第16話 「それ全然カッコ良くないよ」

 今回の教室で用いられる機体は全員共通で《テスタースタンダード・Fフライヤー》。

 素人や初心者が練習するために設計されている汎用型であり、こういった機会でもない限りは使われることがない云わば練習機だ。

 アドバトの稼働直後から存在する古参機体。

 だが今のアドバドは空戦機能持ちが当たり前になっている。そのため名前が示すようにバージョンアップや調整もされており、空中機動にも対応している。

 とはいえ、練習機であるが故にあらゆる年代のプレイヤー層を想定されている。

 故にスペックは当然抑えられており、能力値で言えば下から数れば一瞬。空戦能力があることで他のテスターシリーズよりはマシといった性能しかない。


「立林さん、聞こえるかな?」

『はい、聞こえてます』

「今日の教室は君も知ってのとおり大衆向けのものだ。だから機体を君が普段使っているものにカスタマイズできない。だからコーチングを始める前に軽く動かして感覚を調整してくれ」


 その間に俺は射撃用のトレーニングを準備しましょう。

 まずはそれぞれの難易度の内容を確認して……最高難易度でも天道学園で言えば中級者入門編といったレベル。

 まあ射撃専門の企画でもないし、大衆向けのイベントであることを考えれば、この難易度まで用意していることを賞賛すべきか。


「こっちはいつでも始められる。準備出来たら教えて」

『こっちもいつでもやれ……やれます!』

「素で話してくれても構わないよ。別に気にしないし」

『いやいや、遠野さん年上なんで。あたしが気にします。なので勘弁してください』


 話し方が体育会系になったりはするけど、礼儀正しくあろうとする子だ。

 この子、多分だけど年上には好かれるタイプだな。現状だとご年配の方に特に人気が出ている気がする。交通機関の座席を譲ったり、大荷物の人を助けている姿が容易に想像できるもん。


「立林さんは経験者だし、選べるメニューも初心者向けのが中心だから難易度は高めでやらせてもらうよ」

『了解です』

「じゃあ早速始めよう」


 まずは立林さんの射撃能力がどの程度か確認しないと。

 オペレーター用のディスプレイに立林さんの機体の資格情報を共有。トレーニングメニューを選択しつつ、ターゲットのオプションを調整。開始まで残り10秒……


『この…………そこ……そこか……次は』


 的確にど真ん中を捉えているわけではないが、現状でのターゲットへの命中率は100パーセント。

 射撃そのものが苦手だからコーチングを頼んだと思っていたが、見ている限り射撃能力そのものは悪くない。

 ただ、問題なのは発射までのスピードだ。

 選択されているエネルギーライフルの発射レートを考えれば、もっとテンポの良い発射音を刻む。だが立林さんはスナイパーライフルを使用しているのかと思うほど、発射までの感覚が長い。


