第50話 最後は…

ここは、みんなで食べて飲んでいても、

ニュースは世界の終焉ばかり…どのチャンネルも。

既に空も見えない場所も。ダークホールの影響…


不思議とライフラインは維持されている。

電気、ガス、水道は問題なし。今のところは。


もう、ほとんどの店は空いてない。治安も悪化して警察がひっきりなしに出動している。


老夫婦の店で、ここは何も起きてないような、

不思議と落ち着けるよ。何でもっと早くに来なかったんだろう?


老夫婦は、


【さて、そろそろかな?わしらは最後は、二人でいようかも思うんだが…】


【もちろんです、お邪魔しました。本当に美味しかったです。ありがとうございました】


俺は挨拶を、みんなも、


【無事だったら最初に食べに来るね】


【ありがとうっす!オムライス最後に食べれて満足っす】


【あのー、これ少ないけど、感謝の気持ちで…ビール置いていきます!】


【ありがとう、元気でね、本当にありがとう!】


老夫婦も涙して、


【ホントは店じまい考えていてさ、あんたらの嬉しそうな顔見てたら続けたくなったよ。世界が終わらなかったら必ず最初にここにおいで】


ユキ、大泣き😭


【必ず、必ず来ます……カツ丼、食べに…】


カツ丼なんだね、ユキは。


何か不思議だよ。この外は、世界は、


ここも空が暗い。全てを覆ってるのか。既に、

世界中を覆ってるんじゃないか?ダークホール。


すでに高層ビルは覆われ始めている。

徐々に地表に近づきつつある。


とりあえず、さきに連絡してみよう。


るいがさきに、連絡を。


【さき、大丈夫?もうすぐそこまで】


【るい、今、所長と最後の賭けに出るとこ、説明してる暇ないから急いで来て!】


俺達は全員で向かう。

期待出来るとは思えないが…努力してるなら、俺達も微力ながら何か出来ることを。


この施設は無事なようだ。所長は、


【みんな、無事なようだね。ん?レイジも、そちらの美人さんは?】


【所長、久しぶりっす。俺の奥さんで玲奈っす】


【始めまして、玲奈です】


【こりゃ、なんて、素敵な…レイジ、素晴らしい女性に出会ったね】


さきが怒って、ヤキモチ?


【所長、何してんの。本当に時間無いっての!】


俺も、


【さき、手伝うよ。所長のこと好きなの?】


【うるさい!この装置を外まで移動させて】


全員で、何するんだ?


所長が、


【よし、ここで大丈夫!みんな離れて!】


この装置は破壊されたものと同じ?二台あったのか。それにしても、かなりの大きさだ。前のより大きい。


所長が俺に、


【君は気がついたか?これは使用した装置の10倍の威力があるが、射出時に高威力のためブラックホールに包まれてしまう。そのため使うの躊躇していたんだ。これを使うということは…解るね】


【解ります。誰かが犠牲になるってことですね】


【そうなんだ。正確にはブラックホールに包まれる瞬間に時空の狭間が操縦席を覆う。ブラックホールよりは安全というわけだ。いわゆる移動だからね。ただ、何処へ行くか解らない…なので私が操縦することにした】


何も言えないな。この世界を救う可能性もあるわけだから…くそ、何も他に方法がない…


【みんな、見ていてくれたまえ。私の勇姿を。それにるい、ユキ、彼が前みたいに飛び込まないように抑えていてくれ】


飛び込まないよ…もうどうしようないから。


さきは、


【所長、未来に行ったら必ずここに来て!】


所長は、笑顔で、


【待ち合わせはここだね。じゃ、ここでデート再開だね】


所長もさきのことを、好きなんだね、きっと。


所長は操縦席に。扉を閉めた。


電源が入り、空に向かって、準備完了。

スピーカーで、所長は、


【みんな、私についてきてくれてありがとう!】


そういうと同時にブラックホールが射出!

続けて、連射式!

三、四、五全部で五発発射した。


ブラックホール同士が衝突して、冷たい!

水か!そう言えば効果あったよな!


