公爵令嬢の苦労

「元気?」

「あ!エレボスさん。はい。メイドの方々にもよくしていただきました」

エクレアのいる部屋に入ったエレボスがそう聞くとエクレアは笑顔でそう言った

「それはよかった。それにしても驚いたよ。今メイド長に聞いたんだがエクレアさんはこの国一番の貴族の令嬢だったんだね」

「は、はい。でも、自由も無いですし他の貴族との関係のためにといろいろとやらされたりしてますからあまりいいものではありませんよ。まー、妹が家督を継ぐでしょうからまだ私はマシですけどね」

エレボスの言葉にエクレアはそう言いながら苦笑いを浮かべる

「はは。それは大変そうだ、、、ところで妹が家督を継ぐんですか?」

そうエレボスが聞くと

「、、、それで、今のうちに話しておきたいんですけど、、、」

エクレアは言いづらそうにそう切り出した

「ん?なにを?」

「私を助けてくれたお礼です。私を助けたとなるとかなり大きなものを望めるおもうのですが、、、何か欲しいものはありますか?」

「え?、、、あー、、、何もいらない」

「え?!」

「強いて言うなら、俺がベルムート家の人間じゃなくて、そうだな、、、どこかの辺境の村の住人ということにしてくれ。正直、両親にこのことがばれたら何言われるかわからない上に絶対にめんどくさいことになるからな」

エレボスはそうはなりたくないといった様子でそう言った

「、、、私を助けて、それだけ、、、もう少し欲張りなさいよ!ヘルメス家の子供を助けたのよ。この領地の数年分の手に入るお金ぐらい平気で出せるのに!それこそヘルメス家の地位を利用していろんなことができるわよ。それを要求しないってどういうことよ!」

それを聞いてエクレアは激怒した様子でそう言った

「金なんて軽く稼げる」

「なら、地位は!」

「だるい」

「家を大きくしたいと思わないの?!」

「十分広いだろ」

(大きくしたら目を付けられて首が締まるんだよ)

「、、、そう」

エクレアは疲れた様子でそうソファーに背を預けた 

「エレボスさんは何歳なの?」

ふとそう聞いてきた

「俺ですか。今年で7歳ですね」

「っ!7歳?!それであんな強いの?」

「不意打ちだったからそこまでは」

「だとしてもよ、、、はー、、、うらやましいわね。私は剣はダメダメで魔法も水魔法だけ。それも練度が低いし。頭の出来は自分でも絶対良いって言えるほどだけど、、、私は優しすぎて商人にも貴族にも向かないから両親も早々に諦めてるみたいで家督は妹に継がせて私はどこかの貴族に嫁入りさせようとしてる。私のことも思ってのことなので特に何も言わないけど、、」

そう言ってエクレアは顔を下に向ける 

そして

「エレボス君は貴族の関係のめんどくささに関わらないでいられるといいわね。本当にめんどくさいからね」

そう言いながら

コテンッ

「あれ?寝ちゃったのか?」

眠りについたのであった

「、、、俺はなんだかんだ恵まれてるんだな」

そう言いながらエレボスはエクレアを背負って客室まで運んでいくのであった

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