第4話

逃げるようにして帰ったその日の午後。

病院から1本の電話がかかってきた。


「はじめが……死んだ……?」


嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ…………


「う、嘘じゃないんですよね……?」


お願いだから嘘であってくれ、そう思っていた僕の耳に届いたのは、一の担当医の無慈悲な声だった。


────── 一さんは先程、必死にあなたの名前を呼びながら亡くなりました。



あぁ、僕はなんて馬鹿なことをしてしまったんだ。

一の体調が優れないことなんて分かってたのに。

最期まで一緒にいるって決めたのに。



もう、会えないのかな。

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たとえ喋れない君でも ウレシノハラ / 狂咲林檎 @kyouzakiringo

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