直撃した場所…ダークホールが部分的に消滅した。

これなら、次々にブラックホールの衝突で吹き出される水で徐々に、ダークホールは減っていく…


成功!やったか!ついに…


その時。ユキが、


【キャー!】


装置から発生したブラックホールに吸い込まれていく。俺はとっさにユキの腕を掴んた!


【離すな!ユキ絶対に!】


【涼さん…無理だよ、離して。涼さんまで…】


離すもんか!何が何でも!


るいも、


【涼ちゃんを掴んで、みんな!】


みんなが俺を、ユキ、何としても助ける!


ユキは、


【涼さん、みんな、ありがとう。でも巻き込むことは出来ない!離して!】


玲奈が、


【ユキ、諦めないで!】


駄目だ、強すぎる。吸い込まれる…


俺はるいに、


【るい、聞いてくれ!ユキが吸い込まれたら、俺が諦めたらずっと後悔する!るいもユキも危険を覚悟で俺を助けてくれた。最後は俺が助ける!】


るいは、泣きながらうなずく。


【涼ちゃんの判断でいい!ありがとう、!忘れない!絶対に!愛してる、涼ちゃん!】


るいの手を離し、俺とユキは、ブラックホールに。


みんなの声が徐々に小さくなった…


ユキが、


【ごめんなさい、ほんとにごめんなさい😭】


俺が、


【何言っての!ユキ、悪くないよ。俺はこれで良かったと思ってるよ!】


ユキは泣き続けている…

そっと抱きかかえて、俺は、


【不安だよね、俺がそばにいるからね】


ユキは、


【涼さん、不思議…だんだん不安が減っていく。涼さんって癒やしの効果あるのかな?みんな無事かな?】


【さき達…、いや所長が犠牲になって成功させたんだ。みんな無事だよ】


【涼さん、最後まで支えてくれてありがとう】


【ユキは、小さい頃から俺を支えてくれていた。それに比べたら俺なんてさ…たいしたことしてない】


【涼さん、るいのこと、後悔していない?】


【うん。さっき、もしユキの手を離したら、そっちのほうが後悔する】


【涼さん、安心する匂いがする…】


ユキを抱きしめた状態で、ブラックホールに触れてみた。これ、時空の狭間じゃないなら、もしかして、使えるか。俺の能力。いけそうだ!


思った通り、ブラックホールを左手が吸い込む。

辺りが開けてきた。場所は変わってない!

あっ、所長、無事なのか?


【所長、大丈夫ですか!】


【ん?ああ、気を失っていた。何故君がここに?】


その時全てを左手が吸い込み…


【涼ちゃん!】


みんな、無事だったね。良かった!


るいが、


【涼ちゃん、良かった!時空の狭間じゃなかったんだね。ブラックホールだったんだ!だから、涼ちゃんの左手犠牲になってみんなを…っかさ、ユキ、もう離れていいでしょ!いつまでくっついてんの!】


ユキが、


【嫌だ!離れない!涼さんが守ってくれてたんだよ、いいでしょ?るい。涼さんに守られていたんだよ。てへっ!】


るいは、


【何がてへっだよ。可愛い子演じて…ユキ、優しくしてるからって、調子に乗るな!】


始まった…これがいつもの日常だ。


そう言えばダークホールは?


もう、どこにもない。


さきが、


【所長、もうダークホールの信号どこにもないです。ということは?】


所長は、


【ああ、みんなのお陰だ!勝ったんだ!ついにね】


みんなが抱き合って大喜び!


ユキが、


【涼さん、左手だーして…ね】


ユキ、駄目駄目!これ以上能力を…駄目だって!

強引にユキが左手を掴んで、もう、ユキ…


【あれ、何か変だよ。おかしいなー】


ユキ、どうした…?