『ど……どうっすか?』

「命中精度は悪くない。けど発射までの間隔が長すぎる」

『そうっすよね』


 単純に狙い過ぎというのもあるとは思う。

 が、どうにも彼女の視点を……標準を定めるためのレティクルの動き見ている限り、確認しておくべきことがある。


「立林さん、いったんこっちのメニューをしてもらっていいかな?」

『はい……あの遠野さん、これ近接戦闘のやつっすけど?』

「分かってる。ただ確認しておきたいことがあるんだ」


 立林さんは疑問を抱いている表情を見せるが、自分に意味が分からなくても必要ならやるべきと判断してくれたようで準備に入る。

 近接戦闘のメニューも難易度的には先ほどの射撃メニューに近しいものを選んだわけだが……


『オラオラオラァァァッ……!』


 射撃とは打って変わって巧みな高速機動でターゲットを斬り伏せていく。

 高速機動、切り返し、攻撃アクション……姿勢が崩れてしまう要素はいくつもある。しかし、映像を見る限り大きく体勢を崩している場面はない。

 気にする点としては、ブレードの振り方が大振りなところが挙げられるが……

 普段使用している近接武器が大剣や両手斧のような大柄なものである場合、片手武器を使用した際にああいう動きになるプレイヤーは存在する。

 つまり、立林さんは操縦技術が問題で射撃の速度に影響が出ているわけではない。

 射撃の時と今の視点の動きからしておそらく……


『終わりましたけど、これって本当に意味あるんすか?』

「ああ。少なくとも機体の制御が苦手で射撃に影響が出ているわけじゃないということが証明された。それに視点の動きの違いからアドバイス出来そうなことも見えてきたヨ」

『え? 視点の動き?』


 手元にあるデバイスを操作して、今しがた記録しておいたデータをコクピットマシンに共有。


「まず最初にこれが射撃メニューをやっている時の映像。ターゲットを破壊してから次のターゲットが視認されるまでの時間が遅い」

『そうっすね。こうやって見せられると自分の不甲斐なさが露骨過ぎて……』

「不甲斐ないところを解消しようとしてるんだから卑下しない。次はこっちが近接メニューをしている際の映像だ」

『げっ!? こんなにテンション上がってたのかよ。無意識にこんだけオラついてるとか恥ずかし過ぎて死ぬ……』


 その気持ちは理解出来なくもないけど、大会とかに出たら無数の第三者に死ぬほど見られるんですけど。君も経験者ならそのへん分かってると思うんだけど。

 それに何より見て欲しいのは、自分の羞恥心を刺激するポイントではなくてですね。


「羞恥に悶えるのは構わないけど、画面からは目は離さないように。このふたつの映像を見比べた場合、明らかに近接戦闘をしている時の方がターゲットの補足が早い。ならどうして補足までの差、攻撃するまでに差が出来てしまっているのか」

『えっと……射撃の時は当てなきゃって気持ちが強すぎて狙い過ぎてるけど、剣でぶん殴る時は当てればいいくらいに軽い気持ちだからとかっすかね?』

「もちろん、そういう精神的な部分もある。が、個人的に1番の違いは意識の割かれ方。意識の大半が敵にあるか、そうでないかだと思う」


 立林さんはピンと来ていないようなので、映像を巻き戻しながら要所となる場所を重点的に再生する。


「あくまで見ている側の認識になるが……射撃する際、君の意識の大半は敵ではなくレティクルにあるように見える。だからここも……この場面も敵にレティクルを合わせているのではなく、レティクルを敵に合わせている」

『敵にレティクル……レティクルを敵に……え? 何か違います?』

「動作的には違いはないよ。でもさっきも言ったように意識の部分では違いがある。例えばレティクルに意識の70パーセントが割かれているとした場合、敵の動きは30パーセントしか追えていないことになる」


 これがレティクルを敵に合わせている状態と言える。


「これが逆転した場合」

『そっか! 敵に意識を割いている分、敵の動きに対する情報量が増える。情報量が増えるってことは、敵の次の動きを読みやすくなるわけで、狙いを定める際の誤差修正も効きやすい』

「そういうことだ」


 もちろん意識の違いで爆発的に上達するとは限らないし、合う合わないは人によって違いが出てくる。ただ……


「立林さんは近接戦闘をする際は、敵の動きだけを追って対象に武器を叩きつけに行っている。射撃もそういうスタンスにした方が合ってる可能性が高い」

『確かに。あの! もう1回射撃メニューやらせてもらっていいですか?』


 こちらの予想が合っているのかの検証もしなければならない。

 何よりやる気を出している生徒を前に断る理由があるはずもない。

 すぐさまメニューを切り替え、本人でもリトライが出来る設定にもして実行。


『この……この……このッ!』


 ターゲットへの命中率は、60パーセントから70パーセント。中心を捉えているものはほとんどない。

 そこだけを切り取ってみれば、先ほどまでより格段に悪くなっていると言える。

 しかし、次弾を放つまでのラグは先ほどまでとは雲泥の差だ。きちんとライフルの最速レートに近い間隔で行えている。

 操縦の癖からして立林さんは近接寄りの機体を扱っているはず。

 となれば、射撃は牽制やミサイルなどの防衛、味方のカバーで使う場面が多いはず。現状のままだと実戦では効果は薄いだろうが、今後もきちんと練習を積めば弱点として挙げるポイントではなくなるはずだ。

