第398話 インスピレーション…

「ひより、起きなさい。いつまで寝ているの!」


「あひゃ…しゃん、、、それは違うよ、、、」*それはおっぱいじゃない。脇の肉だと言っています。


 実家に隠れていたひよりは母とアフタヌーンティーを楽しむと、自分の部屋に引きこもって漫画を読んでいた。ちなみにひよりの幼馴染である戸田から借りたこの漫画、、百合である。そしてかなりクセの強いエロ系であった。


 ひよりは戸田から借りた漫画からインスピレーションを受けたアイディアをたまに取り入れる。そして由奈にこっぴどく怒られる。しかしやめられはしない。だってひよりは無垢のちびっ子だから。とはいえ、久しぶりにダラダラと過ごしたひよりは完全にリラックスモードになってしまったんだ。そう、、エロ漫画を開いたまま夢を見ながら寝てしまっていたんだ…。


 母、説教します。イキます!


「はっ!?な、何これっ!!あんた、なんてもの読んでいるの!!??」


「んあ?…あで??寝ちった。。ん、お母さん??あ、そうか。こっちに来てたんだった。。」


「ちょっとっ!!あんた、パパと同じようなもの読まないでよ!!穢らわしい!!」


「はい??…ゲッ!!こ、これは!!え、えっと、、と、戸田っちが!!戸田っちが無理やりっ!!!」*友人を売る女ぴより


 これが令和最大の悲劇だった。ひよりがちょうど開いていたページは、本来ならモザイクをミルフィーユみたいに重ねるべきだった。いや、ミルクレープでも良いだろう。そのくらいいたずらっ子な触手@ダンジョンのシーンであった。


 しかし陽菜子はエロ本を見て怒っているわけではなかった。百合を否定しているわけでもなかった。なぜなら、陽菜子自身が根っからの百合で育った百合好きだからだ。結婚相手である夫のアキラとの出会いも百合漫画を愛するもの同士という運命。しかし陽菜子は王道のピュアピュア学生ラブストーリーが好きだった。そしてアキラはR指定ものが好きだった。これがのちにぴよりを窮地に陥らせることになる「陽菜子の毛嫌いの変」であった。令和激震。


「%^$*%$*エロ#@)過激O&$$っっっっっっ!!!!!!」*激おこぴなこ


「わぁっっっ!!ご、ごめんなさいっ!!あ、だめっ!没収はダメ!戸田っちのだから!!もう返すから!!!」


「こんなの読むからアキラに似てしまったのよ!!!」*これが本当に嫌。


「ま、待って!!ほら、ぴより、誕生日!!誕生日だから!!怒ったらダメ!ラブアンドピース!!血圧を大切に!!」


 誕生日。それはほとんどのことが許される日。ぴよりにとっておやつ無制限、わがままも許される恩赦の日、、と思っている。なので説教は3分で収まったのだった。この一大事がぴよりの物語で一番の山場であった。*今後は平地です。


「とにかく、もう良い時間よ?由奈さんが心配するんじゃない?」


「はっ!今何時っ!?げえっ!!まじっっ!!??」


 やばい。ちょっと多めにエッチして寝不足な日と同じくらい寝てしまった!!今日は誕生日だというのに!!ゆ、由奈さんがっ、、心配しているはず!!


「か、帰らないとっ!!お、お母さんっ!!ひより行くね!!」


 ひよりは慌てて部屋を飛び出すと、あたふたと靴を履いて玄関を飛び出した。ベッドには漫画を置きっぱなしに。そう、この置き忘れられた漫画をつい読んでしまうことで、陽菜子の毛嫌いは緩和するのであった。「案外読めるわね。」とのちに語ることになる。そして夫婦の絆は深まった。


 まぁ、そんなことはどうでも良くって。ひよりはまた非常階段を駆け降りることにした。エレベーターなんて待っていられないっ!!早くあの人を安心させなければっ!!


「今行くよ!由奈っ!!せいっ!!!」


 非常階段に差し掛かり、得意の全段飛びをするつもりのぴより。助走をつけたぴよりの脳内には、あの運命の日が鮮明に思い出されていた。そう、由奈の胸に飛び込んだあの日。初めて出会ったあの日。初めましてなのにとりあえずキスした日。。


(え?ひよりってちょっとおかしくない??)


 そう気づいた奇跡の日でもあった。*やっと。


 そして、階段を飛んだぴよりの目に見えたものは幻ではなかったんだ。またあの人が、、ちゃんといてくれたんだ。。*一番感動する音楽を頭に流してください。


「せいやっ!!わっ!!しゃんっっっっ!!!?」


「ん?え?わぁっっっっっっっ!!!!!」


 連絡も取れずにいつまでも帰らないぴよりに、心配した由奈はとりあえず実家に探しに行こうと考えていた知的生命体。賢くも勘は悪かった。


「どわーーーーーーーーーっっっ!!!」


「ぎゃーーーーーーーっっっ!!!!!」


 なんて仲良し。そしてなんて運命。この2人は出会うべくして出会ったに違いない。空から降ってきたスコール女。それを必ず受け止めるアース。しっかりと抱き留められながら、、、無限の愛を叩きつける。


「由奈さんっ!!お迎えに来てくれたのね!!」チュバッ!チュバッ!


「いってぇぇぇぇ!!!!」


「大好きっ!!由奈さんっ!!結婚して!!」ブッチュゥゥゥゥ‼


「まじでいたい!!腰おかしい!!痛い!!!」


「今夜はずっと抱いて!!!!!!」ペロペロ


「いやこれぜったい腰やったからむり!!!」


「しあわせっっっっ!!!」ギュゥゥゥゥゥ!!


「はなせっっっっ!!!」


 運命の2人。会話などかみ合わなくても良い。だって、心が通じているから・・・。


 

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