第393話 困るなぁ子どものニーズは押さえてくれないと。カニカニ
小麦の働くパン屋は、両親が新しくオープンする店だ。アルバイトがいるに越したことはないが、仮に誰もいなくてもなんとかなるくらいの規模である。
とはいえ、今年受験の娘にバイト三昧をさせるわけにはいかない。母親にも家にいる時間が必要であるとオーナーであるジャム夫は考えていた。
「バイトする分、家庭教師を雇って良いってことになって。あなた達はあそこの大学生ですよね。せっかく頭の良い先輩だから教えてもらえたらと思ったんです。」
小麦のこの言葉を聞いて、ひよりの頭の中は、大変都合の良い思考回路にアドレナリンぶち込み状態であった。
(肉体労働…なし。勉強…楽。パン…食べ放題…………。ワァ)
そっちのほうがいーじゃん。だってひより、そんなに長く働きたくないし。それに、肉体労働だと帰ってから由奈さんとエッチする体力なくなっちゃうし。
と、どこまでも仕事をなめた考えに偏り始めていた。しかし、どこか頭の中では、あれ?なんだっけ?と思っていた。なんか別のミッションあったよな??的な。
「あの…、私でよければここと家庭教師を両立してみたいです。」
そんな、あてにならねぇぴよりはおいて、笑美は勇気を出したんだ。
小麦「あ、本当ですか?それは有り難いです。ただ、さっきの話とこの話は別で…。」
笑美「はっ、確かに!ひよりが…」
ぴより「え?なになに?ひよりホットケーキ焼くの上手だよ!??」*かわいいの塊
ジャム夫「かわいー♡」*被害者1
小麦「かわいー♡」*被害者2
ジャム夫「雇っちゃおうぜ?」
小麦「看板娘だな!」
ぴより「任せろやい♡」
ジャム夫「きーまり!じゃ、カテキョの方は2人で決めてね♪」
笑美「え!?あっ、はいっ!」
小麦「宜しくお願いします、先生。」
笑美「せ、先生っ!?」
きた。きたよ…きました。。せーの、
キ・キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
トゥンク・ストーーーーーーォム!!!
笑美「はぅぁ…♡」
ぴより「あ、射抜かれてる。笑」プッ
そういうこと、言うんじゃないよ、ひより。。バレるやんけ。………しかしまぁ、お陰で笑美は小麦と2人きりで勉強するという、凄まじい萌えシチュをゲットしたのでありました。
しかし、どうなのだろう。これは恋なのだろうか?それすらわからないまま、笑美のハートは確実に何かの矢で射抜かれていた。これを一種の勘違いと笑う人もいるかもしれない。だけど、確かにこの胸のざわめき。笑美にとっては人生で初めてのことだった。
そして、ひよりはとにかく…焼き立てパンが美味かった。ソーカヨ。
「てんちょ、カニパンある?」
「ない。」
「え〜。」
「作ろうか。」
「うん。」ソーシテ。
続く。
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