 立林さんがある程度納得するまでは、俺からアクションを起こす必要はない。何か聞かれた時のために映像は見ていなければならないが、他の組の様子も片手間に確認するくらいは出来るだろう。


「確かにこの状況の場合、基本的にそのように解釈して問題ありません。ですが敵機の位置、今回の場合で言えば後方に控えている敵機ですね。この機体が右に旋回するような動きを見せていましたので、私としての最適解は……」


 姫島の方は問題はなさそうだ。

 まあ元より強豪校の部長を務めているだけあって、誰かに教える機会は常人よりも多いはず。

 それに能力的にも苦手な分野は存在しないオールラウンダー。5段階評価なら全てで4以上あるような実力がある。

 なので教えられる側がアドバトの知識が皆無、または理解力そのものがないおバカさんでもない限り進行に問題が生じる可能性は低い。

 問題なのは理解力の塊であり、天性の感覚で何事もすぐに出来てしまうシオン。そんな彼女に教えられている真辺さんになるわけだが……


「これで良かったかな?」

「すごいです、すごいです、すごすぎですシオンさん! 何かもうグワァァってなった後にビューン! って感じで。わたしとは全然違って感動しました!」

「そこまで言ってもらえるとやった甲斐もあったね」


 真辺さんが興奮していらっしゃる。

 状況的に真辺さんが何度かやった後、シオンに手本を見せて欲しいと頼んで、あまりの操縦技術に彼女が魅了されたって感じかな。

 会話の中身からして真辺さんは理論よりは感覚派って気がするし、動きのイメージが付くように手本を見せるのは理に叶っていそうではある。

 何より真辺さんが楽しそう。成長するかどうかはともかく、楽しそうならこの時間は無駄にはならない。

 あの空気感が続くようなら俺も自分のことだけに集中しても良さそうだな。


「だぁぁぁクソッ! 全然上手くいかねぇ。早く撃てても当たらなきゃ意味ねぇってのに。だからといって丁寧にやってもこれまでと変わらねぇし……!」


 頭を掻きむしりながらコクピットマシンから出てきた立林さん。

 あれだけ連続でしていたのだから集中力も切れるだろうし、体力的に疲れてくる。その状態でやってもミスは増える一方であるため、適度に休憩を取るのは重要だ。


「とりあえず水分でも取ったら?」

「おう、わりぃな……すすすみません普段のノリというか、自分達しかいないと思ってつい!?」

「気にしてないよ」


 何なら普段のノリのままでいいのに。

 と言ったら無理だと断られるのは、先ほどの一件で目に見えている。それだけにわざと口にするのは、立林さんを困らせてしまうだけ。

 俺にレオほどのコミュ力があったなら。

 人と打ち解けやすい言動を自然と出来たならそれもありだったんだろうな。全国のコミュ力お化けにミカヅキさんは脱帽です。


「それにそんなに焦る必要もない。最初から上手くやれる奴なんて極一部だし、アドバイスされたからって劇的に上手くなることも稀。地道にコツコツ試行錯誤しながら自分なりの正解を見つけていけばいいさ」