左手は動かない。ユキ能力使わなかったね。

それで良かった。ん?ユキ、


【何で!何でよ、使えない!能力!使えないよー😭】


所長は、


【ブラックホールの後遺症だな。もう能力使えないのではないかな?るいも、君もね】


ユキは、崩れ落ちる…


【そんな…涼さんの左手を…直せないの?】


るいは、


【私が涼ちゃんの左手をフォローする!ずっと。安心して。お風呂とかなんの心配もなし!】


ユキは、


【私もずっと!任せて】


るい😡


【なんで、ユキが出しゃばるんだよ!あんたは関係ないの!】


ユキ😜、るい😡


所長は、


【君はモテモテだな。その左手がみんなを救ったんだ。ブラックホールを封じ込めたのはこれて三回目だね。何という能力だったんだ。凄いな!】


俺は、


【左手で救えたのなら、安いもんです…】


何の感覚もない…さすがに慣れてきたが…

ただ、さっきから意識が、あれ?立ってられないや…


【危ない!】


玲奈が倒れる俺を抱きかかえて、


【涼、大丈夫?】


るいは、


【涼ちゃん聞こえる?】


みんなの声、聞こえてるが、遠くから…

眠いな…ちょっと休みたい…


【涼ちゃんーー!】


るい、近くて遠いよ…どこだ?


意識が…


………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………





どれくらいの時間が過ぎたのだろう?


ここはどこだ?


【涼!】


ん?玲奈…ごめん、ずっと支えてくれていた…

あれ、るい、どこ?ユキ?


玲奈が、


【涼、ほら起きて。いい歳して甘えないの!】


俺は、


【ここは?この部屋って?】


玲奈が、


【寝ぼけてる…はい。起きて。休み終わっちゃうよ。もうすぐ昼だよ】


ちょっとちょっと!るい、


【るいは?】


玲奈が、


【なに言ってんの?るいって、可愛い子の夢でも見てたの?何してんの、涼】


何で?ここは、どうして?俺どこに来たんだ?


玲奈が、心配そうな表情で、


【ほんと、大丈夫?】


俺は、


【玲奈、レイジは?レイジと結婚して…】


玲奈が、


【はぁー?もう勝手に知らない男と結婚させないで。あなたとでしょ、結婚してるのは!ほんと寝ぼけ過ぎだよ。あなたの奥さんの美脚の玲奈です!】


確かに美脚だけど…って、それどころじゃない!

ここはどこなんだよ。


さては、ドッキリだな!


【これは、誰の仕業だ?ユキか?さきか?】


玲奈は、


【もう、終わり。寝ぼけているのはおしまい!あのね、いつまでもフザケてると怒るよ、涼!】


なんだよ、落ち着け、落ち着け!


【玲奈…ごめん。俺はいろいろあってさ…】


玲奈は、


【そうみたいだね。随分寝ていたもんね。落ち着いたら出掛けよう。今日は美味しいランチを食べに行くって言ってたよね?そろそろ時間だよ!】


俺はどんな旅をしてきたんだろう…

ということは、ブラックホールやダークホールは?


【玲奈、ダークホールは?世界は無事?】


玲奈は、オーマイガー!のポーズ。


【世界はね。駄目!不景気!物価も値上がり生活大変だよ!解った?今の世界の現状…そんな世界を背負うような仕事してないでしょ?涼】


そうか、戻ってきたのか。始まりに…


玲奈…俺は不満なんて無かったよ。今思えば…

この生活は幸せだったんだ。


【玲奈…ありがとう。これからもよろしくね】


玲奈は、


【???とりあえず、よろしくね。涼】


さて、美味しいランチ食べに行こうか?

ここから始めればいいんだよな?

無事に幸せにいるよな?るい、ユキ。


【涼、今なんか言った?】


【言ってないよ、美脚の玲奈さん】


【褒めても奢りはしないからね】


るい、ユキ、みんなありがとう…忘れ無いよ。

いつまでも…


【涼、早く行くよ】


【玲奈、行きたいとこある。天せいろ好きだろ?】


【うん、何で天せいろ好きなの知ってるの?】


玲奈、俺はここで生きていくよ。よろしくね。


【涼、少し大人っぽくなった?うん、いい感じ!】



………………………終わり……………………………



ご愛読、本当にありがとうごさいました。

50話まで読んでいただき感謝します。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

もう一度ここに(第二章) ラグランジュ @space-time

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