第4話 慟哭
説明しないと収拾つかないな、これは。
【そういうこと、おかしいと思ったんだ。二人して騙していたの?何のメリットがあるの?】
玲奈の目が冷たい。明らかに…
るいが、伝えようと話し出すと…
【あのね、涼ちゃんとはね…】
玲奈が遮った。
【涼ちゃん!そうだよね、兄貴じゃないもんね、ふーん、随分親しいね、騙して楽しかった?】
【違うって!玲奈、お願い!話聞いて】
【るい、俺から話す。もう全て。ユキのことも】
玲奈は、えっ…て表情で、
【ユキって、この子のこと?話が見えない!】
【玲奈、聞いてくれ。後でいくらでも俺のこと殴っていいから、頼むから!】
玲奈は、ふーと、ため息。
【解った…何でも話して、ご自由にね】
【ユキは、別の世界で俺の恋人だったんだ、俺は未来から戻ってきて、ユキと付き合った。でも、別れることに、玲奈と出会うために】
続けて、るいが、
【ユキは涼ちゃんを救うために無理して、そのユキの意志を継いで私が涼ちゃんを見守ってたんだけど、結局涼ちゃんに助けられてる…】
【違う、るいに俺が助けれて…】
【うるさい!、もうどうでもいい!出ていって、もう二度と私の前に現れないで!見たくない、声も聞きたくない!早く出て行け!】
玲奈…こんなに怒ることあるのか。
【うわーん!お母さん怖いよー!】
ユキが泣きながら俺に飛びついてきた。
【お父さんー、お母さん凄い怒ってる!怖いよ】
【ユキ、大丈夫、泣かないで】
俺がユキを抱きかかえようとすると、玲奈は、
【ユキに触らないで!早く出ていって!】
結局、俺とるいは追い出された。
玲奈…もう許してもらえそうにないな。
【涼ちゃん、解ってもらえるように説明してくる】
【るい、無理だよ。ほら、部屋から…】
玲奈の泣き声がここまで聞こえてくる。
ユキも泣いているようだ。
【るい、ごめん。先に帰っていて…少し一人に】
【涼ちゃん…解った。必ず帰ってきてね、そしてこれからのこと考えよう、私はどんなことでもする】
【ありがと、るい】
少し歩いて、雨の中、空を見上げた。
雨粒が目に入る。視界が閉ざされる。
俺は何してんだ、何がみんなを幸せにするだよ、
何も出来てない、傷つけて…
玲奈、あんなに怒っても俺に手をあげてこない。
悔しいよな、辛かったよな、裏切られたってさ。
ユキ、あんなに泣いてしがみついてきて、どうすることも出来なかった。不安だったよな、ごめん。
るい…そんな想いで俺といたのか。気がついてあげれなくて…
るい!おい、さっきなんて言った!るい、待て。
すぐ行くから!
とても大きな不安が、俺を襲う。
すぐにるいの待つ部屋に走った。
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