第6話 「そこまで、と。そう私は言っているのです」
癖の強いメンバーとのミーティングはなかなかに大変だった。
が、どうにか今後の方針の決定や突貫でのチーム練習が終わり休日が上げる。
ただ部活になり練習棟を訪れた俺が感じ取った空気は、予想していたものとは違っていた。
「うんうん、これまたいつもどおりの空気だね」
ここが自分の居場所だと言わんばかりに気が付けば隣に立っているシオンさん。
まあそれは割とよくあることなので放っておくとして。
シオンの言うように先週までの空気と変わっていない。多くの部員達にひりついたものや警戒心が感じられない。
今日からチームのメンバー争奪戦が解禁だというのに、だ。
緩んだ空気感が引き締まりを見せたのは、顧問である才川先生がミーティングルームに現れてからである。
「全員揃っているな」
「「「「はいッ!」」」」
こういう時だけはマジで軍隊。
オンとオフは大事だし、俺だって緩められるところは緩めますが。
もう少しここの部員さん達は覚悟を持ってアドバトに望んでもいいのでは。
なんて考えつつも姿勢だけは正している俺。
だって才川先生……凜華さんって怒ったら怖いもん。ただでさえ目つき鋭いし。
「……」
すいません。
凜華さんは優しくて賢くて大人な女性です。
だから人の心を見透かしたかのように一点集中で視線を向けるのやめてください。
見るならせめて俺の隣で緊張感の欠片もない空気を出しているシオンさんにしてください。
「……今日のミーティングだが、練習内容に関しては特に言うことはない。チーム所属者はチームとして必要なものを行い、チームに参加していない者は部員共通メニューをこなせ。必要だと思えば追加メニューを自分自身で組んで実行しろ」
共通メニューというのは、射撃や近接など定められたアドバトに関わる要素の大半を順々にこなすもの。全国大会常連の強豪校だけあって内容は一般と比べれば難易度も高く、量だって多い。
ある意味ではこのメニューが一種の判断材料とされているのだろう。
おそらくこれを時間内で終わらせられない者は、2軍であるBクラス以上に上がることはない。
Aクラスに上がるとなれば、才川先生の指示にあるように追加メニューでさらに自身の能力アップを図る必要がある。
そう考えると今の指示は、これといって代わり映えのないものと言える。
「先週にも通達はしていたが、改めて宣言しておこう。お前達も分かってのとおり今日から約1ヵ月の間、メンバーの争奪戦が行われる。スムーズな進行及び余計なトラブルを生まないためにももう一度ルールを確認しておく」
争奪戦の主なルールは以下のとおりになる。
・チームには番号が振られており、数字が小さいほど実力上位のチームとする。
・上位チームは自分達よりも下のチームからの挑戦を基本的に断ってはならない。
・下位チームが上位チームに勝利した場合、割り当てられていた数字が入れ替わる。
・メンバーの選択権及び加入されるかの有無は勝利チームのみに与えられる。
・チームリーダーが奪われた場合、リーダー権はチーム内のメンバーへ譲渡される。
・争奪戦で敗北した場合、同チームへの再挑戦権が得られるのは1週間後とする。
・メンバーが奪われ定員を下回ったチームに争奪戦を挑むことはできない。
ただし、定員不足のチームは3日以内にメンバーを補充しなければならない。
上記を満たせない場合、そのチームは後日行われる大会選抜戦から除外。
または解散させられた後、監督が新たなチームを結成する。
現状で言えば、俺はチーム6。
暫定的な評価では全チームの中で最弱扱い。
まあ他のチームリーダーはAクラスの上位5名であり、メンバーも実力上位で固められている。対してこちらは2名は実績不明瞭なスカウト組で信頼不足。またルール上は問題ないとはいえ、入学したばかりの1年をメンバー入りさせているのだ。
上記の材料的にも改革を行っている凜華さんなりの部員達への配慮的な意味で考えても、俺達のチームが最弱のチーム扱いされるのは仕方がない。
「さて、ルールの確認は終わったわけだが……本日、メンバー争奪戦を行うチームはいるか?」
才川先生の問いに対する答えは、沈黙。
暫定的に1位扱いされているチーム1。部長である姫島が率いるチームは、現状でも質の高いチームを組めている。それだけに自分達から動く必要はない。
