舞踏会は終わり 舞踊の始まり
「おー!デカいな」
「かなり傷ついてるけどこの大きさならクラーケンの素材は十分に採れる。刀と共に防具も作ってやるよ」
カエデは船の甲板に縛られたクラーケンを見ながらそう言う
「懸賞金も出るから美味しいわね、、、刀の修復代だけもらってもいいか?」
「全部持って行っていいです。お母さんの治療に使ってください」
「良いのか?1年は好きに遊んで暮らせる大金だぞ」
「金は腐るほど持ってるです。刀を研ぐ技術は無いから頼みますよ」
「、、、任せなさい!」
そうして船は進んでいく
「ところで穴が開いたけど大丈夫なんですか?」
エレボスがそう聞くと
「船底はいくつかに分かれていて座礁でもしない限りは大丈夫」
カエデはそう言って操舵を再び握った
「そういえばヤマトってどういう国なんだ?」
ふとエレボスがカエデにそう聞く
「うーん。エーテル王国以上に王の権威と権力が強いわね。ヤマトの正式名称はヤマト皇国で皇帝陛下が黒と言えば白でも黒になる国よ」
「王様がクソだったら終わりじゃねえか」
「そう言う考え方があるんだな」
エレボスの言葉にカエデはなるほどといった様子だ
「でも今の皇帝陛下のアヤメ様は名君だ。魔教に対しても一定の距離に入りながら掃討する策を練っていらっしゃっている」
「そうなんですか」
(宗教は人の心を支える素晴らしいものだが同時に毒ともなる。対国家の毒としては感染症と同格の火力を持つ)
エレボスはそう考える そして
「純粋な権能だったら終わりだが、、、権能による呪いならどうにかできる。問題は俺の顔がバレたらアーデン魔国から大罪司教でも飛んできかねないことだ」
(顔バレは避けないとな)
「カエデさん。なにか顔を隠せるものはありませんか?」
「顔を?あー、追われてるんだったわね、、、包帯で顔を覆うじゃダメ?」
「十分です」
「だったらちょっと操舵を」
「はい」
カエデはそう言うと積み荷から
バサッ
白い布を取り出した
「ん?!!」
それをみてハクは唖然とする
「それ包帯じゃなくてさらしだろ?!」
「同じような物だろ?何度か使ったけど洗濯したから清潔だ」
そう言いながらカエデは近づいてくる
「何度か使ったのかよ!?やめ、、、やめろー!!」
3時間後
「おっ!見えてきた!」
カエデが嬉しそうにそう言う
「クソ、、、下着で顔を覆ってるなんて、、、」
(ヤマトじゃこれが普通なのか?)
そんなことを考えながらエレボスは遂に子供からの目標であった世界を見て回るが叶うのであった
神と悪魔の舞踏会は終わり、、、幼い少年は大人へなった
次から始まるのは{勇者への軌跡}
まずは{カエデの苗木}の物語。
{勇者}を支える姉御が姉御になるまでの物語
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