もう一度ここに(第二章)

第48話 質量

【さき、戻ったよ】

さきが、怒ってる!

【涼さん、あなた重要な役割担ってるんだから、勝手な行動しないで!】

【ごめん…】

【ところで、なんでユキがいるの?】

るいも、気が付き、

【涼ちゃん、ユキに話したの?】

俺は、

【さっき外出会ったんだ。それよりも今どの辺?】

さきは、

【まだだいぶ先。ブラックホール射程に入ったらすぐ発射するから。涼さん、感覚で異変感じたらすぐ教えて。動かないで、ここ!いい?ユキもそこにいて。あれ、ユキ歳取った?ごめん、少し老けたような…】

【さき、失礼!色っぽくなったって言って!】

俺もすかさず、

【俺も今のユキがタイプだね。素敵になった!】

【ありがとう、涼さん♥】

るい、ごめん。怒っていいからね。俺がすべて受け止める。るいは、

【ユキ、能力使ったね。ありがとう、涼ちゃんのために。そして、ごめんね…】

【もう〜そんなしんみり嫌!、ねぇ、るい!色っぽくなったでしょ?どう?】

【うん。素敵!もう私かなわないや…】

【そんな、調子狂うよ、るい…でも、嬉しい】

良かった。二人仲良く。これで集中出来る。

さきが、

【涼さん。なにか感じ取った?】

【いや。何も。これだけ離れてるのによく発見できたね。所長でしょ?見つけたの?所長は?】

さきが、

【トイレ…出てこない…ブラックホール使用するのに緊張してるだって…】

るいは、

【ダッサ…相変わらずいざとなると駄目な…】

【るい、言い過ぎだよ。所長、俺の質量のことも見出す人だよ。みんな気が付かなかったじゃん】

さきは、

【その質量ね。もし現実なら涼さん、あなたがブラックホールコントロールして。ブラックホールの影響受けないから。少なくとも一番影響ないはず】

そこに。ついに、所長が、

【さき、それは駄目だ。彼に負担かけたくない。彼はここでダークホールを感じ取る重要な役割がある。私がブラックホールをコントロールしよう】

るいは、

【所長、なんかさ、格好よく出てきたけど、トイレでビビっていたでしょ、変わらないねー】

るい、だから、お前失礼だって…

【るい、そういうストレートな表現嫌いでないよ、そう、何も隠そう私はビビってた!それくらいのものなんだよ、この装置は。ブラックホールは】

所長、なんか誇らしげだが、ビビってたんだ…

所長は、

【ユキも来てるんだね、ありがとう。それじゃ、食べて食べて!】

何だこの緊張感の無さ…

所長は俺のそばに来て、

【不思議だろう?覚悟っていうか、なんかね、決意がね、そうさせるんだよ。せめて楽しく終わりたい…いやいや、諦めてはならんね】

所長、自信ないんだな。

るい、モグモグ…さっきもそうとう食べてたよな!

俺は、こうやって普通に過ごすのがいいんだと、

そう実感した。

所長が、

【はい、注目!みなさん、本当にお疲れ様。この先は私が装置を操作します!残された時間は家族や友人たち、大切な人達と過ごしてください】

さきが、

【所長、一人では無理ですよ、私も】

所長は、

【いいから帰りなさい!改造したんだから大丈夫!】

所長が、みんなを強制的に帰して、最後に残った俺達に、

【君達が協力してくれて助かったよ。ありがとう、みなを帰した理由は話さないとな】

さきは、

【操作できてもなにかあったら応用が効きません、その時は必要です。お願いします、残らさせてください。所長も私がそう言うの解ってましたよね?】

所長は、

【そうだね、君達はそう言い出すと解っていたよ。ずっと計算していて解ったが、このブラックホール上手く行っても消滅させることは出来ない。本来の吸い込む力より遥かに膨張する力のほうが大きい】

るいが、

【だからみんなを帰したんだね】

所長は、

【すまなかったね、期待させてしまった。さぁ、そういうことだ。君達も早く帰って普通の生活を】

さきが、

【結局、何も出来なかったね、私達…】

俺は、

【もうじゅうぶんだよ】

ユキも、

【あー、楽しく人生だったなー、るいは、いいなー、涼さんがいて、私も彼氏ほしかったなー】

るい、言葉を詰まらせて、

【ユキ、ごめんね。涼さん、ユキのことハグしてあげて】

ユキは、

【いいよ、るい、なんな調子狂うよ、これじゃ…】

俺はユキをハグ。

【ユキ、ありがとう。二度も能力使わせてしまった。ごめんね。そして………………………………、素敵になった!メチャタイプ。そしてメチャ好みに】

ユキ、少し涙ぐんで、

【涼さん、嘘でも嬉しい…ありがとう】

俺は、ドサクサついでに、

【ユキ………チュ😚】

ユキ、照れてる…

【涼さん、るい見てるのに…】

るいは、怒ったね!間違いなくね!

【涼…ちゃん…やりすぎだよ!でも許す!今回ばかりはユキのために、ありがとう】

おおっ!大人になったなー、るい。

【もし、世界が救われたら…許さないけど…】

前言撤回!何も変わってない!るい。

さきが、

【じゃ、私は所長にチュ😚】

所長、

【おいおい、私とでは歳が離れすぎてる】

さきが、

【所長、本気にならないでくださいよ、世界が続いたら今のは無しってことで】

所長は、微笑んで、

【さき、ありがとう。でも、やはり最後は私だけにしてほしい。頼む!】

【解りました!みんな、撤収!早く!】

さきに、連れられ無理やり外へ、

どうしても聞きたいことがある。俺一人、所長のとこへ、

【所長、教えてください。質量って何ですか?俺は何か特別な人間なんですか?】

所長は、

【話すべきなんだろうな、君には。解った。全て話そう】

俺は何をすべきなのか、俺にしか出来ないことあるのか?

残された時間に悔いは残したくない…

そして、全ての覚悟は出来ている。