次にイケメンこと伊集院の率いるチーム2。ここも動く気配はないようだ。
メンバーの実力的には、チーム1に大きく劣っている可能性は低いと思えるが……
その他のチームのリーダーも争奪戦を挑む気配はない。
欲しいメンバーはどのチームもいるだろうが、チームの練度的に自分達よりも上位チームに挑むのは避けよう。そういった感じだろうか。
「いないのか? いなければ私は練習試合の返事など行うためにここを離れるが」
あぁもう、やだ。
部員達は大丈夫なので早く出て行ってくださいと言わんばかりの空気。
でも才川先生……凜華さんは「何かするんだろ?」と言いたげに俺を見ている。
いやまあ、しますよ。しますけど。そのためにこの学校に来たんですけど。
でもこの後のことを考えたら憂鬱だ。
マイナスの感情をぶつけられるって分かっていることをどうして進んで行わないといけない。
まあその原因の大半は、「ミカヅキ、やっちゃって!」と呑気にアピールしてきているシオンさんのせいなんですけど。
「才川先生」
沈黙を破ったのは俺の声。
室内の視線が挙手していた俺へと集まる。
ざっと見ただけでもプラスの感情を見せているのは、チームメンバーと才川先生だけ。大半はお前は何を言うつもりなんだ、と言いたげな顔だ。
部長である姫島だけはこれといった感情を見せることなく、意識だけこちらに向けている。
どことなく才川先生に顔つきが似ているだけに黙って見られると少しだけ怖い。
「俺達チーム6は争奪戦を挑みます」
「ほう、どこにだ?」
「それはもちろん、部長である姫島さんが率いるチーム1です」
一瞬の間の後。
静まり返っていた室内が様々な感情の爆発で振動する。
こうなった原因が自分であると考えると、感情を揺さぶってごめんなさい。そう言いたくもなる。
が、俺が行っている行為は監督である才川先生が認めたこと。
現状で最強候補のチーム1からメンバーを引き抜くのは、このチームを強くするために必要不可欠。来月までの間にどこかしらで行わなければならないことなのだ。
故にここで引くことはできない。
「遠野とか言ったな? 君はふざけているのか!」
伊集院くん、君ってこういう時に真っ先に噛みついてくるよね。
いやまあ、先週の才川先生への噛みつきから予想していたことではあるけど。
でも何ていうかその……
こちらが全面的に悪いみたいな空気だけは仕舞ってくれない?
俺は何も悪いことはしてないよ。
「どこかふざけていたか?」
「とぼけるな! 君は今しがた争奪戦を行うと宣言したんだぞ。それもよりにもよって現状トップである部長率いるチーム1に」
「それの何がおかしいんだ?」
だって今日から争奪戦はしていいんだよ?
欲しいメンバーがチーム1にいるから争奪戦を挑みます。
それの何がおかしいって言うのよ。ふざけてるって言うのよ。
「おかしいだろ! 君のチームは、君ともうひとりの転校生に関しては不明瞭だが。他のメンバーにAクラスの上位勢はひとりもいない。それどころか入学したばかりの1年生だっている」
おいこら、イケメン。
言っていることは事実だが、後輩を怯えさせるような顔と声を出すんじゃない。
ただでさえ、影下……先日の顔合わせでエータって呼んで欲しいと言われたからエータと呼ぼう。
気を取り直して、エータは性格的に気弱なんだぞ。
先輩……それも上位勢に「何でお前がここに居るんだ?」みたいに解釈できる発言されたら委縮しちゃうだろうが。
それ以上何か言うつもりならお前の発言を断ち切るぞ。エータのことは俺が守る。
「まあ……まともなチームを組めない原因を作ったのは君ではない」
チラリとシオンを見る伊集院くん。
どうやら彼の中で先日の一件は根深く蔓延っているらしい。
シオンさんも面倒な輩に目を付けられたものだ。
まあ自業自得だから同情とかはしないけど。俺に火の粉が飛び火するようなら文句も言ってやる。
「今のようなメンバー編成になってしまうのは仕方がないことなんだろう。同じリーダーとして、その点に関しては同情する。強いチームからメンバーを確保したいのは理解できる」
急に歩み寄って来るじゃんこのイケメン。
そこまで言ってくれるならこの話はここで終わりで良くない?
