船旅の悪魔の影

「おー!」

エレボスは船首に立ちながらそう歓声を上げる

「落ちないでくれよ」

それを見て操縦しながらカエデが言う

「これぐらいで落ちないし仮に落ちても自力で戻ってこれる」

「そういう問題じゃない気がするんだが、、、それよりも船は初めてなのか?」

「ああ!」

エレボスは嬉しそうにそう言う

「クラーケンが居る海域には深夜に入る。それまでは初めての船を楽しんでいてくれ。代わりにクラーケンは一緒に頼む」

「もちろんだが、、、カエデさんも戦うのか?刀は一応研いでもらったし1人で行けるぞ?」

エレボスがそう言うと

「サムライが人に任せるだけなどできるか。ヤマトは男女関係無く全員が強く自立しなければならない」

カエデはそうはっきりと言った

「なるほど」

(この世界でもサムライって言うんだな、、、となるともしかして)

「ヤマトにはニンジャもいるのか?」

エレボスが期待したまでそう言うと

「ニンジャ?なんだそれは?」

カエデは首を傾げる

「、、、、いや何でもない。忘れてくれ」

エレボスは落ち込んだ



「そう言えば何でエレボスさんはヤマトに行きたいんだ?」

ふとカエデが聞く

「2つ理由が合ってな。まず刀を研いでもらいたかった。あのままじゃ刀として使えなかったからな」

「確かにあの刀は私が今まで見てきた刀がなまくらに見えるほど良い刀だったけどそれをゴミに変えるほど刃こぼれが酷かったからね」

「だろうな。そして2つ目の理由が俺は今アーデン魔国と最強の聖騎士の2つから狙われてる。それから逃げるためにひとまず外界との繋がりが薄いヤマトに行きたいんだ」

「魔国?聖騎士、、、確か他の国のことだったわよね?私はエーテル王国以外はほとんど知らなくてね」

カエデは少し恥ずかしそうに顔を赤く染める

「そう言えば何でカエデさんは急いでヤマトに戻りたかったんですか?」

ふと気になったようにそう聞く

「お母様が病気で倒れて、、、原因も分からなくて」

「っ!それは、、、」

エレボスは顔を顰める

「、、、実は今のヤマトには治す方法はあるんだよ」

「そうなのか?!」

「魔の力を体に入れてどうにかするっていう3年前に北の国からの来訪者が広めた方法があるのよ」

「北の国?」

(まさか)

「あの人達の言う魔は魔物じゃないかで神聖な魔を統べるものらしいんだけど、、、私の家はそういうのは信じないしないし、、、その治療を受けた人は確かに元気にはなるんだけどその後狂ったようにその魔を信仰するから、、、正直皇帝陛下もその来訪者を排除したいらしいのだけど、。、来訪者の勢いと影響力が強すぎて無理なみたい。私はどうにか助けようと国を出て方法を探したんだけど思ったんだけど方法は見つからなくてね」

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