第37話 想定外

あの夏の出来事から三年が過ぎ、とくに何か変わったことはなく日々変わらず過ごしている。


るいは俺と引越し先で仲良く、ほんとは、

入籍だけでなく、結婚式もと考えてはいるが…

ここに至るまでいろいろありすぎて、チャンスを

逃した。


信頼関係成り立っているからね、少しもブレたりしないが、いずれは結婚式も必要かな。るいのためにも。


さきは、新しい職場に。相変わらずリーダーシップを取り多少もめてはいるが、何とかなってる。

酒癖は相変わらず悪い…そうだ。


玲奈はユキと変わらず過ごしているが、レイジが何かとデートに誘うため、ユキは単身で引越し先を探している。俺達の住んでるアパート空きがあるから誘ったけど、るいのこと考えて別にするらしい。


そのレイジだが、どうも玲奈に本気らしく、ずっと玲奈としかデートしていない。普通はそうだが、特にレイジは珍しいらしい。さきから聞いたが…


時空の狭間、ダークホール、何もかも嘘のように現れず平穏な日々を過ごしている。問題はないのたが、俺自身立ちくらみは続いていて、るいもそれは心配してくれて、病院で徹底的に検査したが、何も見つからず、経過観察中となった。


これはダークホールの副作用なんだと思う。

医師は信じてないが。


今年の夏はとんでもない猛暑、るいも俺も暑さに強いほうだがさすがに耐えきれず…寝てる間に俺は服を勝手に脱いでいる。


【涼ちゃん、服を脱いて寝てる。そのくせ治らないの?しかも汗だくじゃん】


【夏の暑さ強かったはずなのに…もうフラフラ…寝ても寝ても疲れが取れないね】


【まだ、若いのに…またあの海行こうよ。今度は二人で】


【暑いんですけどー、今日?】


【思ったらすぐ!はい、汗臭いからシャワー入ってきて。服脱ぐから汗臭くなるんだよ】


立ちくらみはずっと続いてる。日光に浴びることも必要だけど真夏は避けたいね。もう海開きしてるし、早めに行っとこう。明日まで休みだからね。


二人で車で。中古だけど、けっこう走る。

レトロな車って俺が引かないから、るいは渋々折れてくれて。


【うわー、懐かしい!ここ。涼ちゃんの体調のこと考えて三年も来てなかったね】


【ごめんね、るい。三年も。結局外に出ないと良くならないね。来て良かった。とても調子いいよ】


るいは、


【泳ぐよ!急いで!】


解ったよ、どうせ水着着てるんだろ!俺も今日は着てきたよ。海だ!ー行くぞ!るい。あれ?るい?


【るい、急に止まって。何やってんの?】


【さきに行ってて…】


【るい、どうしたの?………💩?】


バチッーン!イッテー!何?

脛ばかりガードしてた。想定外!


【なんでそうなっちゃうの!バカ、涼!】


【じゃ、早く行こう!もう暑いよ!】


【水着忘れた…】


【何、着てなかったの?】


【うん。あーあ、ドジだなー私】


【仕方ない、気に入ったの無いかも知れないけど、買いに行こう。そこの海の家】


【涼ちゃん、ごめんね。自分で払うからね】


【いいよ、そんなの。早く行こう】


二人で海の家に。意外とたくさんある。

気に入ったのあるんじゃない?


【これにするね。手頃だし、無難だし】


無難…るい、目立つから無難なほうがいいね。

るいはさっそく着替えて、


【どうかな?こんな感じだけど?】


いい!すっごくいい!るい、さすがに良く似合うね。

不思議、モデル体型って訳では無いけど、

何でも着こなすね!


【とってもいい!似合う!最高!】


るいは喜んで、抱きついてきた。


【涼ちゃん、ありがとう!】


水着で抱きつかれると、照れるね。

るいだから、特に。


二人はさっそくアクティビティに。

シュノーケリング、パラセーリング、

バナナボート、疲れたー!


【ちょっと休憩しよう…疲れたよ。るいも疲れたでしょ?】


【少しね、休もうか】


二人で戻り。フラフラです…


【るい、嫌な予感しない?】


【する…とにかくじっとしてよう】


あの姿は…さきだ。何というタイミング!

もしかしたら毎週ここに来てるのか?


【どうする?挨拶する?久々でしょ?】


【涼ちゃん、さき、お酒飲んでるかな?】


遠くから様子を見てみる。あれ?連れがいるぞ。

あの姿は…出た!レイジだ。なんだ、真剣に話してる。レイジのやつ、さきに乗り換えたか!


