと、どんだけブラックなところで働いてるの? 流石に、心配になっちゃうな……。そうなると、こうやって落ち着いてゆっくりできるのも夢の中くらいってことだよね? それなら、したいことが思いつかなくても仕方ないよね」
(※何か、ごめん。気を遣わせて)
「ごめんって、謝ることじゃないよ。私の方こそ、ごめんなさい。他人の事情にはあまり踏み込まないようにはしてるんだけど、また嫌なことを思い出させちゃって……。うーん……、それなら、耳かきなんてどう?」
(※耳かき?)
「そう。夢の中だから、掃除というよりは耳かきされてる感触を味わうっていうか……。ASMR的なやつをしようって思うんだけど。どうかな?」
(※それなら、お願いしようかな)
「んふふ~、そうこなくっちゃね。お兄さん、顔が少しニヤついてる気がするけれど、美少女に耳かきされるって思ってちょっとは期待してるんじゃないの?」
(※それは、まあ……)
「あはは、ますます照れちゃって。顔、凄く赤いよ? ん~、可愛い! さあ、そうと決まればやりましょう! じゃあ、私の膝を枕にするから右耳を上にしてゴロンしてね。ほら、美少女の膝枕だぞ~。ちょっと、良い匂いもしちゃうかもしれない、ふにふにの太ももが柔らかくて心地良い極上の枕だぞ~? 遠慮せず、どうぞ~」
(あなたは言われた通り、右耳を上にして彼女の膝を枕にして横になる)
「おっ、意外とくすぐったいね。髪が若干、スカートと靴下の間にある絶対領域……って言うんだっけ? に当たって。どう? アリスちゃんの膝枕、感想聞かせてよ」
(※癖になりそうなくらい、気持ち良い)
「やだ、癖になりそうだなんて褒め過ぎ~。でも、そんなに気に入ってくれたのなら、またしてあげてもいいかな~? じゃあ、まずは耳かきを出すね……(パチン)。はい、オッケー。それじゃあ、アリスちゃんの耳かきショーの開始でーす! はーい、まずは……。この耳の外の渦巻からお掃除していくね。この、一番外側の淵から内側に円を描くように撫でて……。カリカリ、カリカリ……。どう? 気持ち良いでしょ? こう、ちょっと引っ掻くみたいにすると……。ふわふわとした感触に混じった、ちょっとした痛みも快感に変わっちゃわない?」
(※……お母さんみたいな安心感があるな)
「お母さんみたいな、安心感? ああ、何か分かるかも。私も、昔の昔は、そんなこともあったかもしれないから……。もう、ずっと前過ぎて全く覚えててないけれどね。……そうだ、私がママになってあげようか?」
(※ママに?)
「そう。お仕事で疲れてるだろうし、中々、甘える機会もないだろうから。うーん、そうだな……。ほら、夢の中では、私がお兄さんのママでちゅよ~。ママが、沢山甘やかしてあげまちゅから、いーっぱい、甘えてくだちゃいね~。ふふ、ああやばい、どうしよう。ちょっと癖になりそうかも。あ、ごめんなちゃいね~。ママは~、お兄さんのママでちゅから~、ヤバいなんて言葉は使いまちぇんよね~。は~い、今度は、耳の奥の方をコリコリ~ってしていきまちゅからね~。耳かきの棒を~、こうやって奥に入れて~……。カリカリ~、カリカリ~。気持ち良いでちゅか~? 気持ち良いと頭がふわふわ~ってして、お目めとろ~んってして、段々、お眠になってきまちぇんか~? いいんでちゅよ~、お眠になったら、スヤスヤってしても。ここは、楽しい、楽しい夢の中でちゅから~、夢見心地な気分になっても大丈夫なんでちゅから~。だから~、いっぱい、い~っぱい気持ち良くなってくだちゃいね~」
(※うん、ママ……)
「今、ママって言いまちたね~? そうでちゅよ~、ママでちゅよ~。あとは、こうして耳の奥をカキカキ~ってして、奥のゴミもかき出して~。はい、最後は梵天で仕上げでちゅよ~。ふわふわした綿で~、耳の中をポンポン、コリコリ~ってして……。最後は~……。(耳元に口を寄せて)ふぅ~~~~~……」
(体をびくんと震わせる)
