第6話 恋人

この部屋で、かなりの年月、るいといたよな。

るいはこの世界に来てから、元の世界に戻りたいって思ってないのかな?


横で寝ている、るい。

安心しきってるよな、よく寝てる。


【涼ちゃん…おはよ…】


寝ぼけて髪ぼさぼさ、目を擦って、照れてる。

初めて恋人になって迎えた休日の朝。

今更気がついたが、るい、可愛い!


これからは一緒だけど、問題もあるな。


玲奈にももう一度しっかり話を聞いてもらい、

会ってくれるかどうか…それすら難しいな。

ユキの説明も…すぐに解決出来ない、時間が必要。


暫くは、ずっと寂しい思いをさせてしまったから、

るいのことを考えよう。


【るい、おはよう】


【…今、何考えてたの?玲奈のことやっぱり…】


【違うよ、恋人っていいなって、それに、恋人ってるいじゃん。嬉しくて】


おっ、これはいいんじゃない?なかなか手応え…


【嘘つき!そんな表情じゃなかった。たぶん涼ちゃんの性格だと玲奈に解ってもらえないとスッキリしないでしょ、それでどう説明するか悩んでいたって、そんなとこでしょ、付き合い長いと解るよ】


るい、さすが。見抜いてらっしゃる。


【そうだとしてもさ、るいのこと何より最優先で考えたい。オリオン見るまでには解決したいから】


【えっ、覚えてるの?オリオンって言ったこと?】


【るい、昨日の夜だよ、言っていたじゃん】


るいは嬉しそうに、飛びついてきた。

るい、こんなに小さい体だったんだね。

よく頑張ったね。寂しい思いさせてしまって

ごめん。


【涼ちゃん…大好きだよ】


嬉しいよね、何気ないこういうことって。

るいはストレートに言うね。


【涼ちゃん……………お腹空かない?】


やはりストレート。

これが、るい。空腹が耐えられないみたい。


【じゃ、すぐ食べに行くよ。着替えて】


るいは、着替えだした。細いなー、よく食べるのに

何で太らないんだろう?不思議。


【何見てるの?涼ちゃんも早く】


着替えてるの見続けるのは失礼だよな。

とりあえず俺も着替えて出掛けるか。

 

るいと恋人。何度か気になったことがあるが…

友達もよくるいのこと、可愛い可愛いって言ってたな。確かにショートカットが似合ってるよな。


【可愛くないか?アイドルかな?】

【隣にいるの彼氏だよな、やっぱ男いるよな】


ほら、早速周りの目を引き付けて、

やっぱ目立つよ、るい。俺はいうと、普通…

なんかなー、いいのかな?こんな風にしていて。


【涼ちゃん、どうかした?】


ヤバ、恋人になってから急に意識しだした。

こんなに免疫なかったっけ?俺。

るいの顔がまともに見れない。


【涼ちゃん?】


るい、下から見上げるなよ。


【お腹空いたね。何食べようかな?】


その時、近くのテーブルに友人が偶然いて。


【涼、久しぶり。えーと、確か妹さん?】


その時、るいが、


【お久しぶりです。涼ちゃんの彼女です】 


おい、自分から言うか、るい。確かに俺が戸惑っていたけどさ。さらっと言うね。


【えっ、彼女?涼、前から住んでる妹って】


るいが俺をじっと見てる、何か言いなさいって感じの目で。


【あっ、あのさ、実は妹だと思っていたけど、血が繋がって無くてさ、後から解ったんだ、えっと、それで…ウギャー、痛ーーーーー!】


るいが思いっきり脛を蹴ってきた。


【ごめんなさい、いろいろ事情あるけど彼女になりました。よろしくお願いします】


るい、その事情が問題なんだよ。脛いてーな。


【あー、彼女ね。涼、最高じゃん、こんな可愛い彼女。良かったな、あれ?でも確か玲奈ちゃん…まぁ、いろいろあるな。でも、良かったな、涼】


何とかなったけど、脛ズキズキ…。

るい、何かあるとすぐ足にダメージ与えてくる。

要注意だな。これは。


【それで。るいちゃん。涼のどこが気に入ったの?】


こいつ、質問攻めする気だ。面倒なのとあったな。


【涼ちゃんの全部!】


【涼、お前幸せだな、完璧に惚れられてる、な、そう思うだろ?】


友人が付き合ってると思われる隣の女性に話をふった。その女性は、るいをじっと見て、


【あなたにはオリオンが見えます】


女性は友人の彼女か?なら早く紹介しろ。


【オリオン?急に何言ってるの?お前は】


友人が女性にタメ口。やっぱ彼女か。

るいは笑顔で、


【ありがとう。オリオン大好きなんです!】


るいは嬉しそう。すかざす友人も、


【俺も、大好き!美味いよね、オリオン】


お前、それはオリオンビールだろ!


【オリオン美味しいですよねー、るいも大好き!】


るい、話合わせてるな。こういうとこが男を勘違いさせる。


【じゃ、今度みんなで飲みに行くか!るいちゃんもいいよね?】


おい、るいは渡さないぞ。るいも勘違いさせるなよ。断われ!


【はい、みんなで行きましょう!】


るい〜、そんな簡単に返事するなよ。


可愛いと悩みごとも増える…まいったな、この先。

大丈夫だよな?、るい。


後から飲みに行った時解ったが、友人の連れの女性占い師だったそうだ。悩みごと相談してたらしい。


そりゃ、そうか。普通彼女いたらさ、るいに話しかけて飲みに誘うとかあり得ない。


占いってすげーな、オリオン言い当てた。ビールのほうでは無いが…


ちなみにオリオンビール大好きです。






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