メルトの話した昔話の裏話 2

 王女に恋した少年でしたが王女が話している少年に目が惹かれました。少年は自身に似た美しい白髪に覇気を感じる剣を携えた明らかに普通の人間ではありませんでした。少年は理解しました。少年が勇者であると。そして勇者の隣に居た妖美な女性の話を聞いているとどうやら王女はその世界へ旅立ちたくそれに同意した勇者と使者が明日の夜に勇者が迎えに来るという内容でした。少年はすぐに気が付きました。そんなことをすればセラフ神聖国とサフラン王国に大きな溝ができるということを。若い勇者はまだしも隣にいる女性は確実に理解しているはずです。それなのに同意しているということは王女を人質にしようとしているということだと。青年は考えました。明日までにどうにか王女を攫わないと自分にとっても王女にとってもまずい、どうにか助けないとならない。しかし分かる。勇者であろう少年に真正面から向かえば負けると。少年は考え不意打ちすることを選んだ。次の日の夜、迎えに来た勇者の背後から少年は槍を持って襲い掛かり倒すとそのまま王女を誘拐していきました。そしてそれがパンドラの箱を開けることになるとは思わなかった

 バビロニアまで連れ去った王女を父親は牢に捕えた。しかし王女が苦しまないようにと王女が住んでいた王宮の自室と変わらない環境を整えさらに王女の年代が好きそうな本を渡すなどした。しかし少年はそれだけでは王女が悲しみさみしがると思い時間があれば王女に会いに行った。後々、それが恋心からの無意識の行動であったのかもと気が付き赤面した。そんな生活は半年続きその半年間はとても楽しいものであった。恋する女を独り占め出来たうえ少女は心から笑みを浮かべていたからだ。しかしそんな生活も長続きはしなかった。ある日、少年が父親と話していると突如配下の獣人たちが武装して部屋になだれ込んできたのだ。そして父親が何事だと問うと父親の側近の獣人が「貴方はサフランの女王と恋仲になり王子とは別に娘が居るな!」と言い放ったのだ。少年は驚いた。それはつまり自身はサフランの王子でもあり、攫った王女は自身の姉か妹、、、そして何より恋した女は恋することが許されない血の繋がった相手だということだからだ。あまりの衝撃に少年は愕然とする。それを見た側近は「王子も騙されていたのですね!我々は王子に責を問おうなど考えておりません。裏切り者の父親の後をお継ぎになって我らが王となってください!」と言ってきたのです。少年は聞いた「王女は、、、俺の姉か妹はどうする?」と。すると側近は「貴方様の手で始末なさってください」と返した。そしてその瞬間少年は「そうか」と言って自身の得物である槍と固有魔法を用いて仲間であった獣人を貫き王女の下へ向かった。当然激しい抵抗により少年の体を傷つけた。しかし少年は止まらずの下へと向かい血に染まった自身に驚く少女を抱き抱えそのままバビロニアからもサフランからも遠く離れたエモクロア共和国から続く森へ逃げ込んだ。そしてそこから少年は味方が居ない孤独で辛く苦しい戦いに墜ちることとなった

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