さらりと混じっていた咎めるような声と視線に何の感情も示していないシオンさんとは無理だろうけど。俺となら君は友達になれるんじゃないかな。そこまで行かなくても同じ部活の仲間程度には歩み寄れるんじゃないだろうか?
「それでも……チーム1に挑むことだけは理解できない。総合的に見て、チーム1は全チームの中で最も秀でたステータスだ。そこに最弱であろう君達が挑んで何になる? ただボロボロに負けるだけだ」
……は?
「普通は自分達よりひとつ上のチームに……今回で言えば、チーム5に挑むのが賢明の判断だと言え」
「黙れよ」
前言撤回。
こいつとは友達になろうとは思わん。
同じ部活仲間でも必要がなければ話したくもない。
最弱扱いされるのは良い。さっきも言ったが材料的にはそう判断されても仕方がないから。こちらとして侮ってくれてありがとう。そう言える言葉だから。
だがボロボロに負けるだけ?
俺達のバトルを一度も見ていない状態で。
今ある表面的な材料だけで断定するだと? マジでふざけてんなこいつ。
「お前、何様だ? 転校してきたばかりの俺やシオンに対してあれこれ思うのは良い。暴言や侮辱も甘んじて受けよう。だが少なくともレオや水上は、入学から今日に至るまでお前と同じようにアドバトに打ち込んできた仲間だろ」
実力は確かにこいつの方が上なんだろう。
「さらっとふたりには実力がないみたいな発言をしていたが、お前はこいつらが努力していないとでも言いたいのか?」
「そ、そんなわけないだろ。誰もそういう意味で」
「お前がそういう意味で言ってなくても聞き手によってはそう聞こえるんだよ。後輩である影下に対してもそうだ。1年がチームメンバーに選ばれたらダメなのか? 磨けば光るものがある新人を起用するのは間違いなのか?」
思わず感情のままに言葉を紡いでしまった。
が、視界に映り込むチームメンバー。
隣で「カッチョええ!」と言いたげなシオンは置いておくとして。
レオとエータから嬉々とした熱っぽい視線を向けられている気がする。
水上に関しては視線は向いているが、顔に見える感情が無。
何を考えているか分からない平常運転。こういうときにこういう奴って精神的に助かるよね。
感情のボルテージが今以上に上がらないのは、間違いなくこいつらのおかげですわ。ちゃんと俺、周りのことも見れてる。
「それも言ってない。だが彼女はお世辞にも実力があるプレイヤーじゃないだろ。有望な1年生の名前に彼女のものはなかった」
それは誰が判断したものだ?
お前の言う有望なプレイヤーってのは、総合的に高い能力を持っているプレイヤーだけを指すのか?
この学校の指導スタイルや求めるものがそれだっただけに。
こいつもある意味では被害者なんだろう。だが一芸を持った者をはなから見ない。期待しない言動は実に癪に障る。
とはいえ、これ以上こいつを話しても時間の無駄だ。
現状で言えることは、俺のチームにこいつは絶対に必要がない。価値がない。それだけだ。
「もういい……才川先生、先ほど言いましたが俺達は姫島さんのチームに争奪戦を挑みます」
「待て、勝手に話を終わらせるな。君のやろうとしていることは無謀だと……!」
「
決して大きくはない。
聞き取りやすい落ち着いた声だった。
だが明確な意思を感じさせるその声に感情を昂らせていた伊集院の動きが止まる。
「もうそこまでにしておきましょう」
「ひ、姫島部長……し、しかし!」
「そこまで、と。そう私は言っているのです」
姫島の敵意にも近い視線に伊集院の動きはさらに凍る。
姿勢や言動に育ちの良さが感じられ、綺麗な黒髪と落ち着いた物腰は大和撫子を感じさせられる。
そんな姫島が感情を表に出すとここまで怖いとは。
というか、マジで昔の凜華さんに似てるな。言動とか違うけど、目つきとか迫力が瓜二つだ。
このふたり、もしかして血のつながりがあったりする?
