第5話 四日目

「おはよっ! 元気? わたしは元気だよっ!!」

「ふふ。今日はたっぷり甘えるのっ!」

「え。キミが甘やかすんだよ? 他にいないじゃないっ!」

「ほらほら。さっそく撫でてっ!」

「えへへへ。嬉しいっ♪」

「ん。触られるの、好き……っ」

「ふふ。エッチぃのはダメだと思うなぁ」

「まだ早いよ。でもわたしをハグしていいのは、キミだけなんだからねっ♪」

「照れちゃって、可愛い♪」

「もう、わたしの彼氏、好きっ!」

「だーいすき!」

「もう離さないだからねっ!」

「そろそろお昼にしよっか?」

 台所で準備を始める音。

「ふふーん。わたし直伝のパスタをとくと見るがいい!」

 水を流す音。

 トントンと包丁で刻む音。

 ジューッと焼ける音。

「できたよっ! 渾身の出来映えなのだ~」

 ことっと机の上に皿を置く音。

「さ。一緒に食べよっ!」

「いただきます!」

 つーっと食べる音。

「おいし! あ。嫌いだった? 大丈夫?」

「今、好きになったの? ふふ。ありがとっ!」

「もう、わたしの彼氏優しすぎ!」

「ごちそうさまでした! あ。ソースついているよっ!」

 拭き取る音。

「ふふ。じゃあ、片付けようね」

「お皿、こっちに持ってきて」

 水を流す音。

「ふきふきしましょうね~」

「大丈夫。わたし、家事もできるんだからねっ!」

「いいの。やりたくてやっていることだから」

「いいお嫁さんになりそうでしょ? 買いだよっ!」

「ふふ。素直でよろしい!!」

「わたし、やっと居場所を見つけたんだ。だからキミには感謝しているよっ。だって中二病ってだけで煙たがられるんだもの」

「我は半身と添い遂げるのだ! そして幸せをつかむ者なり!」

「……ふふ。わたし、やっぱりキミが好きだな~♪」

「好きだよっ! やっぱり幸せだぁ!」

「一緒にゲームしよっ!」

 ゲームの電子音。

「あー。ずるーいっ!」

「ん。いけ、こら。いって!」

「あー。また負けた……」

「もう。こういうのばかり強いんだから。ね?」

 頬に軽くキスをする。

「ん。幸せ」

「ふふ。また遊ぼ?」

「何をして遊ぼうかな?」

「ふふ。パソコンでお絵かきでもしよっか?」

「え。わたしのはプロだって? またまた~♪」

「嬉しいなぁ♪」

「絵描きは前からやっていたの。小さい頃からお母さんに褒められて、それで好きで続けたら、こんなに描けるようになったの。やっぱり好きって大事だと思うんだっ」

「ふふ。わたしが絵描きさんになるかもね!」

「そんなわたしは嫌い?」

「良かった。わたしも好きだもの。デザインの学校で学びたいなー」

「ふふ。キミの夢なら聞いたよっ。とても素敵だと思う」

「そこで働くのがありありと分かる気がする。やっぱり天職だよっ。目指しちゃいな!」

「幸せは自分で決めるものだし、仕事も自分のためにするべきだよっ。じゃないと辛くなって辞めちゃうんだから」

「ふふ。同い年くらいなのに、大人に見えるの? いやだよ~」

「うん。キミが年下に見えるんだよ。相対的に大人に見えるだけだよ」

「もう。からかうのが悪いんじゃない」

「反省しているならよろしい!」

「女の子に年齢を聞いちゃダメだし、ふけているなんて良くないんだからねっ!」

「ふけていると言っているようなものじゃない。まったく」

「さ。わたしも絵を描くよ~♪」

「ん。可愛いイラストを描いているけど、髪色は何がいい?」

「それもいいね♪」

「服とかで好きなのは?」

「なるほどなるほど。キミの好きなイラストはこんな感じ?」

「ふふ。予想通りだった。可愛いよねっ♪」

「さ。もうちょっとブラシアップするねっ」

 ささと描く。

「どうどう? ネットにアップしちゃおうかな?」

「ふふ。今投稿してみたよっ」

「わわ! 素敵だって!?」

「嬉しいな~♪」

「うん。公開して見て良かった。やっぱりキミがいると違うねっ!」

「え。だって背中を押してくれたじゃない。わたしの踏ん切りがつかない気持ちを変えてくれたんだもの」

「それって誰にでもできることじゃないと思うよ。キミがいてくれたからわたしは頑張れるんだよっ」

「頑張れる力を、勇気を、くれるんだ。キミってそんな素敵な人だよ」

「悪口を言われても、理不尽な現実を見ても、真っ直ぐに生きている。だから好きになったんだよっ!」

「頑張っているじゃない。それは誰もが認めていることだよ。人間、言わないけど、みんな心の中では感謝しているんだよっ?」

「そうやって社会が回っているんだもの。無駄なんてことないない」

「みんな褒められたいけど、褒める人はあまりいないからねっ。できて当然、そんなことないない」

「だから、わたしが褒めてあげる」

「ありがとう♪ 好きだよっ♪」

「ふふ。疲れをとるために休むのもキミだよ。いつも張っていたら、疲れるじゃない。休息も必要だよ」

「頑張っているキミが好き。だから休んでいるキミももっと好き♡」

「さ。一緒に添い遂げよ? 大丈夫。これから何があっても、わたしはあなたが好きのは変わらないんだから」

「ふふ。わたし、幸せになるのに、貪欲なの♪」

「キミがいない世界なんて想像がつかないよっ。だから一緒にいよっ?」

「うん。やっぱりキミが一番だよっ!」

「大好きっ!」

「好き好き♪ もう離さない。わたしの彼氏だもの」

「それとも旦那さま? ふふ」

「愛おしいなぁ~♪」


「大好きだよっ!」


                       ~完~

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ちょい中二病な彼女がデレて溺愛してる!! 夕日ゆうや @PT03wing

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