第11話 ある不動産屋さんのお話 1
これはある不動産会社に勤めていた時のお話です
そこはこじんまりした所で主に戸建ての建売をしていました。
社長は文学好きな人で苗字が有名作家さんと同じなので親近感が沸きました。
家庭的には結構問題があるのか娘さんや奥様は困った人なのよっておっしゃっていましたが私は面白いので嫌いじゃなかったです。
常務は可愛いおじいちゃんって感じでした。
ある日のこと、かかってきた電話を取ると
「ねぇ、社長いる~ぅ、」と、明らかにオネェな方からです
「お世話になります、恐れ入りますがお名前をお願いできますでしょうか?」と私
「あら、六本木の金魚って言えば分かるわよっ」
「??分かりました、少々お待ちください」
「社長、ろっぽんぎのきんぎょさんからお電話です」
すると社長は胸の前で腕をクロスして首を横に振っています
これはいないと言う合図だなと私はうんうんと頷きます
「申し訳ありません、只今不在にしておりますので折り返しこちらからご連絡いたします」
「ちょっとぉ、ほんとなのそれぇ、私困ってるのよ、ツケを払ってもらわないと
生活できないのよぉ、常務はいないの?」
「えっ、生活できないんですか」
「そうよぉ、明日食べるものもないのよぉ」
「少々お待ちください」
「社長、きんぎょさん困っているそうですよ、生活できないって言ってます!
常務はいなのかって聞かれましたがどうします?」
その頃は私も若くて純真?(おバカとも言う)だったのでめっちゃ真に受けてましたw
社長と常務は私のキラキラした目(多分)をみて断れなくなったのか渋々電話に出ました。
後で常務から
「あの人達は僕らより稼いでるからね、あれ嘘だから信じちゃだめ」って言われました。
そっかーって思いましたが、ツケてるんだよね、とも思った私です。
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