フレデリカ、エモクロアに降り立つ
次の日
「なるほど、、、逃げられたと」
フレデリカの嫌悪と怒気に満ちた声が教会内に響く
「「申し訳ございません!」」
パデルを始めとした教会の信徒は顔を青ざめさせ体を震わせ頭を下げる
「っ!あなた達には怒ってないわよ、、、この理不尽にイラついてるだけよ。怖がらせてしまってごめんなさいね。楽にして頂戴」
「「はっ!」」
「それで?どうやって逃げられたの?」
フレデリカがそう聞くと
「エレボス様に任され私が渡した食事の中のスープを飲んだところ苦しみだして毒を盛られたのかと思い演技の可能性も考え細心の注意を払ってエレボスさんに近づいた瞬間にスープを掛けられて一瞬視界を奪われた隙に逃げられてしまって。魔法封印の術式は消失していました」
監視をしていた教徒がそう当時の状況を説明した
「なるほどね」
(牢からそんな即座に誰にもバレずに逃走したとなると、、、闇魔法のシャドーダイブで影に潜って逃げたわね)
フレデリカはエレボスがどう逃げたかを正確に理解する だが
「魔法封印の術式が消失って言うのは許容量を上回る攻撃をエレボスが放ったってこと?」
(エレボスの力じゃどう考えても無理。魔解でも使って?)
エレボスが魔法封印を破壊した方法がわからない
しかしそれもそうだろう エレボスは封印を破壊したのではない、消去したのだ
「いえ、そもそも魔法封印の術式ごと抹消されました。ガラスの檻を破壊して逃げたのではなくガラスの檻の存在をこの世から消して逃げたと考えていただければ」
「え?どういうこと?そんなことできるものなの?」
フレデリカは困惑する
「我々の知る知識では不可能です。強いてあげるとすれば魔法封印は神聖術式の結界術の一種ですから悪魔関連の力で破壊されたという可能性が。エレボス様はここエモクロアに来る前にアーデン魔国を訪れていたので、、、申し上げにくいですが切羽詰まって忌まわしき悪魔の力を会得された可能性が」
パデルがそう言うと
「それは無いわね。大教会の魔法封印は総裁司教が魔解しても破壊できないほど強固な物。それほどの悪魔と契約していれば目に見える代償があるはずよ。エレボスが悪魔契約をしているとは考えにくいわね」
フレデリカはそう言ってエレボスが悪魔の力を扱っていないと否定した
(エレボスが闇魔法の適性と悪魔契約をしていることは私と教祖とヤマトの上層部以外知らない機密事項なのよ。悪いけど感づかれるわけにはいかないのよ)
一応そんな私心もあることは誰もわからない
「と、ところでフレイヤ女王陛下へエレボス様のことを報告しますか?」
パデルがそうフレデリカに質問する すると
「絶対にしない。あのクソ師匠のことよ。私の息子なんて得物、確実に私より先に捕えて私に無理難題を吹っ掛けてきかねない」
フレデリカはそう半ギレで返した
「そ、それ大丈夫なのでしょうか?エモクロア共和国で許可なく動くことはかなりマズいと愚考します」
「大丈夫よ。フレデリカという女性が息子を探しているだけだもの?問題ないわ、、、問題にさせない」
(待ってなさい。エレボス、、、絶対に捕まえる)
フレデリカの魔の手がエレボスを狙う
エモクロアのとある小さな町
「クソ!まさかもうバレたのか?!」
男は焦る
「ひとまず一回回復に努めるしかないな」
そう言う男の体は血が染まっていない場所がないほどの大ケガをしていた
「こうなったら女王も俺を全力で探しに来る、、、どうする」
王と勇者が出会うまではもう少し
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