突然の爆弾

「「なっ?!」」

獣人の言葉に酒場の店員や客が驚愕する

「アホかお前?!!」

「銀貨十数枚のために命を懸ける気か?!」

「セラフに消されるぞ!!」

口々にそう言う すると

「問題無い。勝機がある」

獣人の男はそう言った

「勝機?というか金貨20枚の情報を銀貨数十枚で?何が狙いだ?」

そんな男にエレボスがそう聞くと

「将来的にちょっとな、、、銀貨は最低保証分だ。それでどうする?」

獣人の男はエレボスにそう聞く

「聞かせてくれ」

エレボスは銀貨を渡した

「昨日のちょうど同じ時間帯にエレボス君と似たようなことを聞いてきた槍を持った男が居てな。結局何も聞けずに帰って行った」

「なるほど、、、それで?」

「その夜にこの酒場で吸血鬼族の女性が現れてな。槍を持った男を知らないかとピンポイントで聞かれてな。髪色とかの特徴も同じであの男だと分かってな。それで昼に来たぞと伝えてそのまま女性は出て行ったんだ。その女性が持ったいたのが女王直々の印がされた身分証でな正体は女王直属の人間らしい」

「、、、女王直属の人間が追っている男か」

(確実に何かあるな)

エレボスはそう考える

「そして男なんだが、、、変な匂いがした。まず見た目は人族だったんだが人族の匂いじゃあれはなかった。でも他の種族でも感じたことが無かった、、、正確にはなんか記憶はあるんだが分からないんだ」

そんなエレボスに最後に獣人の男はそう情報を話した

「その男を探してみるとするか、、、ありがとうな」

「気にするな、、、あとこれを」

男は1枚の紙を渡してきた

それは

「サフラン王国経済大臣 ロンド・バビロン」

と最初にそう書かれていた

「え?!これって、、、」

それを見てエレボスは驚愕する

「文字通りだよ。俺はサフラン王国の経済部門の長で偉いんだよ。今はエモクロアでの仕事をしながら半分休暇中なんだ、、、経済部門は今起こってる反乱が終わるまでは暇だから忙しくなる前に忙しくなった時の反動を減らすための裏工作と休息を取ろうとな。これからユグドラシルに行きたいんだがまー、女王への謁見は無理そうだからできる限りの上層部に会おうと今コンタクトを取ってるんだ。そしてそんな中想定外のセラフの超重要人物に恩を売れる機会が来たからな。今サフランはセラフの力を借りてるからあとで色々と有利になりたいからそれを期待してんだ」

「なっ、、、なるほど」

バビロンの言葉にエレボスは納得する

「期待してるぜ?」

バビロンは笑みを浮かべる

「金貨で支払っておいた方が良い気がしてきたぜ」

エレボスは苦笑いを浮かべる

「まー、親子喧嘩が穏便に終わることを願っているよ」

「ど、どうも」

(なんか爆弾を抱えた気がするな)

そう考えたエレボスは内心ため息をつく


そしてその考えは大正解であった

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