女子に言い寄られないのは、俺のせい?じゃない?
第十七話
入学して3ヶ月ちょっと経った。
それと共に、男子が大勢の女子に囲まれた学校生活に慣れてきた頃……いや、分からんけど。
とにかく時間はそれなりに経ったということで……。
高校生活最初のビッグイベントが訪れようとしていた――――
◇◇
「今日から5、6限目は林間学校についての時間になるが……。お前ら。毎回ソワソワするぐらいなら、今全力で喜んどけー」
赤ジャージを羽織った我らが担任、
「「「林間学校きたぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
教室はライブ会場並みに大盛り上がり。
椅子から立ち上がって喜ぶ女子やガッツポーズをする女子。中には、涙を浮かべる女子まで……。
ちなみに男子の田中と高橋はというと、聖美先生からの前フリもあって、耳を塞ぎ、女子の盛り上がりを見ないようにしていた。
「いやぁ、凄いね」
隣の席の留衣さえ、女子たちの熱に押し切られている様子。
まあ俺もなんだけど。
「林間学校……ほんと、どんな感じになるんだろうなぁ。初めてだし、楽しい思い出作れるといいけど……」
「うん? 郁人は中学の頃行かなかったの?」
「あー……。実は林間学校の時期にちょうど風邪をひいてしまってさぁ。行けなかったんだよ」
「なるほど。だからより楽しみにしていたんだね」
「そうそう」
林間学校に行けなかった時はほんと凹んだよなぁ。
だって3年間に1度の行事だし。
せめて、クラスメイトの男子から感想でも聞こうとしたが……なんだがゲッソリしていたり、学校を休む奴までいたので聞くに聞けなかったのだ。
「クラスの人数は25人だから……5人の班を5つ作ろうか。みんな分かったかー?」
聖美先生がそう言えば、みんな「はーい」と返事。切り替えが早いな。
「5人の班……。ってことは、俺たち男子3人と男性護衛官3人じゃ……オーバーだな。どうしよう、留衣」
これなら田中と高橋も比較的安心できるだろう。でも1人オーバーてしまうなぁ。
「あー……言っちゃったねぇ」
「え?」
留衣が地雷と踏んだとばかりに、苦笑い。
そして、ザワザワと賑やかだった教室内が静まり返り、全員が。聖美先生までもが俺に視線を向けてきた。
えっ、そんな大声で言ったわけじゃないのにみんな聞き取れたの⁉︎
「先生……!」
1人の女子が声を上げて、聖美先生の方を意見を求めるように見る。
「こほんっ。そうだなぁ……。林間学校とはクラス内の交流を目的としたイベント……。だからいつも通り固まって行動してもらっては困る。今回ばかりは、男子にも少々我慢してもらうところが出てくるかもしれないな」
これに関しては、田中と高橋もしょうがないとばかりに小さく頷いた。
「あとは班の決め方についてだが……」
ごくり、とクラスに緊張感が走った気がした。
「去年は自由に決めていいクラスもあったみたいだが……。先生、めんどくさくなるの嫌だから……はい!」
どん、っと教卓の上に……箱が置かれた。
「先生がわざわざくじを作りました〜。パチパチー。不正ができないように、紙じゃなくてボールに1〜5の班の番号を書いたからなぁー。同じ番号の人が同じ班だってことだ。じゃあはい、端から引いていけー」
クラスから「えー!」と声が上がるものの、聖美先生は番号が書かれたボールが入っている箱を持ち、順番に回っていく。
「お願いします……お願いします……」
「私の一生の運を使ってでもいいからっ」
「ブツブツブツブツブツブツ……」
見れば、拝みながら箱に手を突っ込む女子や何やら十字架を空気中に描いいる女子。なんかブツブツ唱えている女子も……。
窓際の端の席の俺は、最後にボールを引くことになりそうだ。
どんな子と一緒の班になれるんだろうなぁー。
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