「そうっすけど……せっかく教えてもらってるのに」

「教えた傍から何でも吸収されたら教える側も困る。教えることが無くなるし」


 それに自分との違いに己がゴミカスなんじゃないかって気持ちになっちゃうから。

 まあ似たような感情は過去に何度も抱いていますけど。

 だって俺の身近には子供の頃からシオンという化け物が居たから。

 あいつは大体のことを1発で終わらせるのに俺はその数倍、ものによっては数十倍かかるんですよ。何度心が折れそうになったことか。

 それなのに懸命に努力してシオンに少しでも追いつこう。置いて行かれないようにしようとするとか、過去の俺は何だったんでしょうね。


『なんで……なんでみんな…………ボクとは遊んでくれないの』


 脳裏に蘇る幼き日のシオン。

 誰もが知る本能の赴くまま気の向くまま自由に振る舞う姿。明るい笑顔はそこにはなく、寂しげに涙をこぼしている。

 シオンだって人間だ。

 あの頃のシオンは楽しもうと、一緒に遊びたいと願っていただけ。でも彼女の宿していた才能が、無意識に他人を傷つけてしまった。

 女の子の泣き顔は見たくない。シオンの泣いてる姿は見たくない。

 そう思ってしまった幼き日の俺は、シオンが本気を出せるように。シオンが孤独にならないよう彼女の隣に立つために。

 子供ながら死ぬ気で努力して……シオンに初黒星を与え、シオンに泣かれた。

 でも最後には


『次は負けない……負けないから!』


 涙を浮かべながら楽しそうに笑ったのを今でも覚えている。

 あの日からシオンは、アドバトをプレイする時以外でも俺にくっついて回るようになり、いつの間にか振り回される関係になり、今もこうして付き合いは続いている。

 いやはや、過去の俺ってイケメンでは?

 寂しそうな女の子を救うために努力するとかヒーローかよ。動機の中に子供ながら可愛い子と仲良くなりたいっていう下心もあったかもしれないが、それでも今の俺と比べたらやっていることは正義の味方過ぎる。

 幼き日の俺よ、お前のおかげで俺は今ではシオンのお目付け役。世話係みたいになってしまっているよ。お前のこと尊敬する一方で、ちょっとお前のこと憎むわ。


「遠野さん大丈夫っすか? 何か顔色が」

「大丈夫。ちょっと過去の自分に思うところがあっただけ」

「どういう流れでそうなったんすか!? あたしが何か遠野さんのトラウマを蘇らせることでもしました?」

「いや全然まったく」


 努力しているアドバトプレイヤー全員に自分を重ねて見てしまったら、おそらく俺の心は持ちません。壊れます。メンタルブレイクします。

 いや、そもそもプレイヤーとして引退することも考えるね。

 だって自分が凡人だってことは自分が1番理解してるから。同じだけ努力されたら天才には絶対に追いつけないって理解してるから。

 現状である程度実力的にシオンに迫れているのは、単純にシオンがアドバトに真剣であっても本気でないだけ。

 シオンさんがアドバトのことだけ考えたら俺なんか一瞬で置いて行かれます。

 それくらい俺と彼女の間には才能という壁がある。


「まあ過去のことを考えても今が変わるわけじゃない。なので立林さんのコーチングに専念したいと思います」

「こっちとしては遠野さんの過去に何があったのか非常に気になるんすけど」


 あらそう?

 でも言わない。教えてあげない。

 だって教えたら……絶対にシオンとの関係についてあれこれ言われるから。


「それを教えるには、まだ俺との親密度が足りない」

「そりゃ今日が初対面ですからね。親密度が足りないのは当然というか……ちなみにどれくらいの親密度があれば教えてくれるんすか?」

「そうだな……98パーセントくらい?」

「そこまで行ったらもう友人通り越して、彼氏彼女の関係だと思うんすけど!?」


 何だと?

 友情と恋愛ではパラメータが違うんじゃないのか。友人から恋人にクラスチェンジしたら表示が切り替わるんじゃないのか!?

 まさか友情と恋愛のパラメータは同時に存在していて、恋愛が友情より大きく偏りを見せた場合、人は恋心に目覚める。

 しかし、それでは異性との間に友情なんかない。友情があったとしてもいつかが覆ってしまう。そんな可能性が常に存在していることになるじゃないか。

 なんて馬鹿なことを考えるのはやめよう。ノリで考えるにしても疲れる。


「ゲームみたいに好感度が可視化されていれば楽なのに」

「いやむしろ辛いでしょ! 世の中には他人と協力して取り組まないといけないことがたくさんあるんすよ。アドバトしかり学校行事しかり。卒業してからのことを考えても仕事だってそうっす。自分のこと嫌いな人間と分かった状態で協力プレイとかやりたくないでしょ!」

