第430話 にょにんのそのにいったよ

 スーパーを出た小麦たちが十数分後に着いた場所は、まさかの…大豪邸であった。


「ゑ…、、、な、に、これ、、真央ちゃんって、大富豪なの??か、壁の終わりが見えない…。」


「ううん、うちんちはフッツー!ここは知り合いの家だよ♡」


「はっ?真央ちゃんちじゃないの!?え?!なんで??!」


 無理矢理引っ張られて連れてこられただけでも迷惑なのに、知らない人の家に引き込まれようとしていた小麦っち。なぜこんなことに…。


 晴は真央の思惑を知らなかった。がしかし、目配せだけをされて余計なことは言わないことにしたんだ。だってなにか企んでいるときの真央には何を言っても聞かない。逆らわないほうが良いと晴の中では決まっているのだ。慌てる小麦が晴を見るが、目を伏せて訴えを見ぬふりしていた事なかれ乙女晴氏。


「ちょっ、待って!やっぱり帰るよ!おかしいから!知らない人んちは!」


「だいじょぉーぶって!ここ、私と晴が卒業したら住ませてもらう所なの。豪邸シェアハウスみたいなものなの!全然ヘーキだから!ねっ!」


「なにそれ…っていうか私がなんで!関係ないじゃん!」


「あーるーのー!まーまー、ちょっとだけさ。桃子さんに会ってよー!5分だけー」


「誰それ!」 


 さすがに強く抵抗した小麦が騒ぎ、真央が腕を引っ張ってなんとかかっ攫おうとしていると、大豪邸の主が気づいたようだ。玄関が開き人影が現れたんだ。豪邸の主、桃子とは…一体…!?


「なんだなんだー!曲者でござるかー!?щ⁠(⁠゜⁠ロ⁠゜⁠щ⁠)」


「あ、桃子さん!来ちゃった♡」


「ぬぉ?天使なり?あ、なんだ真央殿〜♡通りでかわいいわけだー(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)あら、晴氏も。今日はなんの祝日かしら?でへへー」


 出てきた豪邸の主は、意外にもスタイルの良いお姉さんであった。しかし明らかにオタク臭のする癖のある話し方。そしてアニメキャラのかわいこたんがプリントされたシャツに巨乳。……え、巨乳っ!?


「桃子さん、あのね、この子同級生で、」


「ん?………え、は、ぬぉっ!?」


「いや、帰ります…って、え?な、なに?」


 桃子は小麦に近づくと、上から下まで舐め回すように小麦を品定めした。フンフンホーォ?


「絶妙!黄金比っ!ボーイッシュネコたぁぁぁーん!ふぉーっ!!まてよ?いや、ネコたんと見せかけた…いや、んん?これはまた未知数な…。とりあえず合格だぬ。カモン入って!」


「でっしょー?さ、小麦ちゃん。入ろ♪」


「なんだなんだ…、やだってば!もー引っ張らないでって!うわっ!晴ちゃん!助けてってば!」


「ごめん…。真央は頑固だから…。少しだけ付き合ってあげて。。ちゃんと無事に帰れるのは保証するから。。」


「あーーーー!!やーーーー!」


 ………こうして、小麦は見知らぬ巨乳…いや、金持ち美人に監禁されたのだった。よく見れば大きな門を抜ければ大きなプールがある。遊び心満載に、水面にはおもちゃのひよこがぷかぷかと浮かんでいた。普通ではない。確実に大富豪である。そうは見えないけれど。もしかして、桃子はこの家の主の妻で、怖い男の人が中にいるのではと小麦はチビリそうになっていた。


「ねぇ!真央ちゃん!本気で警察に電話するけど!ねぇ!」


「あん、ごめんて!お茶だけ!紅茶だけ飲もう?王族の飲む紅茶めちゃくちゃおいしーからメイドさんに淹れてもらうからさ!怖くないから!ほんと!」


 小麦が涙目で晴を見ると、やっと晴は深く頷いて見せた。仕方ない、抵抗するのをやめて真央に腕を掴まれたまま、トボトボと歩き出した。


 邸宅の長い廊下をしばらく歩くと、大広間に出る。おそらく住人が集うリビング…そこにはなんと…、数人の…美女がいたんだ!!ハレルーヤっ!ひよりも行きたかったー!


「お?真央ちゃんだ。あれ?お友達?」


「イケメン風じょしこーせーだー。どしたの?拾ったの?」


「慌てるでない!騒がしいぞ、皆のもの!1番興奮して慌てているのは他でもない!桃子なんだぞーぉ!ヾ⁠(⁠*⁠’⁠O⁠’⁠*⁠)⁠/」


「まーまー。食いつきすぎずにね♡ゆっくり紹介しますから♡」  


「まお~、もふもふさせろー♡」


 何が何だかまったくわからないが…、なぜか知らない人の豪邸に来ていて、そこにはなんかしらんけど美女が集結していて、、クラスメイトの真央はやたら甘やかされキャラらしいことがわかった…けど…、


「なんで私はここに…いるの…??」


 と、小麦は感情迷子になっていたのだった。


 続く。

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