追われる男か追う女か

「それでは俺の名前が書かれた母さんへのお願いの手紙をお渡しするのでこれを使えば再建に必要な人間が集まると思うのでお願いします。あとこれ金貨20枚ほど使ってください」

エレボスはそう言いながら紙とお金を渡した

「お、お金まで!」

「別に有り余ってますから。それでは俺は2人を追っかけるので!死者が出なくて本当に良かったです」

そう言うとエレボスは街を出て行った


ちなみにこの一連の行動でエレボスの名前はさらに広がることとなった

そしてその結果はセラフ内部の情勢を混沌の渦に巻き込む小さな一因となることにもあった 

小さな小さな要因であったがだからこそ固い重い要因となった






「それにしても」

(女王直属の人間が自国の町を破壊して住人に負傷を負わせる戦闘をするって男はどんだけヤバいんだよ)

「金髪の人族の姿をしながら人族の匂いがしない男と銀髪の吸血鬼の女性、、、ミステリー小説の世界に迷い込んだか?」

エレボスは困惑する

「ひとまずユグドラシルへ向かえば何かしら進むだろうし行くか」

そう考えてエレボスは急いで足を進める

だが

「「グァ!!」」

「なっ!」

熊型のモンスターが襲ってきた

(街道周辺はモンスターが来ない術式があるんだけどたまに抜けてくるからな、、、厄介だな)

エレボスはそう考えながら

「インフェルノスラッシュ!」

ズバン

「「ガァ!!」」

大熊を一閃で焼き切った

「、、、ん?」

しかしエレボスはその斬り心地に首を傾げる 

いや正確には

「命を刈り取った感覚が無い」

殺したという感覚が無かったのである

「「グゥ、、、」」

そして焼き切ったはずの大熊は全匹立ち上がった

「今の一撃は内臓を切り裂いたはずなんだが?」

(内臓を切り裂かれても動いてくる?)

エレボスは大熊の生命力に目を細める

「ひとまず首を切り裂くか。黒風一閃」

スパン!

「「ァ!」」

「よしと」

首を切り裂いたエレボスは刀を鞘に仕舞う

「ん?」

そして気が付く

「この匂い魔国で」

いつどこでかはわからないがエレボスの記憶に確かにモンスターの死体から魔国で嗅いだことのある匂いがしたのだ

(どこでだ?2種類の匂いをそれぞれ2か所づつ嗅いだことがある気がする、、、なんだ?)

エレボスは匂いの正体に困惑する

「魔国ってことは悪魔関係か?」

(金髪の男の正体って、、、悪魔教団関係者じゃねぇだろうな?)

「だとすると女王直属の吸血鬼の女性の手助けしてそのまま恩を売る、、、いや、金髪の男を助けて敵の敵は味方理論で一緒に逃げるか?」

(金髪の方を助けるって言うのはエモクロアへの敵対行為だからちょっとまずいんだけど、、、どうするかな?)

エレボスは頭を悩ませる

(というか女王直属に追われてるってやっぱり相当ヤバい存在だよな、その金髪の男、、、何者なんだ?)

「難問だな」

エレボスはモンスターの死体を見ながら頭を悩ませるのであった

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