「適当なことを言っているだけなのに真面目に答えてくれるなんて。立林さん、君は良い人だね」

「よく適当に出来るな!? 初対面で親密度が低い人間相手によく堂々と言えたよな。年上だから手は出さねぇけど。コーチングはまともだったからこれ以上は言わねぇけど。遠野さん、あんたイイ性格してるわ!」


 そうだろうそうだろう。

 癖のある連中と絡んでいるとこっちの性格まで影響されちゃって。

 君も思わず口調が素になるくらい打ち解けるのに効果てきめんなのさ。これがあるから俺は天道学園でリーダーをやれている自負がある。


「そんな遠野さんから君にアドバイスだ。今日教えたことを毎日コツコツ地道に取り組め。物足りなくなったら難易度を上げて、手の皮がボロボロになるくらいまで頑張れば、君も俺くらいにはなれる」

「それくらいやらないと遠野さんレベルになれない。そう煽ってるようにしか聞こえないんすけど!?」

「その解釈はやめていただきたい」


 だって俺は真実を告げているだけだから。

 俺の見立てでは、少なくとも操縦技術や射撃面において立林さんは天才ではない。

 凡人が天才に追いつくためには。凡人が秀才へと変わるためには努力に努力を重ねるしかないのです。

 今はまだ改善できるところがたくさんあるし、そういう意味では伸びしろがあるから理解してもらえないだろうけど。

 君が強くなりたいと思うなら。君が俺達……天道学園に勝ちたいと願うなら。

 そう遠くない未来に今送った言葉が理解できるのではないだろうか。


「どうせ目指すなら俺より上手い奴を目指そう。例えば今後エースとして活躍しそうな姫島とか?」

「ハードルが高い! というか、遠野さんがどれくらいのレベルなのか分からないだけに比較のしようがないんすけど」


 それはそう。

 ただ口でどうこう言っても伝わらないと思うんだよね。多分だけど現状だと実力的には大差ない。何ならまだ俺の方に分がある気がする。

 でも姫島さんはシオンという刺激を得て殻を破ろうとしているからね。数か月後には間違いなく俺の方が下になるでしょう。

 だから気にせず姫島を目標に頑張ればいいんじゃないかな。努力する天才に追いつこうとするのは死ぬほど大変だろうけど。文字通り血反吐を吐くことになるだろうけど。でもそんな人がいるなら俺は心から応援します。


「まあそこは気にしなさんな」

「今日だけとはいえ、あなたはあたしのコーチですよね? コーチの実力が不明瞭なのは教えられる側としては不安材料なんですけど」

「そう言われましても姫島みたいに知名度はありませんので」

「なら1回あたしと同じメニューやってみてくださいよ。そしたらはっきりするし、あたしとしても手本に出来るんで」


 終了後のシオンとのデートを考えると体力は温存しておきたい。

 が、ここで正当性がどちらにあるかと言われたらどう考えてもあちら側。ここで拒否するのは今日の目的に反する。クレームとして凜華さんの耳に入ったら地獄を見ることになりかねない。

 ならば俺が取れる選択はひとつ。


「良いだろう……君に天道学園の実力を。姫島の取り巻きと認識される程度の力は見せてやる」

「それ全然カッコ良くないよ」


 そりゃあカッコ良くするつもりがないもん。

 そういうことするのは学校内だけ。絶対的エースが存在するチームのリーダーとして振る舞わないといけないときだけって決めてるから。

 カッコいい俺が見たいなら大会にでも出てください。そのときにうちのチームが代表チームになれていたら見れると思うので。

 まあ予定通りに事が運ぶと俺はスタメンから外れたままなんですけどね。

 外部にカッコ良く見せる場面が訪れるか不明なだけにやはりこの場でカッコいいところを見せる必要はないな。

 でもコーチとしての信頼を勝ち取るために射撃メニューは全力でこなします。

 見ていろ立林さん。努力だけで成り上がった凡人の力を見せてやる。



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