第33話 説得

【さき、さっきの話はいつ実行する?】


【早ければ早いほど。でも気持ちの切替必要てしょ?るい達に任せる】


何、何、なんの話?

俺とユキはキョトン?


【るいはさきに伝えて。部屋のほうがいいかな?スイート空いてるから使って。涼さんには私と玲奈から話す】


とりあえず聞こう。なんか覚悟決めた感じ。


俺は全てを聞いて、途方に暮れた。

るいと会えない、るいとの未来…


さきが、


【しっかりして、涼さん!全てを守るために、るいまも解ってくれたよ!】


玲奈を見ると、小さくうなずく。

そんな、確かにユキは玲奈の子供、養子だけどさ。

ユキのこと考えれば、さき達の判断は正解だ。


でもさ、るい、俺はそんな簡単には割り切れない。

るいはそんな簡単だったのか?

そんなもんなのかな?俺の存在って。


【解った。ユキのこと考えて、さき、その方法で行こう。るいの説明を受けてるユキだけだが、まず大丈夫だろう】


【涼、ごめんね。屋上の話がほんとになってしまって。私だけその代償なく、なんかズルいよね?】


【玲奈、そんなことない。玲奈は俺をずっと受け入れ続けないとならないんだよ。少なくとも一度は愛想尽きたでしょ?そんな男を旦那としてだよ】


【…別にずっと…好きだったから】


ん!何なんて言ってた?聞こえない?


【玲奈、何?】


【なんでもない。涼、ありがとう。ユキを救ってくれて】


【玲奈の娘だろ!当然。過去が変われば娘ではなくなるかも知れないけどね】


【どこかで元気に生きていてくれればいいの、それに元々は妹の子供だから】


そうだろうな、母親ならね。養子だとしても。


【遅いな、るい達】


さきが、


【スイート見てくるね】


玲奈と二人、これから変える過去を考えると、

なんか照れくさい。


【涼、最初の出会い覚えてる?】


【忘れたい思い出。言わなくていいよ】


玲奈はくすっと笑って、


【あんなになるんだね、溺れてさ】


【だから、言わなくていいって!】


【ダッサイ水着来てたよね?センスないなーって】


【そんなこと思ってたのかよ、ショックだー】


玲奈、久々だな。こんなふうに笑えたの。


【涼、るいに約束したんだ。絶対に涼を離さないって。るいの強い気持ち伝わってきて、辛くて泣いちゃったよ。るいって凄いね、かなわないや】


るいとそんなこと。あいつ…


【もしさ、もしもだよ。こんなことにならなかったら、るいを選ぶよね?涼。さっき本気で伝えたときに解った。るいには絶対に勝てないって】


【今回はユキのこと考えてだけどさ、今考えても玲奈の気持ちは伝わってきたよ。あのときに、俺が玲奈との幸せな時間を気がつけずごめん】


【涼…私も】


【玲奈…】


気まずいんですが…玲奈。ちょっと別のこと考えよう。えーと、んーと、


【玲奈…脚綺麗だね】


【涼…どこ見てんの!】


バチッーン。痛ー、玲奈!お前、本気で…

玲奈、笑って、


【普通でいいよ、涼。間違いなく私も恋してるからね。よろしくね。未来の旦那さん】


【玲奈…なんか、照れ…】


ゴン!なんだ、今度は?


【あっ!痛ー、なんだ?】


【おい、何いい雰囲気になってんだ、二人!ゲブ!】


さき、お前なんで酒を!るい達はどうした?


【さき、何してんだよ、るいは?】


【大丈夫…オエ!ちゃんとはなして…ゲブ…ゲボ】


こいつ、何言ってるか解らない。


ちょっと聞いてくるか。


【玲奈、スイート行ってくる。さき、よろしく】


【解った。とりあえず水飲ませておく!】


まったくもう、さきって凄い人なのか酒乱なのか!


