第17話 速記
昔の話ですが早〇田速記を習っていました。
本校ではなく先生の自宅で開いていた速記教室です。こちらは皆さん速記者を目指しているので仲良しクラブ的なシナリオセンターとは全く違いました。
そこでは某市の市議会で会議録を速記し反訳する仕事を請け負っていたようで2年くらい在籍している先輩の若い女性が2人組で出向いていました。
私が在籍して1年くらい経った頃、一人の女性が都合でいけないことになり、私に白羽の矢が立ちました。
私は「絶対に無理です」と、断ったのですが録音テープも回すし、先輩もいるので大丈夫、私の琴線をつく「いい経験になるよ」の言葉に貪欲な好奇心が行きたい行きたいと騒ぎ出しました。
気が付いたら「はい」と返事をしてました。私の馬鹿
そして初めての議会での速記、議員さんが座っている席と議長の間の空いたスペースに机がありテープレコーダーをセットして速記用の半紙(なんでもいいんですが私は半紙を半分に折ったものを使っていました)と0.9mmのデッサン用シャープペン(これも何でもいいです)を用意して緊張しながら座っていました。
先輩に注意されたのは
「とにかくすべて速記する、議員さんの発言はすべて」
例えば、何かの案件を話しているときに誰か違う人がヤジを飛ばしたらそのタイミングでヤジも速記する、笑いが起こったらそのタイミングで笑いと速記する
えええーーー、そんなことまで同時進行で速記するんですか? 絶対私無理ですよってなったのですが、ここまで来たら帰れないので極力頑張ることにしました。
始まったら、まぁ、ヤジどころか普通に発言者に話しかける人いるし、雑談してるし、寝てるし、どうしろとw
いや、寝てる人はいいんですよ、喋ってない分
問題はヤジならぬ話しかける人「おい、△△、飲み屋の○○ちゃんどうしたよ」って大きな声で今この時言うことですか? これ録音されてますよw
そんなこんなで最初は頑張りましたが、全然ダメでした、最低でも速記検定2級は受かってないと話し言葉に手がついていけません。もう途中であきらめてヤジと笑い声だけ拾います。
しかしながら、あくびしてるおじさん議員みたら私まで眠くなってくるし、これはまずいぞと寝ている議員さんの頭を写生して気を紛らわし、後光のさす禿げ頭に早く終われと祈りを捧げます。
昼休憩を挟んでやっと終わった時は涙でそうでしたw
あとは先輩と録音テープ頼りですね、まぁどちらにしろ帰ってからテープ起こしを別の人がするらしく、私は数合わせに来たようなものだったのですが。
多分ですが出た人数と議事録の作成みたいなもで教室の先生は報酬をもらっていたのではないかと思います。
報酬いくらかですって? 私は初めて行く見知らぬ遠方の地で一日使って無報酬ですよ!
帰りの電車で先輩が愚痴っていました、生徒にいい経験だとか言ってただ働きさせてるのよね~っ、だから××さん今日休んだのよって
騙されたー
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