第397話 ぴよりお誕生日だから国民の休日にしてもいーよ!

「ひよりっ!ああっ、笑ってる!こっちにおいで~!」


「だぁ!まー!まー!んごぉーがぁー!!」


「おおっ、高速ハイハイだ!かっこいいよ、ひよりっ!ポルシェみたいだ!目で追うのがやっとだ!!」


「ん!(褒められてう!?)んがぁーーーーーー!」シュバババババババ!


「あはははは、ひよりぃ~!すごいよ~♡」


 なんてかわいいんだ、ひより。私のもとに一目散に向かってきた!さぁ、抱っこだよ。たかいたかーい!ぐるぐるぐる~。あはは、目が回るねぇ♡


 目が回る、、目が回る、、ああ、なんかすごい目が回る~!?


「・・・ん?なんだ、、目が回る感じが、、、、、ええ?」


 ひよりが学校に行ってすぐに、ソファの上で寝ていた由奈。何しろ前日の朝から一睡もしていなかった。ひよりが帰ってくる前に起きて、仕事に行ったフリをしようと思っていたんだ。だけど目が覚めたら、、既に奴は気づいてしまっていたんだ・・・。


 それは15分前。13時を回った頃だった。


「急行列車ぴよりがただいま到着~!!なぜなら午後が休講だったからぁ~!!」*独り言です。


 どこから持ってきたかわからない木の枝を持って、ブンブンまわしながら帰ってきた女子大生ぴより(19)のご帰宅であった。*石とかもよく持って帰ってくる。


「らっきー!戸田っちに借りた百合漫画を読んで返しに行こーっと。ついでに誕生日をお祝いして貰おう!ひとちんがひどすぎるから、今なら戸田っちにも優しく出来る気がする~!」


 由奈に内緒で借りた、戸田っちのちょっとエッチな百合漫画を隠し持っていた思春期ぴより。何しろ受験で読む暇がなかったんだ。たまにはエロ本も読みたい、いや、、そろそろ返さなければ戸田に怒られるとヒヤヒヤしていた。


「ぐふふ、ココアとポテトチップスも買ってきちゃったもんねー!ああ、コレを見るとぴよりとゆなしゃんの熱い夜を思い出してしまう・・・そう、仏のような寝顔・・・これこれ!・・・っておわっ!!?ほんものぉーーーーーーっっっ!!!!!にょわーっ!!??」*とてもうるさい。


 思わず自分の口を塞いだ。なぜここに由奈がいるのかと、とても驚いてアーナンダバラーサナのポーズをしたけれど。なぜか起こしはいけない気がしたんだ。


「は、ははーん。さては、仕事をさぼったんだな。それはなぜか。それはきっと、ひよりを驚かすため。だって主役だからね、お誕生日の女の子は。」


 ふーん。そっか。きっとひよりはまだ帰ってこないと思って寝ていたんだな。で、もう少ししたら起きて、ひよりの帰りを待つつもりだったんだな。きっとまた美味しいご飯を作って裸エプロンで待っているつもりだったんだろう。なんて完璧な嫁なんだ由奈っ!今すぐ抱き潰したいぜ!!*睡眠不足だとは夢にも思わない無垢なぴより。


「よし、、一旦お母さんのところに行くか。あ、漫画も持って行こう。自分の部屋に引きこもって読もうっと。」


 そろり、、そろり、、とひよりは寝室の押し入れから隠していた漫画を持ってきた。そして由奈の寝顔をパチャッと一枚写真を撮ると、ちゅーをしたくなったが堪えた。だって由奈さんがサプライズしてくれるのに邪魔したらいけない。知らないフリをしてあげないと。*平和脳


「あ、なんか由奈さん、眩しそう。こっちは日が差してるからね。えーと、顔に布をかけ、、いや、息ができなかったら大変。。そうだ、ソファを反対側に向ければ、、」


 ひよりは由奈が寝ているソファを反対側に向くようにぐるっと動かした。そーっとそーっと動かした。ヨーイショットォー!


「ふう。これで良し。起きる前にとんずらだ!!おやすみ由奈!!」トテテテテー


 ひよりはすぐさま逃げ出した。ココアとポテチと漫画をもって。そして漫画を読むことに気を取られたひよりは気づいていなかった。ソファが動いているのに由奈が気がつかないわけがないことに。


「え、なんか目が回る・・・。ん、え?あれ???」


 ひよりが玄関から出たあとに、目が覚めた由奈はもちろん驚いた。なぜだろう、、このソファはこっちを向いていただろうかと。


「え?え?え?まって、え?」


 あたりを見渡すも、誰かがいた気配はない。あっれぇぇぇ?おっかしーーーなーーー???え、私ってそんなに疲れてるの!!??と由奈はショックを受けていた。


「ええぇぇぇぇ?寝る前に動かしたんだっけ??覚えてないんだけど。。あ、もう14時になっちゃう。あ~、だるいなぁ。。でも、そろそろ買い物に行くか。今日は疲れたから焼き肉にしよう。。」


 こうして、美味しいお肉を頬張るひよりの笑顔を見る為に、ゆらゆらと由奈は出かけていくのだった。そのころのひよりは、実母の陽菜子とポテトチップスを食べて談笑していた。


「ぴよちゃんもついに19歳なのね。少しは大人になったのかしら?」


「ふん、めちゃくちゃ大人だよ!大人な由奈さんと付き合ってるんだから当然!!」


「困らせてない?迷惑かけてない?無理させてない?怒らせてない??」


「ううん、全く。ひよりがいなかったら由奈さんは生きていけないよ。あ、あそこにあるカステラ美味しそうだね。」


「食べて良いわよ。」


「カステラ食べたら部屋で本読むね~!」モグパクモグパク


「何の本?百合漫画??」*百合好きな陽菜子


「戸田っちに返さないとだから貸さないよ。」*あとかなりエッチなやつだから。


「ちぇ。けちー!」


 ぐふふ。漫画の萌えシチュエーションを学んで由奈さんに実践するのだー。


 続く 


   

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