それとも怒った美人は怖いっていう共通のものだったり?
「いいですか、伊集院くん。彼はルールに則って争奪戦を挑んでいます。そこに何も不備はありません。故に私はルールに則り、彼のチームの挑戦を受けなければなりません」
「で、ですが!」
「何でしょう?」
怖い、怖いって。
絶対零度の視線がヤバすぎ。切れ味が鋭すぎる。
直接向けられているわけでもない俺でも恐怖を覚えるのに何で伊集院はまだ反抗の意思が示せるの?
お前、ちゃんと感情機能してる?
それとも美人から冷たい視線とか浴びるのが好きな変態だったりするのか?
「もしや伊集院くん。あなたは先日も争奪戦が行われると告知された際、負けたことを考えてあれこれと口にしていましたが……あなたは私達が彼らに負けるとでも言いたいのですか?」
「そ、そそのようなことは決して」
「なら何が言いたいのです?」
「そ……それは」
「はっきりと口に出来ないのであれば、話に入ってこないでください。今回の話は私と彼、私のチームと彼のチームの者だけが関わっていい話です。部外者は口出し無用。引っ込んでいなさい」
苛烈、辛辣、ド直球。
この人、勇猛さが二重丸。対人戦における適性はまごうことなきSランクですわ。
美人という存在はシオンや凜華さんで慣れてはいるけど。
姫島に怒られたらさすがの俺でも泣いちゃうかもしれない。
チーム強化のために姫島は欲しい。
争奪戦の話を聞いた時、姫島だけは何としても確保したいと思った。
でも今の光景を見ていると考えを改めたくなる。
それくらい怒ってる姫島さん怖い。
「あぁそれと……遠野くんが仰ったように伊集院くん、あなたは言動には気を付けた方が良い」
「え……」
「先ほどあなたは争奪戦を挑むながら我々ではなく、ひとつ上であるチーム5に。そう口にしていましたが、ある意味あれはチーム5になら勝てるといった侮辱に捉えられてもおかしくありません」
チーム5の皆さん、よく言ってくれたとご満悦な表情。
さすがは部長。部員達から慕われていますね。
「現状の順位は暫定的なもの。チームに付いている数字に意味などない。仮初めの順位で驕っていては足元をすくわれますよ」
言い切るのと同時に姫島は伊集院から意識を外す。
伊集院は姫島に対してまだ何か言いたげだ。
もしやすると伊集院は姫島に対してプレイヤーとしてだけでなく、何かしらの個人的な感情も持ち合わせているのかもしれない。
意気消沈気味な伊集院に湧き上がっていた苛立ちが収まるのを感じていると……
「さて、こうして面と向かって話すのは初めてになりますね」
姫島部長が目の前に来ておりました。
伊集院に向けて発していた冷ややかな空気はないようだが……
あんなの見せられた後だとちょっと怖いよね。
「近くで見るとほんと綺麗……これぞ大和撫子。マジ萌える!」
隣でシオンさんが小声でオタク的発言してなかったら緊張してましたわ。
聞こえたらどうするねん。いやまあ、最後のだけ除けば姫島に聞かれても嫌な顔はされないだろうけど。
というか、お前は本当にいつでもどこでも自分の気持ちに素直だね。精神的にブレがないね。こういう時だけはお前のそういうところ憧れるよ。
「改めまして、部長を務めさせていただいている姫島篝と申します」
淑女のように頭を下げてくる姫島さん。
ちなみに分からない人のために補足しておくと、彼女の下の名前はカガリって読みます。
この人の容姿や佇まいだと、ナデシコとかホタルだとか和風な響きの名前なら何でも合いそうだよね。まあ本人が変えようとしない限り、この人はずっとこの先もカガリなんですけど。
「これはどうもご丁寧に。こちらこそ、改めまして遠野三日月です」
「ボクは財前シオ……!」
いや、ここで入ってくるなよ。当たり前のように介入するなよ。
お前が入ってきたらようやく進みそうになった話が止まっちゃうでしょうが。
「……よろしいのですか?」
