第21話 帝都に到着しました
「おお! これが帝都か!」
俺は巨大な街並みを見下ろしながら感嘆の声を上げた。
現在、帝都近くの丘の上から街並みを見下ろしている。
見える感じだと、大きな城を中心に城下街が広がっているみたいだ。
俺らの住んでる村何個ぶんだろうな……?
間違いなく比べるほどでもない、ってのは分かるが……。
規模感が違いすぎて、逆に差が分からなくなるくらいだ。
「ふふっ、どうです? すごいだろう?」
隣でユーフェリア様はドヤ顔で言った。
どうやら皇女としてこの街に自信があるらしい。
でもこんな大きな街を見るのは初めてだし、すごく美しいので、俺は素直に褒めることにした。
「ああ、すごいよ。こんな大きな街は初めて見た」
「はははっ! そうかそうか! これでマルセルも私と決闘をし、結婚する気になったか!」
「俺にはもうレイナがいるので遠慮しておきます。てか、レイナがいる前でよくそんなことを堂々と言えますね……」
大声で笑いながら言ったユーフェリア様に俺は呆れたように返す。
ちなみにレイナは俺の言葉に少し照れた様子だった。
「私は好意を隠すつもりはないな。それはフェアじゃないからな」
なるほど。
どうやらユーフェリア様は一応独自の哲学を持っているらしい。
うん、なんとなく彼女らしい考え方だと俺は思った。
「と、ともかく! 帝都に着いたらまず初めに何をするのですか?」
気まずくなったのか、慌てたように話を変えるレイナ。
それに少し不服そうにしながらも、ユーフェリア様は答えた。
「そうだな……今日は長旅で疲れたろうから、街でゆっくりするといい」
おっ、これは意外だ。
いきなり騎士団の訓練場とかに連れて行かれるのかと思った。
しかしそう思った俺の思考は読まれたのか、ユーフェリア様はため息をついて言う。
「はあ……私は流石にマルセルが思ってるほど節操なしじゃないぞ。これでも一応皇女だからな。多少は弁えるさ」
「す、すいません……」
「いや、そう思ってしまうのも仕方がないけどな」
俺が謝ると、彼女は何でもないように手を振った。
「でもマルセル様。街でゆっくりと言っても、何をしましょうか?」
「そうだなぁ……。確かに何をしよう」
レイナの言葉に俺が悩むように言うと、ユーフェリア様がこう提案した。
「だったら『黄昏の柑橘亭」というカフェがおすすめだぞ。あそこは柑橘類のスイーツが美味いんだ」
へぇ……、それはいいことを聞いた。
それはレイナも同じ気持ちだったのか、
「それはいいですね。それではそこに行ってみましょうか」
ということで、俺たちの王都訪問初日は黄金の柑橘亭というカフェに行くことになるのだった。
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