「うふふ、体が今、びくんってお魚みたいに跳ねまちたね~。気持ち良かったんでちゅね~? いいでちゅよ~、もっと気持ち良くなっても。まだ、反対のお耳が残っていまちゅから、グルっと体を回してくだちゃいね~」
(体をグルンと回して、反対の耳を上に向ける)
「良い子でちゅね~、(頭を撫でながら)偉い偉い~。じゃあ、反対の耳も~、丁寧にお掃除していきまちゅね~。は~い、外側から内側に沿って~、すーっと撫でるようにして~……。あ~あ、もうお目めが半開きで蕩け切ってまちゅね~。顔をこっちに向けてるから、丸分かりでちゅ~。ほら、私の大きなお胸、見えまちゅか~? そうでちゅ~、このおっきな、おっきなお胸、マシュマロみたいでふわふわでちゅ~。素直で良い子でちゅから~、特別に揉んでもいいでちゅよ~」
(眠たさで朧げな意識のまま、手を胸まで伸ばす)
「あん、んふふ~、どうでちゅか~? ママのお胸、気持ち良いでちゅか~? 暫く、揉んでいてもいいでちゅからね~。でも~、耳かきは続行でちゅ~。ほら、次はお耳の中まで耳かき棒が進んでいきまちゅよ~。コリコリ、コリコリ~。耳の裏側を優しく愛撫して~、このまま幸せな気分でおねんねしちゃいまちょうね~。あん、んん……。急に、お胸の触り方を強くして……。もう、なんてすけべえな赤ちゃんなんでちょうか~。困った子でちゅね~。でも、いいでちゅよ~。そのまま、もっと力を込めて、グッて揉んでみてくだちゃい~。うふふ、知らないと思ってまちたか~? お兄さん、私の胸をチラチラってこの間のときも見てたの、知ってたんでちゅよ~? 今日だって、私の姿を見て真っ先にお胸に視線を向けて~、隣に座ったときも~、チラチラ、チラチラって見て~。うふふ、まさか、知られてると思ってなくて~、今更恥ずかしくなったんでちゅか~? お耳もお顔も、タコさんみたいに真っ赤っかでちゅよ~? でも~、分かっててもお胸を揉むのは辞められないんでちゅね~。んふふ~、そんなところも情けなくて可愛いでちゅよ~。さあ、そろそろ仕上げのお時間でちゅ~。名残惜しいでちゅか~? でも、夢はいつか終わるものでちゅ~。まずは、梵天で~、ポンポン、フワフワ、さわさわさわ~……。そして~、お待ちかねの仕上げは~……。(耳元に口を寄せて)ふぅ~~~~~~……。はい、終わりでちゅ。気持ち良かったでちゅか~?」
(※気持ち良かった……)
「ふふ、そっか。それなら良かった。あーあ、もう眠りかけてる。夢の中なのに、こんなに幸せそうな顔しちゃって……。ううん、むしろ夢の中だからこそ、こうやって幸せな気分になってくれて私は嬉しい……はずなんだけどな。君が、もうすぐ起きちゃうって思うと、何だか寂しくて、悲しくて、ちょっとだけ名残惜しいな……」
(※……泣いているのか?)
「え、泣いてる? そんなわけないよ! ほら、にーってこんなにも笑顔だし! 元気、元気! あはは、同じ人が来てくれたことがなかったから、ちょっぴりセンチメンタルな気持ちになっちゃったのかも。君がここにいてほしいって、願っちゃ駄目なんだよ。だって、君は向こうの世界で、辛くても懸命に生きているんだから。だから、君もここにいたいだなんて思わないようにしてね。そんな風に言われたら、私、きっとお兄さんを欲しくなっちゃうから。だから、このままぐっすり寝て、今度こそもう来ないようにしてね。あなたが生きるべき世界で、ちゃんと生きないといけないんだから。こっちの世界の方が住みやすいのは、当たり前。だって、何でも思い通りになる甘くて幸せな夢の中なんだから……。だからこそ、この誘惑に勝ってほしい。お願いだから、分かってね?」
(※……頑張る)
「頑張る、か。ちょっと頼りないけれど、それなら頑張れって応援していてあげる。現実世界の辛さに負けないで、どうか……。今だけは、安らかな眠りを……」
(※……ありがとう、アリス)
「どういたしまして。ほら、おやすみなさい。良い現実が、見られますように」
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