第27話 不思議な話

 平田篤胤あつたねの「勝五郎再生記聞」の抄訳を読んで驚いたことがあるのでちょっと聞いて下さいませ。


 この「勝五郎再生記聞」というのは文政6年(1823年)に書かれたもので

8歳(数え歳、満6歳)の少年・勝五郎をめぐる「生まれ変わり事件」を記したものです。


 簡単に言うと勝五郎が前世の記憶を持ったまま生まれ変わるという異世界ファンタジー真っ青な実話です。


 勝五郎は6年前に6歳で亡くなるまでの生まれた土地や両親、自分が死んだときのこと、死んでからの事なども覚えていました。


 死後から6年後に生まれ変わりますが、勝五郎は前世の記憶があるのは当たり前と思い、姉や兄に以前は何処の子で何という名だったかと聞くのですが誰もそんなことは覚えておりません。


 もちろん最初は誰も信じてくれないのですが実際にその村も家も親も亡くなった子どもも実在しており事実としてみんなの知るところとなったわけです。


 その中で私が驚いたのは、勝五郎が現在の生みの親のお腹に入る時の話でした。


 まずは勝五郎が前世で亡くなった後の話から。


 息を引き取るときは苦しくなかった、その後少し苦しかったけどすぐに苦しくなくなった。棺桶に入れらるときに体から飛び出して棺桶の側にいた。棺桶を山に持って行って穴に落とされるときに上に乗っていたけど音が響いたのを覚えている。


 その後は家に帰って机の上にいたけど人に話しかけても聞こえていないようだった。


 そのうち白髪を長く垂れて黒い衣服きものを着たおじいさんが「こちらへ」というのでついて行ったら綺麗な芝原についた。


 そこで遊んでいるうちに、あるときおじいさんが「あの家に入って生まれなさい」と勝五郎の家を指さして言ったので庭の柿の木の下で3日間様子を伺い、その後窓の穴から中に入ってかまどの近くで3日間そこにいた。


 どうやって母親のおなかの中に入ったのかは覚えていない。


 以上の話を踏まえて


 以前、勤めていたパート先にいた同僚の女性の話です。


 彼女は霊感が強いらしく、私はそのことは知らなかったのですが何とも説明のつかない雰囲気を持った人だなと感じていました。

 勿論そんなことは口に出しませんし、親切にしてくれて普段は世間話や仕事の愚痴などをお互いに話したりして不思議な話とか怪異の話などは一切しませんでした。


 それがある日のこと、何故かそういう話になって彼女が自分の体験をいろいろ話してくれたのです。


 詳細は伏せますが、彼女の自宅の玄関で夕方の同じ時間にインタフォーンを鳴らす小さい男の子がいたらしいのですが、モニター越しにこの子はアレだなと思ったらしく出なかったそうです。

 ですが何日か続けて同じ時間に鳴らすので彼女が諦めて「もう、分かったわよ」と、ドアを開けるとその子が彼女のお腹に飛び込んできて消えたんですと。


 翌日、気になって調べたら妊娠していたということでした。


 ただ彼女が不思議がっていたのが男の子が入ってきたけど生まれたのは女の子だったのよってことでした。


 いや、性別の話より飛び込んで来た話に驚いたんですけど、と思いつつ、なんでだろうね~って話し合わせましたが。


 ですが、その答えもこの本にありました。勝五郎の姉の前世は男の子だったようなので性別が違ってもさほどおかしくはないようです。


 彼女の体験って勝五郎と同じような事だったのではないかと納得がいった次第です。


 時代は変わっても不思議な話は同じようにあるんですね。




引用:「江戸の霊界探訪録」平田篤胤




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