「お気になさらず。話を進めましょう」
はたから見た場合、金髪ハーフの口元を押さえ込んでいる俺。
そういう状態にあるだけに誤解を招いてしまうかもしれない……が、ぶっちゃけ周囲の抱いている俺とシオンの関係なんて先週から今日までで誤解が生まれまくっている気がする。
今更ここの部員達にどう思われようと知ったことでもない。
時は金なり。
シオンさんの介入は体力消費&やる気ダウン。
部員達には、我がチームメンバー同様にこういう関係なんだと地道に理解してもらおう。
「そうですか……気安く異性の身体に触れるのは感心しませんが、私はあなた方の関係を詳しく知っているわけではありません。されている本人も本気で嫌がっているようではありませんし、そちらの提案に乗ることにしましょう」
ありがとうございます。
手短に話を進めることにしましょう。
今は何の抵抗もなく口元を押さえさせてくれていますが、そのうち反撃してくる可能性があるので。
反撃方法は……
普通に両手を使って俺の手を外すとかなら良いけど、こいつの場合だと舌で舐めたりしてきてもおかしくないんだよな。いや手を使ってきた場合も自分の身体に俺の手を誘導する可能性もある。
そうなったらもう……考えたくもない。
ほんとにシオンさんに触れるのリスクが高過ぎる。
「我々に争奪戦を挑まれるとのことですが、開始時間はどうされますか?」
「こちらは宣戦布告した身なのでそちらにお任せします」
ずいぶんと余裕がお有りなのですね、だとか。
我々のことを舐めておいでなのですか、だとか。
そういう風なことを思っていそうなくらい姫島の瞳から感じ取れる温度が下がった気がする。
まあどう思われても気にしませんけどね。
争奪戦を開始できる初日からこの学校の最強チームに挑んでいるわけだから。それに勝算がないならこんなことしてないし。
「そうですか。では30分後に致しましょう。お互いにチームが結成されて間もないですし、少しでも話し合いの時間は必要でしょうから」
「分かりました。ステージの方はどうしますか?」
「それに関しては……」
姫島の視線が俺から外れ、教壇に居る才川先生へと向く。
「平等を期すために才川先生にお任せしたいと思うのですが?」
「良いだろう。すぐに決めて連絡する。だからチーム1とチーム6のメンバーはそれぞれチーム用ルームへ移動。対戦に備えて話し合いを開始しろ」
先生の言葉に関係者は返事を行い、ミーティングルームから出て行く。
ちなみにチーム1のメンバーに比べ、うちのチームの態度に緊張感が欠けているのはご愛敬。まあそのぶん、唯一の1年であるエータがガチガチになっているようなのでバランスは取れているとも言える。
「では30分後に。良い勝負をしましょう」
言っていることはスポーツマンシップに溢れていますが。
立ち去る時の姫島さんの目、闘争心がメラメラでございました。
大和撫子味が溢れる見た目なのにギャップが凄い。身近にああいう目を向けてくる美人がいなかったからやっぱりちょっと怖い。
おかげでシオンさんへの拘束を気が付いたら解いちゃってた。重要な話は終わったから別に問題はないんだけど。
でもあの人……名が広まったら絶対零度の女王とか呼ばれるんじゃないだろうか。
「部長さん、そのうち女帝とか呼ばれそうだよね」
30分後にはバトルだというのに呑気なエース様である。
確かに俺も似たようなことを考えはしたが。
「行こう、ミカヅキ。女帝さんにボクらの力を見せてやろう」
そのうちとか言っておきながらお前が女帝扱いしとるやん。
ま、こいつらしいと言えばこいつらしい。頼もしい限りだ。
天道学園のアドバト部の象徴。部長である姫島のチームを倒せるかどうか。
これが今後の俺達の生活を大きく左右する。
さて、ここからが本当の改革の始まりだ。
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