第八話 どうしてお前たちがこんなところにいる!
~ジェーン男爵視点~
くそう。今日は本当に気分が悪く、最悪の1日だった。クレマース紹介の人間が屋敷に来た時は、幸運だと思っていた。あの女の代わりが直ぐに手に入ると思っていたからな。
だが、実際は売買ではなく、以前私が買い取った奴隷のカレンを買い戻すと言うものだった。
まったくふざけた話しだ。向こうから買わないかと誘ってきたと言うのに、今頃になって連れ戻そうとするとはな。
だが、もうそんなことはどうでも良い。クレマース商会とは何が起きても縁を切ると決めたのだ。私と言う常連客を失ったあの男たちがどうなろうと知った事ではない。
目を通してした書類から視線を外し、フッと窓の外を見る。
深夜の夜空には星が輝いていた。
「さて、夜も更けてきたし、そろそろ頃合いかな。今日はストレスが溜まることが多かった。発散するとするか」
独り言を漏らし、座っていた椅子から立ち上がる。すると、急に目眩を感じて机の上に手を置く。
「今のはなんだ? 目眩か? この私が目眩を起こすなんて珍しいな。相当体に負担をかけているのかもしれない。善人の男爵を演じるのも大変だからな」
気分が優れ始めると、今日の夜伽相手を決めに廊下に出る。
さて、今日はどの奴隷の女と楽しもうか。
地下に繋がる階段を降りて行く。しかし視界に入った光景を目の当たりにした途端、目を大きく見開いた。
「どうして抜け出している?」
地下牢に閉じ込めていたはずの奴隷の1人が、なぜか牢屋の前に立っていた。
牢の前には見張りが1人いたはずだが、その人物はどこにも見当たらない。
トイレにでも行っているのか? いや、今はそんなことはどうでも良い。今大事なことは、どうして奴隷の女が逃げ出してしまっているのかだ。
急ぎ女に近付くと、彼女も気付いたようでこちらに顔を向ける。
「あ、男爵様、お疲れ……え?」
脱走した奴隷の女の手首を掴んだ瞬間、彼女は困惑したかのような表情を見せる。
だが、今はそんなことよりも牢屋の状況だ。
牢屋の中を見て状況を把握すると、どうやら逃げ出したのはこの女だけのようだ。他の奴隷たちは牢屋の中におり、死んだ魚のような目をしている。
本当に可愛げのない奴らだ。最初来た時はマシだったのだがな。まぁ、その原因を作ったのは、紛れもなくこの私なのだがな。激しくしすぎて心を折ってしまったようだ。
奴隷たちの状態を確認した後、牢屋を見る。
だが、別に壊されているような形跡もなく、穴が掘られているようなこともなかった。
なら、どうしてこの女は牢屋の外にいた?
疑問に思いながらも女に視線を向ける。すると、彼女は困惑した顔で見つめていた。
この女、良く見ると他の奴隷よりも元気そうじゃないか。この女なら、今晩は楽しめるかもしれない。
「こっちに来い」
「え?」
奴隷の女の腕を引っ張り、寝室へと向かう。そして女をベッドに押し倒した。
「だ、男爵様? これはいったい?」
「何を言っている? もうわかっているはずだろう? 今夜の夜伽の相手はお前だ」
お前の体を使って性欲を発散することを告げると、奴隷の女は顔色を悪くする。
ククク、良い表情だ。その顔が堪らない。
口から舌を出して自身の唇を舐める。
さぁ、お楽しみといこうじゃないか。
ベッドに上がり、女が逃げられないように跨がる。そして彼女が来ている服を掴むと勢い良く破く。
「男爵様、お止めください」
「何を言っている? お前たち奴隷は、私の性欲を満たすためにこの屋敷に連れて来られたのだ。そのことは知っているはずだろう?」
破かれた衣服から顕になった肌は少し荒れており、触れてみると若干硬い。そして胸も平らで男のような体付きをしていた。
まぁ、胸とは脂肪の塊だ。奴隷となって満足な食事ができていない以上、肌が荒れて胸が小さくなってもおかしくはない。
「逆らえるのなら逆らっても良いが、そうすればどうなるのかわかっているよな」
「お願いです。おやめください」
ニヤニヤと口角を上げて状況を楽しんでいると、女の目尻から涙が流れる。それを見た瞬間、一気に興奮が最高潮に達する。
なんて反応だ。まだこんな反応をする奴隷が残っていたなんて。
何度も犯した結果、奴隷たちは全てを受け入れるだけの人形と化し、心が死んでいた。
だが、この女はまだ感情が残っている。
「ハハハ! まさか久しぶりにこんな反応をする奴隷とやれるなんてな。今日のストレスが一気に発散できそうだ!」
この後私は、女奴隷の唇や胸、そして股にムスコを挿入して楽しんだ。
お楽しみをしていると、扉が突然開かれる。すると3人組が入って来た。
1人は男で短髪の髪型をしており、残りの2人は女だった。片方は水色の髪を毛先にウエーブをかけたセミロングにしており、もう1人は赤い髪をツーサイドアップにしている女だ。
こいつらには見覚えがある。今日私を怒らせたクレマース商会の関係者たちだ。
私のお楽しみをしている光景を目の当たりにしているから、奴らは苦笑いを浮かべていた。
「お前たち、どうしてここに入って来られた! 扉には鍵がしてあっただろう!」
「それは私が実家から持ち出したピッキングツールでこじ開けたからです」
赤い髪のツーサイドアップの女が私の問いに答える。
「ねぇ、フリードちゃん、ジェーン男爵は奴隷の女にしか手を出さないって話しじゃなかったの?」
「そう言う話しなのだが、おそらくジェーン男爵は、俺の魔法で認識を変えられているのだろう。ちょっと可哀想だが、目を覚まさせてあげよう。多分発狂するかもしれないが、頑張って理性を保っていてくれ」
男が意味の分からないことを呟いた途端、やつは指をパチンと鳴らした。その瞬間、目の前に広がる光景が信じられずにいた。
跨っていたはずの奴隷の女は、口髭を生やしたおっさんになっていたのだ。この顔、もしかして牢屋を見張っていたやつか?
つまり俺は、こいつの体であんなことやこんなことをしてしまったのか?
「嘘だああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ! これは悪い夢だあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
私は現実に起きていることが信じられず、思わず絶叫をしてしまう。
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