【るい、ちょっと行ってくる!ガツンと】


【私も行く。フザケてる!】


俺達は怒りMAXでレイジのとこに。


【おい、レイジ!玲奈を悲しませて!許さん!】


【えっ、久しぶりっす。涼さん】


【久しぶりじゃないだろ。玲奈に悪いと思わないのか!お前ってやつは。ほんと美脚に目がないな!】


【違うんすよ。相談に乗ってもらって…今年の冬に結婚式を予定してるんで…】


結婚式?さきと?ますますふざけやがって!


【お前ってやつは、玲奈に悪いと思わないのか?、さきも元同僚だからって甘やかし過ぎ!】


さきは、ニヤリと、


【レイジ、バレちゃったよ。仕方ないね】


【コラー、レイジ。テメー、くらえ!】


るいの上段回し蹴りが………クリーンヒット!

レイジが吹っ飛んた!スゲー蹴りだ!

るいって、蹴り技どこで身につけたんだろ?


【ちょっと。るい、やり過ぎ!】


【うっせー、さき。お前もくらえっ!】


ちょっと、待て待て!ウギャ!

俺に…くらわせて…どうすんだよ…


俺は気を失った…


それから、暫くして、目の前にさきが、


【大丈夫?涼さん…】


【ありがとう。大丈夫。レイジは?】


【何とか大丈夫っす。さきさんも誤解されるような発言するからこんな目に会うんすよ!】


【あっ、ハハハハハ!ごめんね】


誤解って、何?


るいが、ショボーンとしてる。


【涼ちゃん、ごめんね。記憶ある?】


るいのやつ、よしっ!少し困らせてやる!


【あのー、どちら様ですか?さきのお友達?】


【涼ちゃん、冗談でしょ?】


いいぞ、俺の演技!なかなか。


【えーと、さきさんに、レイジに、えー、と】


るい、焦りだした!


【涼ちゃん、るいだよ!さきの友達!】


さきもあせって、


【涼さん、私は解ってるのに、るいのことだけ忘れての?るいだよ、あなたと入籍してるよね?】


【涼さん、ほんとに記憶が…ヤバいっす!】


ちょっと、面白くなってきた!


【レイジ、玲奈とは?】


【結婚予定っす。それよりも玲奈も覚えてるん

すか?ユキは?】


【ユキ、会ってないな。元気かな?】


るい、お前は少しここで反省しないと。

ん、ちょっとちょっと!泣くことないでしょ?


【涼ちゃーん!ごめんなさい!わーん😭😭😭】


やり過ぎたかな?記憶戻った振りしよう。

記憶失って無いけど、これは難しい。


【あのー、るいさんでしたね。すみません。少し思い出してきて…】


【涼ちゃ…ん、るいと住んでるんだよ。場所も解る?ここまでどうやって来たか?】


【解る。確か車で。そうだ!るい、水着買ったね!】


るい、フルフル…ヤバっ、バレたかな?


【うん、思い出してくれた?これ、褒めてくれたよ、涼ちゃん!】


【思い出した!るい。凄い似合ってる!可愛い!】


【涼ちゃーん!良かった~!ごめんね、ほんとにごんめんね!もう、絶対蹴りは使わない!】


るい、みんな見てる!抱きついてくれるの嬉しいけど、俺、とんでもない嘘ついてしまった…

引くに引けない…誤魔化すしかない。


さきも、レイジも、


【あー、良かった。一瞬記憶飛んだんだね。あのね、レイジ、玲奈との結婚式の相談を私にしてたの】


俺は理解出来ない。結婚の相談がなんで海?


【なんで海で?】


レイジは誇らしい顔で、


【俺と玲奈、あれから毎年来てるっす。今年はここでプロポーズを予定っていうか、断られたらマジ立ち直れないっすけど】


レイジ、そんなに玲奈のことを。

三年も、ほんとに変わったよ、レイジ。いい方向に。紛らわしいのはさきの言い方だ!


【さき、あんな言い方したら、誤解するよ。さきも悪い!レイジも被害者だね、蹴りを食らって】


さきがあれって?顔して、


【あれ、涼さん、そこは覚えてるの?】


しまったー、ヤバっ!つい…


【涼さん、記憶失ってた…すよね?】


るい、ヤバっ!ヤバっ!どうしよう…じーと見てる。

このあとのるいが怖い。


【涼ちゃん!もしかして…演技?】


人々の声が、さっきの出来事を話してる。


※凄かったよな!あの子だよ。あんな可愛いのに、スゲー上段蹴りで、男二人をのしたんだよ※


コッラー、余計なことを…るい?るいちゃん?

落ち着いて。ねっ、るいちゃん、可愛いね。

許してね。お願いーーーーー!駄目かな?


るい😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡‼️


【コッノーヤロー!涼、テメー!】


ごめんなさーーーーーい!


イテー!もうやらないんじゃなかったの…

蹴りは。


ほんとに記憶飛びそう〜!


嘘はいけません。いいことありません。


そして、るいの強さを知りました…


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