降参

キン

「どうせ母さんのことだ。見つけ次第、四肢切り落として連れてこいとか言ったんだろ?」

切り掛かって来た騎士を押し戻しエレボスはそう言う

「、、、ええ。フレデリカ様から全世界に

[我が息子、エレボスを捕らえ神聖教会及びセラフ神聖国にその身柄を受け渡したものには白金貨5枚を褒章として渡す。また複数人で捕えた場合は多少の上乗せする事を誓う]

と書いた指名手配書を世界中に公布していますね」

パデルはそう答える そして

「大人しくお母様にお会いしていただけると我々もエレボス様も怪我をせずに済むのですがどうでしょうか?」

そう紳士的にしかし従わなければ力づくも力づくで連れて行くと伝える

「魔国であんな絶望的な状況に陥った俺が今更この程度でビビるとでも?俺を捕まえたかったら母さんを連れてくるんだな。まー、母さんとの鬼ごっこは一勝してるんだけどな」

もちろんエレボスはそう否定の答えを返す

「そうですか、、、残念です。では」

パデルは少し残念そうにしながら

「アルベル大教会の主、パデル大司教の名の下に彼を捕らえることへ力を貸してくれた方には多額の報酬を支払いしよう」

そう大声でギルド内の冒険者に告げた

「「っ!!」」

そして冒険者達は異端の聖剣というベルムート家で長い間、半分休養のような任務をしていた時から絶対的な名であった女が血眼になって探している子供  それを捕らえることの一端でも担えただけでもとんでもない褒賞が出るだろう

それを分かっている冒険者達は

チャキン チャキン チャキン 

一斉に武器を構えた

「おいおい、確かギルド内での戦闘は禁じられたはずだぞ?」

エレボスがそう言うと

「後で支部長には謝罪と罰金を払っておきますよ。それにそれを理由に戦えず取り逃しましたとなるとフレデリカ様はお怒りにならないでしょうが対外的に芳しくない事になるでしょうからギルドの皆さんもご納得して頂けるかと」

パデルはそう答えた

「なるほど。伊達に大司教をやってないようで」

エレボスも刀を構える だが

(マズいな、、、ベル無しの俺じゃ逃げ切るのキツイぞ?しかも闇魔法使ったら鬼ごっこの難易度がルナティックからデストロイに変わる)

魔国でアリスや大罪司教に囲まれた時とは別の絶望感に襲われていた そんな中

「エレボスさん。地図を持って、、、何してんですか?!!」

支部長の女性が地図を持って戻ってきた

「すいません。事情が事情だけに。ギルド内で武器を構えることの違法性は重く理解しています。ですが流石にエレボス様を逃すことは」

「、、、分かりました。この一件はアルベル支部内で止めておきます」

支部長は嫌々ながらパデル達神聖教会の立場と行動に理解を示した

「えっと、、、もう味方が居ないことは理解したんで一先ず地図だけ見させていただきますね」

そんな会話の間にエレボスは支部長の持つ地図を見る

「、、、なるほど」

そして

「わかった」

刀を鞘に戻し

「降参だ。ちょっと訳ありで今の俺は連れに力の大半を渡していてとてもこんな四面楚歌の状態から逃げれる力は無い。しかもここから首都のユグドラシルまで1か月はかかる。そんな長期間エモクロアに居るなんて言うことがバレている状況で向かうのは無理だし、他国に逃げようにも魔国・神聖国は論外だし残りのサフラン王国は内乱状態なんだろ?連れとの合流が不可能でさらに危険すぎて逃げる場所がない。腹をくくって母さんとの交渉を頑張りますよ」

そう刀を捨て降参した

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