【るい、開けるよ!】


【涼ちゃん、さきから話聞いた?】


【うん、さき酒飲んでたぞ!】


【ここで、三人でお別れ会やっててさ】


なんだ、それで。さきも寂しいんだろうな。


【涼さん、話聞いた。ちょっと来て】


【ユキ、ほんと成長したね。ごめんね、何年も寿命使わせてしまって】


【いいの、いいの。それでどう?魅力的になった?】


るいの前で…それはそうだけどさ。


【涼ちゃん、ユキと暫くここで話して。私は後でゆっくりと涼ちゃんと話すから】


るい、なんか物わかり良すぎ。それに、距離が出来たような…寂しいな。


るいは出ていった。


【涼さん、もうすぐお別れだね…】


【ユキ、寂しいね。ずっと聞きたかったことがあるんだけどさ、少し長くなるけどいいかな?】


【何?、何でもいいけど】


【ユキは未来と現在、あっ、過去もあったね。記憶ってどこまであるの?】


【未来からここに来たよね、涼さんと。その記憶ははっきりと。でも、子供ってよく覚えていないの】


なるほど。じゃ、未来から俺と戻った記憶が、

今のユキには最初か。


【ユキ、ごめんね。未来から連れてきてしまって】


【涼さん、あの未来はそもそも私の居場所では無かったよね?ここから涼さんと、るいと、三人で向かった未来。むしろその子供の頃の記憶消失してしまってごめんね。こっちに戻ってきてからは全て覚えてる】


【じゃあさ、遊園地のことも、その前も?】


【うん。未来から戻ってからのことだけ】


【聞きづらいけど、ブュッフェのとき…あのさ…

俺に…】


ユキは、笑って、


【チュ😚でしょ。覚えてる。涼さんのこと本当に好きだったから。嬉しかった。子供ながらね。利用してズルいことしちゃった。ごめんね】


【匂いって、何度も言っていたけど、何か記憶あるの?何度も嗅がれていたよ。俺】


【うん、記憶はないけど、なんかとても懐かしいって感じるの。涼さん、もしかしたら何か私と過去に接点あった?】


ここでは言わないでおこう。パーティーのこと。

俺と子供の頃、既に出会っていたこと。

それにお互い惹かれ合って恋におちたこと。


全てはもう戻らない過去の話。


【ないよ、子供の頃のユキ、可愛かったなー】


【えー、今は可愛くないって言われた感じ〜】


【違うよ。もちろん魅力的だよ。だってこんなに…】


やめよう。もうお別れだ。ユキとも…


【お別れだから?言わないの?】


【ごめん。ユキ。言わない…】


【解った。責めないね。涼さん】


フラッシュバックだ。思い出が蘇る。

ユキ、俺はこれ以上ここにいてはならない。


【涼さん、最後にキスしよう…】


駄目だよ。それは。俺には無理だよ…


【ごめん、ユキ…できない…】


【…解った。それも優しさだね…】


ユキは立ち上がり、部屋を出た。

ごめんね、ユキ。


俺達はロビーに。お互い全ての話ができ、

みな納得した。こうするしか無かった…


さきが、


【私はTAに戻り、全てを設定する。多少日数必要だから。準備ができたら連絡する。過去の分岐点に戻るのは涼さん、ただ一人ね。そこで、るいとは出会わないこと】


さらに、


【そこで、るいが立ち去った後、すぐに未来へと、ここより先の未来に。ここよりも数年先にする、そこで成功の目印として、何か…】


るいが、


【これ、このペンダント!これをこのホテルの…どこにしょう?】


さきが、


【るいと涼さんで、決めてきて。後で場所のメモちょうだい。とりあえず私はTAに戻る】


るいと、俺は、


【涼ちゃん、バルコニーに。そこで決めよう】


【解った】


玲奈は、


【私とユキは部屋に戻ってるね、じゃ、明日にここで会いましょう】


【涼さん、るいちゃんとしっかり話してきてね】


ありがとう、玲奈、ユキ。


ユキが戻ってきて、


【涼さん、るいちゃん、後悔のないようにね!】


るいが、


【ユキ、いろいろありがとうね】


涙を…るい、ごめんね。

俺がもっとしっかりしていればね。


るいが、


【涼ちゃん、さきだけに言われて、私とさきしか知らないことあるんだ。とりあえずペンダントつけて。置き場所決めたら】


なんか、るい、思い詰めてないか?

さきとだけの話って?何?







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