第17話 守る
ホテルの翌朝、るいが横にいる。
あどけない寝顔、ぐっすり寝ている。
るいの寝癖を直すように、そっと触れる。
【うーん、涼…ちゃん…】
起きないな、疲れたのかな?
寝顔見てるって、幸せなんだね、るい。
ちょっと、ビーチ散歩してくるか。
ブッフェには早過ぎるから。
海は何かと俺の運命に影響がある。
玲奈とも…そう言えば、ユキ。
どうするか、とりあえず、さきに相談。
まだ寝てるよな、二日酔いかな。
とりあえず連絡してみるか。
【もしもし、さき…さきさん、ビーチ来れますか?無理しないでいいけど…】
【んー、涼さん?行きます、着替えるので少し待っててくださいね】
起きてくれたか。少し話せそう。ユキのこと。
【お待たせしました、涼さん】
さき、👕表裏逆!、慌てたとかな?
【さきさん、👕表裏…】
【えっ、あっ、ごめんなさい!】
えっ、ここで脱ぐな~、酔ってるのかまだ。
【さきさん、ここで…ちょっと待って】
もう、着直してしまった。早業!凄い。
【誰もいないから、いいかなと、あっ、涼さんいましたね。すみません】
【いや、見てないから。大丈夫】
【別に見られても平気ですよ】
何だよ、さき、先に行ってくれよ。
(さき)と(先)をかけました。
どうでもいいけどね…すみません。
【あのさ、ユキは玲奈という女性の養子で…】
今までのいきさつ話して…解るかな?
さきは腕を組んで考えてる。難しいよ、これ。
訳解らないもん。俺なら。
【ユキは戻ったほうがいいと思います。玲奈って人がずっといればいいけど、何があるか解らない、私達が戻ったらユキのこと対処出来ないので】
【さき、るいも連れて行ってくれないかな?】
【えっ、るいから言ったんですか?】
【まだ話してない、でもこの先のこと考えて、
俺が決断した】
【んーとね、えーと、涼さんの…】
【涼でいいから、俺もさきって呼ぶ、この問題解決しよう】
【涼…解った。とりあえず、るいには言わないで】
そうだな、これはデリケートな問題だ。
ユキのこと、とりあえず玲奈にも会わないと。
俺達はホテルの部屋に戻った。
るいは寝てる。まだ起きない…
何か握ってる、これ?あの時のペンダント!
るい、俺、決断鈍りそうだ…
もう俺のこと、これ以上好きにさせないで…
苦しい…苦しいよ、るい。
出会ったこと、後悔してる。
るいのこと、こんなにも好きに、想いを寄せて、
幸せだった日々を振り返る。
るい、何故俺の前に現れたの?
こんなに苦しくなるなんて。
るいに触れて、るいにキスして、
【涼ちゃん、おはよ、…どうかした?】
るいを強く抱きしめた。強く…
【涼ちゃん…どうしたの?】
るいの優しい声が、ぬくもりが…
何もかも愛おしい…
【涼ちゃんーーーーー暖かいね】
るいも手を背中に、るいの手からぬくもりが…
苦しいよ、苦しい、るい。
本当はずっと一緒にいたかった…
でも、るいの人生、守ると決めたんだ!
揺らぐなよ、俺の気持ち、信念!
負けるなよ、ここでは絶対に!
ここは無理しても元気にしないと。
【涼ちゃん、汗かいてる。寝てなかったの?】
【ちょっとビーチにね、散歩】
【連れていってよー、あと、汗臭いよ、クンクン】
【ごめん、シャワー浴びてくる、嗅がなくていい】
せっかくの海だ。今は楽しもう!
まだ帰らないぞ、遊ぶぞ。
思い出で作るんだ。るいとの。
【涼ちゃん、日焼け凄いね】
【るいは、焼けてないね。ちゃんとぬったからね】
【涼ちゃんもぬってあげる、ほら、脇も】
【くすぐったいって…るい!やめろって】
【ほら、ここも、ちゃんと、イヒヒ!】
るい、わざとだろ!くすぐってるよな!
反撃の狼煙だ!
【涼ちゃん!駄目ー、くすぐったい、もう無理ー!】
暴れ出したな、るい。簡単には終わらないぞ!
【おーい、何イチャついてんだよー、ゲフ!】
何だ何だ、誰だ?ん、さき?まさか!!!
【飲んでるかー、ウゲッ!ゲフ!】
【すみません、さきさんまた飲んでしまって…】
青年、見とけよ、こいつのこと。
もう、ヤダ…
【楽しもうよ、飲もうよ。ゲー………プ、オェ!】
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